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女性が管理職になりたくない本当の理由は何か

プレジデントオンライン / 2020年2月6日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/gradyreese)

働く男女約3000人アンケートから見えてきた“女性管理職”を取り巻く現実。女性登用によって、社会が変わることを実感しているにもかかわらず、自分自身は管理職になりたくないという声の裏側に潜む本音とは? 先進企業の施策とともに「これからの女性リーダー」の育て方・増やし方を探った!

■社内の女性管理職は、ロールモデルにならない?

“女性管理職”という存在をどう見ているのか男女約3000人のアンケート結果から探ってみた。まず、会社規模別に女性管理職比率を見てみよう。女性管理職比率が高いのは従業員50人未満の会社。人材不足が叫ばれる昨今、少数精鋭で、優秀な社員を登用すると女性管理職比率もおのずと高まるのだろう。

女性管理職比率が低いとされる会社規模1000人以上の大企業でも半数以上が女性管理職を5%以上有している。「2030(ニイマルサンマル)」目標にはまだまだ届かないが、女性活躍推進法を受け、大企業ほど女性管理職育成を進めてきた表れでもある。女性管理職を望む声も大きく、「もっと増やすべき」という意見は半数以上。男女ともに働きやすい環境を築くには、女性管理職の存在が必要だと感じているのだろう。

女性管理職を望む声が多いとはいえ、管理職をめざす女性は36.3%。社内の女性管理職を「ロールモデルになる」と見ている人は2割弱しかおらず、「ロールモデルにならない」「何も思わない」という声を合わせると約8割にも上る。コメントを見ると、仕事をバリバリこなすスーパーウーマンだから、ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)を考慮する必要がない独身や子どものいない既婚者、女性活躍推進法を受けて起用されただけだからと、身近な女性管理職に対して厳しい意見が多数寄せられた。

写真=PIXTA

管理職をめざすと回答した男女に、管理職をめざす理由を聞くと、「給与アップ」が男女ともトップ。次いで「会社・職場の環境を変えたいから」が2位に。女性の場合、「女性が活躍する職場にしたい」という声が3位に。男性が3位に挙げた「社会的地位がほしい」は、女性では6位。反対に、管理職をめざしていない女性がトップに挙げた理由は「その他」。WLBに悩む声が多数かと思いきや、「プライベートがなくなりそう」は4位に。

フリーアンサーに寄せられたコメントを見ると、「女性が管理職に就く風土がない」など、男性優位の環境のためという意見が多く、まだまだ昭和的企業風土から脱却しきれない現場の様子が見えてくる。WLBを理由に挙げたのは、「プレイヤーでいたい」というコメントと同数。多くの女性が仕事を楽しみ、上昇志向にあるが、それを受け止められる職場が今なお少ないということだろう。

一方、社内の女性管理職比率5%以下に比べ、10~20%の会社のほうが管理職をめざす割合が高まることからも、社内の女性管理職がロールモデルになる・ならないにかかわらず、意識を変えるには女性管理職比率を高めることが有効のよう。納得できない人事だったとしても、女性管理職の存在が起業風土を変えるきっかけになるのだろう。

■管理職を経験すると、より高みをめざすように

実際に管理職として働く人はどのように感じているのだろうか。「管理職になりたくてなった女性」は39%。「管理職をめざす女性」36.3%とほぼ同率の結果に。なりたかった理由は、管理職をめざす理由と同じ「給与アップ」がトップに挙がった。しかし、フリーアンサーの中には、「転職に役立つから」「独立のため」などのコメントが意外に多く、女性がキャリア構築をシビアに考えている姿が浮き彫りに。

反対に、管理職になりたくなかった理由でトップに挙がったのは、「プライベートがなくなりそう」。ただ、同率2位の「責任を持ちたくない」「今の環境で満足している」との差が2.6ポイントしかなく、それぞれの立場や環境によるものと考えられる。実際に管理職に就いた女性に様子をたずねると、「時間管理が自由にできるようになった」がトップ、2位に「時間に追われるようになった」が続く。これは業務内容による差が大きいだろう。

3位「その他」、4位「もっと昇進したいと欲が出てきた」と続くことからも、おおむね女性は管理職になって満足しているよう。時間をコントロールできるようになることでWLBはクリアできる問題となり、管理職を経験することで自信がつき、出世欲が増したり、転職・独立という次のステージが見えてくるのだろう。

心の状態で見ると、「なりたかった女性」の幸福度は6以上に集まっており、望みがかない、幸福度も増しているよう。「特に意識しなかった女性」の幸福度は5以上に集中。「なりたかった女性」に近い結果が出た。「なりたくなかった女性」の幸福度は4以下に集中し、1と答えた女性が最多となった。一方、男性の幸福度を見ると、「なりたくなかった男性」の幸福度がグンと低い結果に。男性優位の社会といっても、男性管理職の責務は重いのかもしれない。

■産休・育休・介護は、管理職への道を閉ざす!?

女性が管理職に就くうえで、障害とされるのがWLB。では、産休・育休の取得状況はいかに。子どもがいる女性に産休・育休の取得状況をたずねると「取っていない」が30%と最も多い。内閣府男女共同参画局の発表資料によると、出産後に退職した人が46.9%(2018年)いることからも、今回の回答者の多くが妊娠後、または出産前に退職し、その後、再就職したということだろうか。

次点は「1.5年未満」、次いで「1年未満」という結果に。産休・育休後、時短勤務にした女性は約半数。ただ、時短勤務にしなかった女性の中には「したかったができなかった」というコメントも多く、家庭や職場の事情に左右されたよう。しかし、産休・育休・介護制度の利用が女性管理職登用への障害になると考える女性は半数にものぼる。「時代錯誤だ」というコメントもあるが、現場から離れる期間が長ければ長いほど、女性管理職への道は遠のくと肌で感じている女性が多く見られた。

今回のアンケート結果を見る限り、女性リーダーを増やすには、意識・環境ともに課題が多いと結論づけなければならない。だが、女性管理職の需要は格段に増しており、その存在が社会を変えると皆が感じているのも確かだ。各コメントからも、少しずつ世の中が変わりつつあることが感じられる。そんな過渡期真っただ中の今、一歩一歩前進することで道は開けるだろう。

【調査概要】プレジデントオンラインに登録する全国の男女約3000人から回答を得た。男性約1000人/女性約2000人。年齢層のボリュームゾーンは45~49歳。次いで、50~54歳、40~44歳となっている。さまざまな業種の人から回答を得ており、課長職以上の管理職が58.0%と半分以上、一般社員は31.6%だった。(オンラインアンケート実施期間:2019年6月24日~7月4日。有効回答数:2822)

(ライター 江藤 誌惠 写真=PIXTA)

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