精神科医Tomyが伝授、「豆腐メンタル」な自分が打たれ強くなる方法
プレジデントオンライン / 2021年1月4日 8時15分
※本稿は、精神科医Tomy『自分をもっと好きになる「自己肯定感」の育て方』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
■小さなことにこだわってしまう
まず、ゆがみに気がつく方法。
自分を強くするためには、自分の弱点について知らないといけないわ。この弱点というのは、自分の考え方(認知)のゆがみです。
どんな人間でも、普通に、当たり前に生活しているつもりでも、どこか考え方のゆがみというのが出てきます。
たとえば、何かあったときに、全部自分が悪いのかもしれないと思ったり、何も起きていないのに「悪いことが起きているかもしれない」と過剰に不安に思ったり。あるいはそんなにこだわらなくていいポイントなのに、こだわりすぎて逆にストレスを増やしていたり。
こういう考え方のゆがみに気がつくことがすべての始まりと言ってもいいわ。で、これは本当は認知行動療法というカウンセリングの手法なのね。プロが行うセッションによってゆがみに気づいてもらうわけ。
でも、そこまでやらなくても自分でもある程度、ゆがみに気がつくことはできます。それについてちょっと書いてみたいと思うわ。
まずわかりやすいようにたとえ話を出していきましょう。
ここで登場するのはAさん。AさんはLINEがすごく苦手です。でも、日常的にLINEを使わざるを得ないので、困っています。
これが認知行動療法だと、カウンセラーが話を聞きながら、考え方のゆがみについて示唆するわけだけど、ここは自分でやれる方法として、書き出すことを提案してみたいと思います。
■自分が困っている状況を具体的に書き出す
・私はLINEが苦手で困っている。
そうしたら、なるべく具体的に困っている状況について詳しく書き足していきましょう。基本は5W1H。つまりWho(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)です。
ただ、ここで書き出す目的は、Whyを知るためなので、そこは最後に考えましょ。
Aさんの場合でいうとWhoは、LINEの相手全般ですが、仕事のやりとりではストレスに感じていないので、Whoはプライベートの人間関係です。Whenを考えていくと、相手からの返信待ちをしているとき。特に既読がついたあとがストレスだと気がつきました。
Whereは、ここではどこにいてもストレスに感じているので省きます。Whatは、返信が来ているかどうかです。Howは、LINEのことがいつも頭から離れないこと。ここまでまとめると、
・私は、プライベートの人間関係で、相手からの返信待ちをしているとき、特に既読がついたあと、返信が来ているかどうかいつも頭から離れずにストレスを感じている。
ということになります。さあ、ここでWhyの出番。なぜ私はこう思うのか。Aさんは気づきました。
自分が嫌われたんじゃないか、相手を怒らせたんじゃないかと思って不安になっている。ということに。
じゃあ、実際にそんなやりとりをしているかというと、全然そんなことはないのよ。でも、不安になっているときは、その前に送った冗談だとか、立て続けにメッセージ送ったことだとか、スタンプを押したことが相手を不機嫌にさせたかもしれないと心配になっていたの。
あとから振り返ってみれば、実際にそれで相手が不機嫌になったことは一度もないにもかかわらず。
■振り返ってこそ気づく、考え方のゆがみ
このように、カウンセリングを受けなくても、自分で困った状況について書き出して、徹底的に5W1Hを考えてみる。そうすると、なぜそうなったのか、どこが問題なのかが見えやすくなる。
これが自己分析ってことなのね。
さて、ここまで自分のことがわかるようになってきたら、あとは、考え方や行動を変えてみるという段階になってきます。
■考え方を変える、簡単な方法2つ
ここでさっき考えた、自分がストレスになるWhyが生きてくるのよ。
さて、今回のケースのWhyを振り返ってみると、「自分が嫌われたんじゃないか、相手を怒らせたんじゃないかと思って不安になっている」だったわよね。
その根っこにあるのが、その前に送った冗談だとか、立て続けにメッセージ送ったことだとか、スタンプを押したことが相手を不機嫌にさせたかもしれないという気持ちでした。
まず考え方を変えることから見ていきましょう。これにはさまざまなテクニックがあるんだけど、まず簡単な方法は、
・立場の変換
・一般化
です。まず立場の変換から見ていきましょう。これは簡単にいえば、アナタがもし逆の立場だったらどう思うかを想像してみるのね。たとえば、アナタだったら、冗談で怒ることはないだろうし、スタンプで相手を悪く思うことはないでしょう。
メッセージを立て続けに送ることは時と場合によっては「ちょっとうっとうしいな」と思うことはあるけれど、腹までは立てないわね。
そうすると、まあメッセージを立て続けに送ることは控えるとしても、そこまで気にすることもないのかなとちょっと思えます。また、こちらがLINEを送ったときは昼間で、相手は会社員。休み時間に内容だけ確認して既読はつけても、すぐには返せないはず。
このように逆の立場で考えてみると少し冷静になることができるでしょうし、ちょっとした問題点も見えてくる(ここでいうとメッセージを立て続けに送ること)。
■考えを自分だけで完結させない「一般化」
では次の一般化について考えてみましょう。これは自分の考え方を一般的なものにする。具体的にいえば、誰かに「自分の考え方はどうかな?」と聞いてみるということです。本当は「一般的にどうか」ということがわかればいいけれど、いちいちデータをとるわけにもいかないので、身近な人、しかもわりと冷静で参考になる考え方の持ち主だなと思う人に聞いてみることよ。この場合、相手によっても意見が違うでしょうから、何人かこういうことが聞ける人がいたほうがいいと思うわね。
この場合、コミュケーション上手な友人に聞いてみたところ、
・メッセージを立て続けに送ったとしても、これぐらいで怒る人はいない
・あとはまったく問題ない
と言ってくれたので、ちょっと安心できたわけなのよ。あと一般化には「他人に聞く」以外にも自分の経験の中で一般化する方法があるのね。これ結構大切なポイントです。
何をするかというと、今まで、アナタの友人でこれぐらいのやりとりで腹を立てて連絡取れなくなった人はいますか? と自分に問いかけるの。
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精神科医
1978年生まれ。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、産業医。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックに常勤医として勤務。2019年6月から本格的に投稿を開始したTwitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』は、一瞬で心が癒やされると話題に。『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)、『人の好き嫌いなんていい加減なものよ。―他人に振り回されないためのTomy 流処世術』(KADOKAWA)など著書多数。
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(精神科医 Tomy)
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