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「これでも食らえ」面倒くさい上司・同僚にはシュークリームが効く心理学的根拠

プレジデントオンライン / 2020年10月26日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

社内の付き合いづらい人とはどう接すればいいのか。心理学者の内藤誼人氏は「“付き合い方の勘どころ”を押さえることが重要です。例えば、自分の意見を押しつけ、人の意見に耳をかたむけないガンコな人には、シュークリームやワッフルを差し入れるといい」という。なぜシュークリームなのか、心理学的に解説しよう——。

※本稿は、内藤誼人『めんどくさい人の取扱説明書 人間関係がラクになる58のコツ』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

■職場によくいる「面倒くさい人」3態の傾向と対策

【締切を守れない人】
・自分でいった締切が守れない
・延ばした締切も破りがち
・間際になって「やっぱり間に合いません」という

今週中に仕上げなければならない仕事なのに、木曜日になってもまだなにも手をつけていないとか、2週間以内に納品しなければならないのに、いつまでも作業に取りかからないとか、時間に対してひじょうにルーズな人がいる。

しかし、こういう傾向は、すくなからず私たちのだれにでもある。私たちは、自分のことになると、ものすごく見とおしが甘くなる。

「自分なら、期日内に仕事を終わらせることができる」と、なんの根拠もなく信じこんでしまうのだ。だから、予想がはずれて、相手に迷惑をかけてしまうのである。

カナダにあるウォータールー大学のイアン・ニューバイ・クラークは、75名の大学生に課題を与え、「どれくらいで終わらせることができると思うか?」と見込みをたずねてみた。

すると、平均して「締切の1.35日前に仕上がるだろう」という答えが返ってきた。ちなみに、「締切を守れずに超えてしまうかもしれない」という予想をした人はゼロであった。

では、すべての人がきちんと課題を提出できたのかというと、とんでもない話であった。67%の学生は締切を守れなかったのである。

「締切をオーバーする」と予想した人などゼロだったのに、約7割の人は、締切をオーバーしたのであった。私たちは、自分のこととなると、ものすごく見込みが甘くなる。したがって、人に予算や日数などの見込みを立てさせるときには注意が必要である。

「この仕事は、いつまでに終わらせられそうだ?」
「そうですね、10日もあれば楽勝だと思いますよ」

もしこんなやりとりをして、「なるほど。10日後には仕事が終わっているのだな」と考えてしまうとしたら、10日後には、期待が裏切られて、大いに失望させられることになるであろう。

では、どうすればより正確な見込みをさせることができるのだろうか。いちばんいいやり方は、「最悪な出来事が、つぎからつぎに、起きたとしたら」という条件で最悪の想定についてたずねてみることだ。

「この仕事は、いつまでも終わらせられる?」
「そうですね、10日もあれば」
「もしほかの仕事や、ジャマが入ったり、資材がとどかなかったり、最悪のことがつぎからつぎへと起きたとしたら、どれくらいで終わらせられる?」
「そうですね、それなら1カ月でしょうか」

私なら、こういう聞き方をして、「1カ月くらいかかりそうだな」と予想する。

人間の見込みはどうしても甘くなりがちなので、最悪の想定について考えたほうが、より現実に近い予想になるからである。時間にルーズな人も、けっして悪気があってウソをつこうとしているのではないのだ。

ただ、私たちの見込みが、ものすごく甘いだけである。したがって、それを責めたりはせず、最悪の想定をしておくようにしよう。最悪の想定をしておけば、少なくとも、相手がウソをついたと感じて失望させられることはなくなるからである。

◆締切を守れない人の取り扱い方法
「最悪の事態を想定」させたうえで見込みをきいておこう

■リーダーがイライラしていると、メンバーもイライラしてくる

【ため息や愚痴が多い人】
・周囲に聞こえるような大きなため息をはく
・なにかブツブツつぶやいている
・なにかに疲れきっている

「はぁ……」とため息をついたり、なにやらブツブツと愚痴のようなことをつぶやいている人がいる。

そういう人を見かけたら、なるべく近くに寄らないのが正解だ。なぜかというと、そういう人のそばにいると、自分まで気分が悪くなってくるから。私たちは、そばにいる人の心理的なムードに影響されやすい。これを心理学では、「心理的感染効果」とよんでいる。

ため息をついている人のそばにいると、自分もため息をつくような気分にさせられてしまう。だから、なるべく近寄らないほうがいいのである。

質問を待っている女性
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

米国カリフォルニア州立大学のトーマス・サイは、3人から5人のチームで、テントを組み立ててもらうという実験をしたことがある。ただし、その実験をするにあたっては、リーダー役がえらばれ、そのリーダーの気分だけが実験的に操作された。

