「高学歴の人ほどベンチャーに行ったほうが稼げる」と断言する理由
プレジデントオンライン / 2021年1月6日 11時15分
※本稿は、株本祐己『稼ぐことから逃げるな』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■ヒト・モノ・カネを動かす力を伸ばす方法
ヒト・モノ・カネを動かす力。自分が動かすことのできる資本の大きさのことを、私はビジネス戦闘力と呼んでいます。
20代でビジネス戦闘力を大きく上げるうえで、1つの大きな選択肢となるのが、従業員が100人未満のベンチャー企業に就職することです。
他にもビジネス戦闘力を上げる進路はさまざまありますが、ベンチャーのメリットを私は身をもって体験しているので、これに関しては自信を持っておすすめできます。
ベンチャーでビジネス戦闘力が大きく上がる理由の1つは、やはり早くから現場の実務に直接携われることです。
大手だと20代では下積み仕事をやらされることが多いのに対し、人材が限られるベンチャーでは若手であっても前線に立って実務を担うことが多いです。
それもビジネスをゼロから一気通貫で任されることが多く、そこに本気で取り組めば、いやでもスキルや人脈はついていきます。
ベンチャーは「ビジネス戦闘力を上げざるをえない環境」といえるのです。
■高学歴の人ほどベンチャーに行くべき
とりわけ中小企業間の取り引きには、経営者が直接登場するケースが少なくありません。したがってベンチャーでの業務を通して、経営者の人脈を大きく広げることができます。
そして経営者との人脈は、ビジネス戦闘力を上げるうえでの重要な柱となります。
大手企業にいては、20代で経営者の人脈を増やすことは、なかなか難しいケースが多いでしょう。
またベンチャーでは、法人営業からマーケティング、請求書の発行・入金チェックまで、スモールビジネスの全てを自分で行うケースが多いです。
もし将来に起業する場合は、その拡大版になるわけなので、勘所がわかっていて非常に起業しやすいメリットもあります。
ちなみに私は、高学歴の人ほどベンチャーに行ってもらいたいと思っています。
ベンチャーに進む人は、「ベンチャーしか行けなかった人」と「ベンチャーをあえて選んだ人」の2通りに分かれます。
社長は当然、「ベンチャーで頑張って力をつけたい」という後者により大きな仕事を任せ、育てていこうと考えます。高学歴の人がベンチャーに行くと、その“あえて組”であるとみなされやすいのです。
■1億PVのサイトの末端部員より100万PVの創設者
「ベンチャーに行ってしまうと、その後大手に行ったり、大手の仕事にかかわったりできなくなるのでは?」と思う人もいるかもしれません。
でも結論からいえば、そんなことは絶対にありません。
ベンチャーで実績をつけさえすれば、その後に大手企業に転職したり、大手企業の仕事に携わることは全く問題なく可能です。
事実、私もベンチャー企業から、大手コンサル会社に転職しています。
知人には、ベンチャー企業から超大手コンサル会社であるマッキンゼーに転職し、そこで超大手企業の案件に携わっている人もいます。
むしろ今後は、大手出身のエリートしか登用しない会社は、着実に淘汰されていくのではないでしょうか。
なぜなら、実力主義ではないからです。
たとえば1億PVを誇るサイトの業務の一端を担っていた人よりも、100万PVのサイトを自分でゼロから立ち上げた人のほうが、ビジネス戦闘力は明らかに高いでしょう。
新たに1000万PVを目指してサイトを立ち上げようとなった際にも、後者のほうが間違いなく人材として有用といえます。
今後は、そういった真に実力のある人材が、大手でますます登用される時代になっていくはずです。
ちなみにベンチャー企業には、新卒1社目で入らなくてはいけないわけではありません。若手であれば、2社目で入っても3社目で入っても、問題ないでしょう。
実際に私のベンチャー時代の先輩たちは、他の企業から中途でベンチャーにやってきた人たちも多く、その後は皆、独立を果たして年収1000万円以上に到達しています。
■稼ぎやすい業種はウェブ系ベンチャー
ベンチャー企業といっても種類はさまざまで、この分野でないとダメというものはありませんが、特に稼ぎやすい業種の1つが、ウェブマーケティング系のベンチャーです。
