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「モテたい」という動機で服を選んでる人ほど不潔なおじさんになってしまう理由

プレジデントオンライン / 2021年1月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ajr_images

どうすれば清潔な身だしなみを維持できるのか。YouTubeで「大人男子の身だしなみ」を発信する宮永えいと氏は、「オシャレのセンスがない人でも清潔さは維持できる。大切なのは見た目の格好良さではなく、人に対して自分を整えるというビジネス的な見た目の捉え方だ」という——。(第1回/全2回)

※本稿は、宮永えいと『大人男子の「超」清潔感ハック』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「モテたい」から「清潔感を出したい」に変わるキッカケ

皆さんは今、何歳くらいでしょうか。アラサー世代から、50代以降の方もいらっしゃるかと思います。

そこで質問ですが、まだ20代前半で大学生前後だったとき、ファッションやヘアスタイルなど「見ため」を少しでも気にしていましたか?

おそらく、ほとんどの人が首を縦に振るでしょう。特に、東京の大学に通っていた男性では限りなく多いのではないでしょうか。

見ためを気にする原動力の多くは「モテたいから」「就職活動のため」だと感じます。恥ずかしながら、僕も学生時代に何か行動を起こすきっかけは、ほぼ「モテたいから」でした。

インターネット掲示板をやっていたときでさえ、あわよくば「見ためを磨いてモテたい」と思っていたはずです。スポーツやバンド、読書やインテリア、もちろんファッションや髪型も、きっかけはみんなそうでした。

そして、就活のときに初めて清潔感を意識するようになりました。

■多くの男性が年を取ると「覇気のないオジさん」になっていく

学生はサークルや飲み会など新しいコミュニティに参加することが多く、「自分がどう見られているのか」を考えるよいきっかけになっていたと思います。

地下鉄で居眠りするビジネスマン
写真=iStock.com/portishead1
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/portishead1

「印象をよくして女の子にモテたい」
「彼女がほしい」
「マッチングアプリ用にカッコいい写真を撮らなきゃ」

意図的にというよりは本能的にだったと思いますが、明確な目的(モテたい)のために服装や髪型をよくして「武器」をつくっていました。

さらに、就活時は短く切り揃えたヘアは当たり前。真新しいリクルートスーツと、アイロンをかけたパリッとしたシャツに腕を通し、背筋を伸ばして面接に挑んでいたはずです。

ところがどうでしょうか。皆さんの上司で、フレッシュで小ぎれい、「まるで歩く清潔感だ!」と形容されるような人はいますか?

少なくとも、僕が普段乗っている山手線では毎朝「お疲れ顔で覇気のないオジさん」がほとんどです。

ですが、考えてみてください。そんな上司にもみんな、20代前半の「モテたい時期」「就活期」があったのです。今では自分の見ためなんてぜーんぜん興味がなさそうなあの人も、きっと昔は気にしていたんです。

ということは、あなたの未来はどうでしょうか。そう考えるとやっぱり気が抜けません。

でも、あきらめなければ大丈夫です。なぜ年をとると男性は見ためを気にしなくなってしまうのか、紐解といていきましょう。

■気づけば「見た目のマンネリ化」が進んでいる

僕は26歳を過ぎたあたりから、「今日、疲れてますか?」と2週間連続で、毎日お客様に言われたことがあります。そう言われるたびに「心配してくれているなんて嬉しい」ではなく、「気を使わせてしまって申し訳ない……」と感じていました。

「モテ・就活」を原動力にしてあれだけ見ために気を使っていた僕でさえ、仕事に没頭する毎日で様子が変わっていたのです。

「最近、全然キラキラしていないな」

スキンケアなんて特に調べることもせず、いつから置いてあるかわからない化粧水を塗ったり塗らなかったり。ヘアスタイルは20代前半に定番化したお決まりヘアをこだわりもなく継続。服の購買欲は以前よりも落ち、全盛期の服を長年着用。

そうです、完全なる「見ためのマンネリ化」が訪れていました。職場には「気になるあの子」がいないので、見られる意識などいつの間にかどこへやら。しかし思考停止した身だしなみは、不潔感を増していくのです。その結果が「今日、疲れてますか?」です。

「この化粧品は自分に合っているか」
「紫外線対策ってしたほうがいいのか」
「この髪型は若づくりになってしまっていないか」
「この服はこれまで何回洗ってクタクタになっているのだろう」

何も考えずアラサーを過ごしていると、そんなことなど考えなくなってきます。

「いいえ、季節や環境でスキンケアは変えるべきです」
「日焼け止めを塗らないと、将来シミが増えます」
「その束感ヘアはとっても若づくりで逆効果です」
「その服、正直なところお下がりレベルで、クタクタになっていて不潔です」

そんなことを親切に教えてくれる人はいません。

みんな大人なので気を使って心の中にしまっています。それを長年続けると、自分を俯瞰すれば感じるはずのことが次第にわからなくなってくるのです。

気づいたときには「数年間のブランクがあるから、身だしなみって言われても何から手をつければいいかわからない……」という状況になり、それでいて相談することもできなくなっています。