あるリーダーには、ハッピーな気分にさせるためにテレビのユーモア番組を見せた。別のリーダーには、怒りの気分を引き出すために社会の不正についてのドキュメント番組を見せた。それから、それぞれのグループに別れて、テントの組み立てをしてもらったわけであるが、リーダーがたのしい気分で、陽気にふるまっていると、メンバーも陽気に作業してくれることが判明した。

リーダーの気分が、ほかのメンバーに感染したのである。また、リーダーがイライラしていると、メンバーもイライラしてくることもわかった。私たちは、自分でも知らないうちに、身近な人の影響を受ける。

「ペアレンテクトミー」という治療法がある。

子どもを親から引きはなすことで、治癒をうながす方法である。子どもを親から引きはなすと、気管支炎やぜんそくといった病気の症状が軽くなることがあるのだ。親がつねにイライラしている状態の家庭にいると、小さな子どもはその影響を受けて、病気になってしまうことがある。

だから、親から引きはなされると病気も治ってしまうのである。ため息をついている人を見かけたら、「どうしたの?」などと話しかけてはいけない。そういう仏心(ほとけごころ)は必要ない。ただ、そっとその場を離れるのがよい。せっかく、こちらの気分が悪くないのに、ため息をつくような人といっしょにいたら、気分が悪くなるに決まっている。だから、その場から逃げ出したほうがいいのである。

◆ため息やグチが多い人の取り扱い方法
すぐに離れよう

■シュークリームを食べさせると人の心はやわらかくなる心理学的根拠

【ガンコな人】 ・一度決めた意見を変えない
・自分の意見を押しとおそうとする
・相手の意見に耳をかたむけない

かたい木のイスに座っていると、私たちの心も頑かたくなになりやすい。

ところが、やわらかなソファに座っていると、今度は、心もやわららかくなる。

私たちの心理には、そういうところがあるのだ。

したがって、ガンコな人を相手にするときには、できるだけやわらかなソファなどに座らせながら、対応するとよいであろう。

米国マサチューセッツ工科大学のジョシュア・エイカーマンは、かたい木のイスか、やわらかいソファのどちらかに座らせて交渉をやらせてみた。自動車を買うために販売店をおとずれ、購入希望価格を提示したが、拒絶されたという前提で、再提案をさせるという実験である。

内藤誼人『めんどくさい人の取扱説明書 人間関係がラクになる58のコツ』(きずな出版)
内藤誼人『めんどくさい人の取扱説明書 人間関係がラクになる58のコツ』(きずな出版)

なお、自動車には1万6500ドルという価格がついている。

では、いくら支払ってもよいと再提案したのか。

かたい木のイスに座っていたグループでは、平均して8965ドルしか出せないと頑なな態度をつづけた。半値近い価格で自動車を売ってくれというのだから、ムシのいい話だ。

ところが、やわらかなソファに座っていたグループでは、1万2436ドルという提案だった。割引は求めるものの、メーカーの希望価格により近いかたちでの提案であった。

この実験でわかるとおり、私たちの心理は、自分がどんな状況に置かれているのかによって、大きな影響を受けるのである。ガンコな人間を相手にするときには、まずは、心をやわらかくするような状況に置いてあげるとよい。

シュークリーム
写真=iStock.com/TakakoWatanabe
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/TakakoWatanabe

やわらかなソファに座らせるのは、ひとつの手である。ほかにも、やわらかなものを触らせるのもいいだろう。やわらかなシュークリームや、ワッフルなどを食べてもらうのも、いいかもしれない。やわらかなものに触れていると、私たちの心もやわらかくなる。自分でも無意識のうちに、態度が柔軟になるのだ。

ガンコな人も、人間である以上はそういう影響を受けるので、こちらに対してもあまり頑なな態度をとらなくなるであろう。むしろ、やさしく、親切な態度をとってくれるようになるであろう。

ガンコな人が、365日、24時間ずっとガンコなのかというと、そんなこともない。自分が置かれている状況によって、いくらでも態度がかわってくることもありうる。相手の性格は変わらないかもしれないが、一時的な心理的ムードはいくらでも変えることができる。やわらかな態度をとらせることも十分に可能だということは覚えておくとよい。

◆ガンコな人の取り扱い方法
やわらかいソファに座らせて、シュークリームを食べさせよう

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。『すごい! モテ方』『すごい! ホメ方』『もっとすごい! ホメ方』(以上、廣済堂出版)、『ビビらない技法』『「人たらし」のブラック心理術』(以上、大和書房)、『裏社会の危険な心理交渉術』『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(以上、総合法令出版)など著書は200冊を超え、、近著に『めんどくさい人の取扱説明書』(きずな出版)がある。

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(心理学者 内藤 誼人)

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