もちろんウェブ系以外でも稼げる業種はありますが、ここではいったんウェブ系を1つの事例に挙げますので、ウェブ系とは関係ない方も自身が進もうとしている業界にあてはめて読み進めてください。
ウェブマーケティング系ベンチャーの中にもいろいろありますが、「マーケティングの知識」と「法人営業の人脈」が、バランスよく得られる会社というのが、選ぶ際のポイントです。
従業員の規模は、できれば100人未満のところが望ましいでしょう。
同じウェブマーケティング系でも、たとえば「食べログ」など大手グルメレビューサイトの営業は、その枠を売る仕事に終始してしまうので、ウェブマーケティングの知識はあまり身に着きません。
また、大手ウェブコンサル会社内の解析コンサルタントなどになると、外部の人脈を増やすことがままなりません。
だからこそ、法人営業とウェブマーケティングの実務を自分で一気通貫でやらないといけないために、自然と両方の力がついて市場感もつかめるウェブマーケティング系のベンチャーで働くのが絶妙なのです。
具体的には、メディア系の会社に入ってメディアを売る広告営業でもいいですし、広告代理店でいろいろな企業の広告運用をしたり、代理店としてさまざまな商材やマーケティングツールを販売する形でもいいでしょう。
いずれにせよ、ビジネス戦闘力を上げるうえで熱い環境は、法人営業をしながら、ウェブマーケティングに関する実務にも携われる会社です。
そうした会社は世の中に山ほどあるので、就職すること自体は全く難しくありません。
■得意分野の「カテゴリー」を複数持ってかけ合わせる
得意分野をかけ合わせることでも、ビジネス戦闘力を大きく上げることができます。
たとえばウェブマーケティング業界、脱毛サロン業界、フリーランス業界の3つがあるとします。
いずれも、その業界でトップになるのはライバルが多くてかなり難しいでしょう。
しかし、もし「脱毛サロン業界の専門知識をもったフリーランスのウェブマーケター」となると希少性は一気に増し、トップに立つこともできます。
アマゾンのランキングを考えるとイメージしやすいかもしれません。
1つのカテゴリーだけでトップに立つことは至難の業ですが、カテゴリーを3つ、4つとかけ合わせることで、その領域においては順位が上位になります。
ビジネスにしてもアマゾンランキングにしても、抽象度を下げれば下げるほど、その特定領域における価値が高まるわけです。
■たまたま入ったフランチャイズ業界で得た知見
私の場合でいうと、ウェブマーケティングができ、フランチャイズ業界に精通し、フリーランスである、となります。この3つを併せ持つ人材は、かなり限られるでしょう。
「自分の得意分野はこれとこれとこれにしよう」ということをはじめにすべて決める必要はありませんが、若いうちに得意分野をかけ合わせたいのであれば、分野を決めて重点的に伸ばしていくことが必要になります。
私がフランチャイズの領域に飛び込んだのはあくまでたまたまです。しかし、そこには実際に入ってみないとわからないことが多々ありました。
たとえば、フランチャイズにはコンビニや大手外食産業以外にも、学習塾やデイサービス、ハウスクリーニング、美容マッサージ等々さまざまな業種があること。むしろ世のチェーン店の大半が、フランチャイズであること。
またフランチャイズ業界は、長年にわたり同じ担当社、同じ代理店で回し合う、ある意味で閉ざされた業界で、若者がほとんどいないこと、等々です。
■ほとんどの人が入らない領域だからこそ有効だった
こうした事実をきちんと認識している人は、私の周りではほとんど見当たりません。
そしてフランチャイズのような、他の人がほとんど入り込まない領域に携われたことは、今となってはとてもよかったと感じています。
いまだに、StockSunの中でも私しかできないようなフランチャイズ関連の案件が舞い込むことがよくあります。
したがって今の若者があまり目指さないような、ニッチだったりアナログだったりする業界にあえて飛び込んでみるのも、キャリア作りには有効だと思います。
■代理店やコンサルでも異業種経験は役に立つ
たとえば、いったん出版業界で働いてからITの会社に転職すれば、組織形態が全く違うことが実感でき、「出版業界のこの部分をIT化したら劇的に効率が上がる」といった斬新なアイデアも生まれやすいでしょう。