しかし後々僕が気づいたことは、20代前半の見ための捉え方と、アラサーからの捉え方はまったく別物ということでした。

「モテたい」が原動力のファッションをする必要はもうありません。まったく違う動機だから、そもそもブランクなんてないのです。

■アラサーに必要なのは格好良さではなく「身だしなみ」

それから試行錯誤した結果、アラサーからの身だしなみの方向性がわかりました。

「もうカッコよくなくていい」

それが僕が出した答えです。

思い返せば、若いときは「雰囲気」「オシャレ感のあるコーディネート」などを重視した自己満足ファッションでしたよね。言わば「イケメンになるための武器」としてアイテムを買い足していたのです。「雰囲気イケメン」なんていう言葉があったように、オシャレな佇たたずまいを目指す人が多かったように思います。

ですが、アラサーから行うべきことは言葉通りの「身だしなみ」であり、これはオシャレとはまったく別物だと考えます。ためしに『広辞苑』で「身だしなみ」の意味を調べると、こう書いてあります。

・容姿・服装・言葉遣い・態度などに対する、心がけ。「―のよい人」
・心がけとして教養・技芸などを身につけていること。「紳士としての―」

この辞書の意味合いからもわかるように、身だしなみとは「人に対して自分を整える」という、とてもビジネス的な見ための捉え方です。

これなら「ブランクがあってもできそうだ……!」と着手しましたが、思ったより簡単かつ結果が出るのも早いので、身だしなみをアップデートするのがどんどん楽しくなってしまったのです。

センスなんていらない。実験台は自分。学生のときより自己投資できるお金もある。

身だしなみはセンスや技術なんてなくても簡単、かつ、すぐに結果が出る、社会人にとって好都合なビジネスツールの磨き方だなと感じました。

■オンライン時代こそ自分の顔をチェックせよ

ほぼ毎日、東京23区内を出歩いているのに、「この人、素敵な身だしなみだなあ」と思える人を目にするのは、1日で数人程度。非常に少ないです。そのたびに「これはチャンスでしかない!」と、身だしなみに対するモチベーションが上がります。

なぜなら、身だしなみに気を使う人が少ないということは、「最大のビジネスツールを磨けていない人が多い」ということを意味しているからです。ライバルが身だしなみを整えていない可能性が高いからこそ、今が絶好のチャンスなのです。

今ではテレワークが増え、ズームなどのオンラインで商談やプレゼン、会議などをする人が増えたと思います。そのとき、パソコン画面に映った自分を見て、「俺は普段、こんな顔をしてプレゼンしていたのか……」と愕然とした方は少なくないはずです。

リアルの世界だと自分の姿を見ることは少ないですが、オンラインといった画面の世界だと自分を俯瞰して見ることができますよね。肌の調子や目の下のクマ、ヒゲの剃り残しなど、普段気にしていなかったことをまざまざと見せつけられる格好になるでしょう。

「こんな顔をしていて結果は出せるのか?」

自分を客観視することで、思わずそう感じてしまうような不潔要素が見えてきます。そのときに「自分こそ最大のビジネスツールだから」と、気にして見るとよいきっかけになります。

■身なりを整えれば結果が出る科学的な理由

何か商品を買うとき、広告の写真より実際のものがチープだと、「あれ……?」と違和感を覚えませんか? それが広告の写真ではなく人の場合であっても、「写真と違うんだけど……」はよく聞く話ですよね(笑)。要は、信頼を置けないものは大体、外見と中身が合っていません。

宮永えいと『大人男子の「超」清潔感ハック』(KADOKAWA)
宮永えいと『大人男子の「超」清潔感ハック』(KADOKAWA)

いくらよいプレゼン内容でも、疲れ顔でシャツがクシャクシャでは「最高だね!」とはならないと思いますし、逆に清潔感があってハキハキした挨拶から始まれば、相手も「しっかり聞きたい」と思ってくれるはずです。

かつて『人は見た目が9割』(新潮新書)という本が流行りましたが、まさにこの題名は事実なのです。

心理学では「メラビアンの法則」というものがあり、人が相手の第一印象を判断するうえで、「視覚情報(見ためなど)」と「聴覚情報(声など)」による影響は合計93%にも及び、「言語情報(話の内容など)」はたった7%にすぎないと証明されています。

少し極端ですが、プレゼン資料や商材の精度を高めるよりも、自分の身なりを整え、自信をつけることで声や言動にも反映させていくほうが、仕事の結果が出るということです。

かつては芸能人しか許されなかった「画面に映る人」に、誰もがなることができるのが今という時代です。一番売り出すべき商品は自分であり、こだわりを持って手塩にかけて育てるべきです。

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宮永 えいと(みやなが・えいと)
フリーランス美容師
都内有名ヘアサロン勤務を経て独立。ゴウトゥデイシェアサロン(GO TODAY SHAiRE SALON)でサロンワークをこなす傍ら、「大人男子の身だしなみ」をテーマにYouTubeで発信。2020年、株式会社CiiKを立ち上げ、身だしなみをアップデートするメンズコスメブランドを展開。オンラインサロンO2C主宰。著書に『大人男子の「超」清潔感ハック』(KADOKAWA)がある。

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(フリーランス美容師 宮永 えいと)

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