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銀座ママ・水口素子「私はゴルゴに恋をした」

プレジデントオンライン / 2020年7月19日 11時15分

ザボンは1978年に開店。名付け親は小説家の丸谷才一。カウンターのみ3坪の店から始まり、2年で、13坪の店へ。さらに3年で、現在の20坪に。店には文壇の大御所や編集者たちが集う。

■ザボンにゴルゴがいる理由

はじめまして。今回より連載をはじめることになりました「東京・銀座・クラブザボン」の水口素子です。ザボンを開いてから42年、文壇バー「眉」でのホステスデビューからは48年が経ちました。

銀座のママというと「一流の男の見分け方」など、啓発的なお話をするイメージがありますが、古い人間の私では力不足です。以前、「プレジデント」で、昔の不倫のことを書きましたら、お客様たちに大笑いされました。しかし私の仕事は、自分を大きく見せることではなく、お客様を楽しませることですからそれでいいのです。

さて、ザボンの店内には、「ゴルゴ13」の画が5枚も飾られています。「なぜ銀座にゴルゴが?」とみなさん驚かれますので、まずはそのお話をしようと思います。

先日執筆した記事「プレジデント」の中でも「ゴルゴ13」のことを取り上げましたが、そこで私、さいとう・たかを先生の「劇画」のことを「漫画」と書いてしまいました。劇画というものは描線がより写実的で、ストーリーも現実性を高めたもの。でも先生、私たちの仲に免じてどうか許してくださいね(笑)。

先生とは私が「眉」時代からのお付き合いなのでもう50年近いのです。もっとも「眉」にいるときの先生は、そのときから女性たちにモテモテで、下っ端の私が席に着こうとしたものなら、「あんたなんかあっちへ行ってなさい!」と先輩ホステスさんたちからお叱りを受けるので、あまりかかわりはありませんでした。

しかし、ザボンを開いてから数年すると、石ノ森章太郎先生(1998年没)と一緒に来てくださるようになり、いまでは大切な常連様のおひとりです。

■新型コロナウイルスも、必ずゴルゴが戦ってくれる

2018年9月、川崎市市民ミュージアムで「ゴルゴ13」の連載50周年記念特別展が開かれました。会場へ行くとゴルゴの画がたくさん飾ってあり、その迫力に圧倒され、見とれてしまったのです。そこで、「ビッグコミック」(小学館)の編集者さんに、「あの画をザボンに貸してほしいと伝えてほしい」と言ってみたのです。すると、「そんなこと言えるわけないでしょう!」と一蹴されたものですから、「もう自分で言っちゃお」と、先生にお願いしてみると、なんと原画のコピーを5枚も貸してくださったのです。それからというもの、ゴルゴの画を見せたいといって接待でザボンを使ってくださる方が増えました。

ゴルゴは何回見てもいい男です。いつも私はゴルゴに見つめられ、心がドキッとするとともに、励まされる。ゴルゴはザボンの福の神です。「ゴルゴ13」を読むと、医療、環境、宇宙など先端科学の分野について実に豊富な情報を吸収することができます。今回の新型コロナウイルスについても、必ずやなんらかの形でゴルゴが人類のために戦ってくれるのだと、私は信じているのです。

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水口 素子(みずぐち・もとこ)
銀座老舗文壇バー「ザボン」ママ
鹿児島から上京後、商社で役員秘書として勤務。囲碁棋士の藤沢秀行に連れられ、銀座を訪れたことを機に退社。文壇バー「眉」に入店し、5年で独立。

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(銀座老舗文壇バー「ザボン」ママ 水口 素子)

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