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元慰安婦に告発された支援団体は「腐敗しきっていた」

プレジデントオンライン / 2020年6月5日 9時15分

写真=EPA/時事通信フォト

元従軍慰安婦たちを長年支援し、日本のメディアとも共闘してきた韓国の団体が、当の元慰安婦によって不正を告発され、検察の捜査が入る事態に。

■「正体不明の中国人女性を、慰安婦役として“輸入”」

長年、日本軍の韓国人元従軍慰安婦への支援を行う中核となっていた団体を、当の元慰安婦の代表格と目されている李容沫(イ・ヨンス)氏(92歳)が告発、ソウル市内の団体事務所に韓国検察が家宅捜索に入る事態に発展している。

この団体は、「日本軍性奴隷問題解決のための正義記憶連帯」(正義連、旧挺対協)。「従軍慰安婦に対する日本政府の謝罪と賠償金」を求めて、ソウルの日本大使館前をはじめ世界各地で慰安婦像を建てるといった数々のキャンペーンの中心となってきた。

だが、5月7日、故郷の大邱で会見を開いた李氏は、約30年もの間ともに行ってきた正義連とその代表の尹美香(ユン・ミミャン)氏を、「騙されるだけ騙された」と痛烈に批判。韓国国内で大きな波紋を呼んでいる。

韓国の各媒体で報じられている李氏の告発の内容は、まさに「何でもあり」である。活動資金である学生たちの寄付について、「使途がわからない」「正義連前理事長の個人口座が、募金に使われていた」などと私的流用を伺わせたり、「正体不明の中国人女性を“輸入”して集会を維持している」「アメリカ人が怖がるように“性奴隷=sex slaveという言葉を使った」というデタラメ行為まで明らかにしてしまった。2015年に日本政府が10億円を拠出することで合意した日韓協定の際も、「10億円が入ることは尹代表しか知らなかった」としている。

■団体代表が住宅5戸をキャッシュで購入した

「反日」が国是ともいわれる韓国国内で、その批判がずっとタブー視されてきた正義連。尹氏は4月15日の韓国総選挙で与党「共に民主党」から出馬、初当選を果たしたばかりだ。得意の絶頂と思われた次の瞬間、皮肉にも「疑惑の総合商社」と化した状態だ。

聯合ニュース(5月21日付)によれば2012年に現代重工業から受領した10億ウォンを原資に保養施設を相場の3倍の7億5000万ウォンで購入し、近年、半額程度で売却。売買した尹氏の知人と尹氏本人らの背任容疑が捜査の対象だという。1995年から2017年にかけて、尹氏のファミリーがマンションなど住宅5戸をすべてキャッシュで購入した際の資金源も、野党議員に追及されている。

告発した李氏は、1993年に自らの体験を書籍にして出版、韓国国内でも著名な存在であり、2017年に訪韓したトランプ米大統領をハグした光景が報じられたことで、日本でも知られている。李氏の告発が本当なら、正義連は慰安婦という存在をダシにして長年金儲けを続けていたということになる。正義連にしてみれば、日韓関係がこじれて長引くほど“儲かる”わけだから、そもそも活動の動機に疑念を抱かれても仕方あるまい。

それどころか、前身の挺対協について、「日韓分断のために組織された」「日韓・韓米関係を破綻させ、大韓民国を『金氏朝鮮』(北朝鮮)と中国の手に委ねようとした」と断じ、そうなるに至る経緯の詳しい報道も出始めている(Japan‐in Deaph5月26日付『韓国激震、支援団体真の目的』)。

■「私は慰安婦ではなかった」

李氏の告発を受けて、正義連は税務申告のミスは認めたものの、「横領はいっさいない」と釈明。「李氏は年を取って記憶が変わった」などと主張した。尹氏本人も、フェイスブックに「李氏は1992年に、電話で蚊の鳴くような声で『私は慰安婦ではなかった。あれは友達の証言です』と証言したときのことを昨日のことのように覚えている」と書き込んだ(朝鮮日報5月8日付)。「李氏はニセモノ」とばかりに反撃するつもりで書きこんだのかもしれないが、オウンゴールに等しい行為に失笑する向きも少なくないようだ。

そもそも、なぜこの時期にこんな騒動が起きたのだろうか。日本国内では、2014年に朝日新聞が慰安婦問題についての一連の報道について誤報を認め、記事を取り消す謝罪会見を開いたが、2017年に発足した文在寅政権は慰安婦像の違法設置を進め、さらに日本側の怒りに油を注ぐかのように「徴用工」問題を蒸し返した。

4月の総選挙にも圧勝した後は、現政権はいわゆる「親日賛美禁止法」まで議会に通そうという勢い。日本からすれば、もう関わりたくないという「韓国疲れ」や、仮に関わっても、日韓間の通貨スワップも含めて、デメリットしか感じられないというのが一般通念のようだ。

■韓国国内で昨年から続出している「反日」とは逆の動き

ところがその一方、韓国の市井からその流れを引っ張り戻すような動きが昨年からいくつも持ち上がっている。昨年6月5日にはソウル市中心部で、「今日の集会は反日民族主義に公然と反対する史上初めての集会」として、慰安婦の少女の像の設置や韓国の差別主義的な反日活動に反対する集会が開かれた。

また同7月に韓国人教授が、韓国を「嘘つきの国」と断じ、日本統治下で虐げられたという韓国左派の通念とは正反対の事柄を列記した『反日種族主義 日韓危機の根源』を上梓し論議を呼んだ。日本でも翻訳されて(文藝春秋刊)、ベストセラーとなるなど、日韓双方で大きな話題となった。

同10月には文在寅大統領の退陣を求めて、ソウルで20万人! が夜を徹してのデモを行っているし、12月には韓国で製作された徴用工像のモデルが実は日本人であったとして、当の像の作者が名誉棄損の裁判を起こしている。こうした出来事が、日韓関係をよい方に向かわせる力となるのかはわからないが、その行方は日韓2国の関係だけでは見えてこない。

■日本・韓国は米中どちら側につくのか?

年初来の新型コロナウイルスの感染拡大と、それに乗じた香港に対する中国の強権発動を機に、米国と中国の対立がいっそう先鋭化している。これは貿易のカネ勘定の争いではなく、2つの超大国の覇権争いであり、民主主義国家とそうでない国との価値観の争いでもある。一時「外交の天才」と称されたという韓国・文在寅政権も、当然「どちら側」につくかの選択を余儀なくされよう。

世界各地で強権的な「コロナ外交」を展開する中国との「断絶宣言」を行ったトランプ米大統領は台湾にエールを送り、英国・イタリア・ドイツ・インド・オーストラリアなど8カ国が計100兆ドル(約1京1000兆円)超の損害賠償を求めるなど、対中包囲網が敷かれている。もっとも日本は、安倍首相がコロナ発生地として中国を名指しにはしたものの、今のところこの輪には加わらず、習近平を国賓として招く予定も消えていない。

韓国はどうだろう。そもそも2015年には中国・北京に赴いた朴槿恵大統領(当時)が習近平・中国国家主席、プーチン露大統領らと並んで「抗日戦争勝利・世界ファシズム戦争勝利70周年記念式典」の貴賓席に並んでいたが、文大統領も昨年のGSOMIAの一件でとうとう米国にも愛想をつかされ、日本に対しても、中国に近づきすぎることへの恐怖感と、日韓通貨スワップ協定の締結という本音は抱きつつも、昨年来の輸出規制措置や徴用工訴訟の件を蒸し返し、関係改善のそぶりを表立っては見せていない。

このままなら、韓国は日米との数十年来の縁を解消し、中国の勢力圏入りする可能性は大きい。日韓の関係はお互いの国民感情以前に、すでに米中関係に規定されているようだ。ここまでの流れは必然で、慰安婦問題をはじめとする日韓間の数々の衝突はそれを強力に後押しした格好だ。今回の告発騒動も、その動きに際してのハレーションに過ぎない可能性もある。

正義連と連動して日本政府批判を延々繰り返してきた日本国内の慰安婦支援団体や朝日新聞ほか主要メディアは、この一連の出来事をどうとらえているのだろうか。仮に「日本と韓国の離反」「韓国を北朝鮮・中国に差し出す」という正義連の目的が本当なら、長年にわたる宿願が達成され、「思惑通り」とほくそ笑んでいるのだろうか。

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西川 修一(にしかわ・しゅういち)
プレジデント編集部
1966年、神奈川県生まれ。中央大学法学部卒業。生命保険会社勤務、週刊誌・業界紙記者を経てプレジデント編集部に。

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(プレジデント編集部 西川 修一)

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