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ラーメン屋のガンコ親父が店をたたむ前に考えるべきこと

プレジデントオンライン / 2020年8月22日 11時15分

飲食店のスケルトン化には、大きなコストがかかる。(PIXTA=写真)

■撤退時こそ前を向け!

「飲食店をたたむ」。後ろ向きなイメージのある言葉ですね。

しかしながら、お店をたたんでも人生は続きます。だからこそ、撤退時には最大限できることをやり、次の挑戦につなげなければなりません。

私は仙台・新潟を中心に開店・閉業のコンサルタントをしていますが、撤退の理由として最も多いのは経営不振によるもので、人材不足が経営不振のトリガーとなるケースも多くあります。

撤退時には「なるべく早くお店をたたみたい」と思うものです。ですが、テナントを借りていた場合は基本的に原状回復義務があり、撤退時にテーブル・椅子などの家具や厨房機器、カウンターなどの内装造作物をすべて撤去し、“スケルトン状態”と呼ばれるまっさらな状態で物件を不動産会社に引き渡さなければなりません。

当然ながら、撤去工事には多額の費用がかかりますし、撤退を急げば高い代償を支払う必要があります。

スケルトン状態にするためには、一般的なサイズの飲食店でおよそ100万円の資金がかかります。この撤退費用を抑えるためには、引き継ぎを希望する方に厨房機器や空調などの設備をそのままにお店を売却する、いわゆる「居抜き」での引き渡しが得策です。

■まさにウィンウィンの関係だ

居抜きのメリットは、お店をまるごと引き渡すため、撤去工事の費用がかからないほか、多くの場合では次の利用者から譲渡代金を受け取ることができます。撤退時には少しでも費用を抑えたいものですから、お店を無料でたためるうえ、お金までもらえる居抜きはいいことずくめ。次の利用者も「なるべく資金を抑えて開業したい」と思っていますから、まさにウィンウィンの関係だといえるでしょう。

ですが、撤退時に閑古鳥が鳴いていたお店では、次のオーナーも食指が動きづらいのは当然です。そのため、どん詰まりになってから撤退を決意するのではなく、お店に体力と活気が残っているうちに物件を売りに出し、次に店舗を使う人に向けたアピールをすることが重要です。

また、実際にお客さんが入っていて、機械類などが動いているお店を見せることは、次の利用者が運用をイメージしやすくなりますから、商談成立にもつながりやすくなります。

現状、最も居抜きが決まりやすい業種は、ラーメン店です。

一日数百杯売るような本格的なラーメン店では、厨房やガス、排水設備などを特注にしないといけないため、基礎工事費が高くなりがちです。そのため、少しでも費用を抑えるために居抜きでの開業を決める人が多いのです。

また、フランチャイズやコンサルティング業務を行う会社も多いため、開業希望者が多いことも追い風です。

逆に、お弁当やケーキ店など、テイクアウト中心の店舗は、新型コロナウイルス流行前は開業希望者が少なく、なかなか買い手がつかない状況でした。

つまり、トレンドに乗ったお店は撤退時のダメージを少なくできる可能性が高いといえます。

特に脱サラ組は、飲食店を開業するとき「おいしい料理を出せば成功する」と考えがちです。

しかし、独立するのであれば厨房・ホールはこなせて当たり前。大切なのは経営者としての視点を持つことです。

適正な人件費(人数)で営業しなければサービスの質が落ちてしまったり、頑張りすぎて自分が体を壊してしまえば、経営は立ち行かなくなります。

飲食業界は誰でも開業できる、参入障壁が低い業界ですが、残念ながら「成功者として生き残る」ということは、誰でもできる時代ではなくなりました。だからこそ、撤退時のことも最大限考慮して店舗運営を考えていく必要があるのではないでしょうか。

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塩崎 俊洋(しおざき・としひろ)
開業・閉業支援コンサルティングサービスTsuKuRu代表
宮城県・新潟県を中心に開業・閉店希望者に対してコンサルティング業務を行うほか、「居抜き」のマッチング支援にも注力している。

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(開業・閉業支援コンサルティングサービスTsuKuRu代表 塩崎 俊洋 構成=プレジデント編集部 写真=PIXTA)

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