そうしてIT業界の中において、出版業界向けのサービスでは他の追随を許さないポジションを得られるかもしれません。
学生の間で人気の高い広告代理店やコンサル業に関しても、同じことがいえます。
同じ広告マンやコンサルタントになるにしても、他業種を経験しておくことで「出版業界に詳しいコンサルタント」や「医療業界に詳しい広告マン」といった存在になれます。
■「インダストリー×スキル」が武器になる
このように得意分野をかけ合わせる際は、「インダストリー(産業)×スキル」が1つの強力な組み合わせとなります。
たとえば「フランチャイズ×ウェブマーケティングスキル」「出版×コンサルティングスキル(出版コンサルタント)」「IT業界×ライティングスキル(ITライター)」等々です。
したがって代理店やコンサル、IT業といった“中間業”に就く場合でも、メーカーなどの“実業”側に一度身を挺しておくと、後々大きな武器となりうるのです。
以上のことを踏まえながら、自分の得意領域を戦略的に3年スパンくらいで集中的に学んでいくことで、20代のうちに得意分野をかけ合わせられるようになります。
もし将来的にフリーランスになった場合でも、得意分野がいくつかの分野をまたいでいる人材は、その領域においてかなり重宝します。
----------
YouTube「年収チャンネル」運営者
1990年、ドイツ・ハンブルク生まれ。桐朋高校、早稲田大学卒業。学生時代にベンチャー企業で新規事業の立ち上げ、黒字化を経験。新卒で同社に入社し、その後、大手コンサルティングファームに転職。大手金融機関の管理会計業務支援やネットワーク更改などのプロジェクトに従事。フリーランスとして独立し、2017年にStockSun株式会社を創業。2018年、「年収チャンネル」開設。
----------
(YouTube「年収チャンネル」運営者 株本 祐己)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
コンサル企業が今、「ITエンジニア」の採用を重視するワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月17日 7時15分
-
32歳高卒で「年収340万円」は低いですか? 大卒の友人は「800万円」ほどもらっているそうです。都内住みで生活がカツカツなのですが、転職すべきでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月16日 3時0分
-
実は高学歴だと知って驚いた「女性俳優」ランキング! 2位「井上真央」を抑えた1位は?
オールアバウト / 2024年4月10日 10時50分
-
実は「高学歴」だと知って驚いた男性俳優ランキング! 2位の「岩田剛典」を抑えた1位は?
オールアバウト / 2024年4月7日 8時5分
-
【令和の虎】StockSun創業者の株本祐己氏をゲストに迎え、イベントセミナーを愛媛・松山で開催【4/27】
PR TIMES / 2024年4月6日 10時15分
ランキング
-
1なぜ歯磨き粉はミント味? ヒット商品の誕生には「無駄」が必要なワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月26日 8時0分
-
2突然現場に現れて「良案」を言い出す上司の弊害 「気になったら即座に直したい」欲求への抗い方
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 8時0分
-
3濃口醤油と淡口醤油、塩分が高いのはどっち?…醤油の「色の濃さ」と「味の濃さ」の知られざる関係
プレジデントオンライン / 2024年4月26日 8時15分
-
4英郵便局の冤罪事件、会計システム原因の富士通社長「申し訳ない」と謝罪…1月にドラマ化され批判強まる
読売新聞 / 2024年4月25日 23時0分
-
5「加賀屋」50歳の元若女将が選んだ"第2の人生" 震災からの復興への道、仕事術について聞く
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 12時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください