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「脱いでそのまま洗濯機に入れる人の服は臭い」洗濯は全自動にしてはいけない【2020年BEST5】

プレジデントオンライン / 2021年11月18日 10時15分

2020年(1~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。暮らし部門の第1位は——。(初公開日:2020年12月18日)
なぜ部屋干しだと洗濯物が臭うのか。『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)を出した「洗濯ブラザーズ」の茂木康之氏は「すすぎの水が不足していると、せっかく離れた汚れが、また繊維に戻ってしまう。洗濯機を全自動設定からマニュアルにして水量を増やし、『洗い』と『脱水』の時間を変えればいい」という――。

※本稿は、洗濯ブラザーズ『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)の一部を再編集したものです。

「洗濯ブラザーズ」の茂木貴史さん(左)、茂木康之さん(中央)、今井良さん(右)

■日本の洗濯機は圧倒的に水の量が足りない

ほとんどの人が、全自動洗濯機を使っていると思います。

全自動洗濯機は洗濯槽にセンサーがついていて、洗濯物の重さと体積を測って、自動で水の量を計算し、スタートボタンを押すと水がジャーッと流れてきます。とても便利ですが、「汚れをしっかり落とす」という観点では、この便利さが仇になっていると言わざるを得ません。

なぜなら、日本の洗濯機は自動的に節水モードになっているからです。ボクらプロから見ると、圧倒的に水の量が足りないのです。節水はとても大切なことですが、洗いの段階で水が少ないと、汚れがしっかり浮き上がってくれません。

さらに、肝心なすすぎのときに水が不足していると、せっかく離れた汚れが、また繊維に戻って(!)しまいます。部屋干しのイヤな臭いや、黄ばみ、黒ずみは、このせいで起こります。だからプロは、水量の設定をすごく大事にしています。ここが洗濯のいちばんのポイントです。

家庭用の洗濯機なら、基本設定より水量を一段階上げるか、いっそ満水にしてもいいくらいです(洗濯物が少ない日も、です)。そうすると洗濯槽の中で服がよく動くので、汚れがしっかり落ちてくれます。

またドラム式洗濯機はすすぎのとき水が少ないので、すすぎの設定を「注水」にするのがおすすめです。ふつうは洗濯槽にたまった水ですすぐのですが、注水は、新しい水をどんどん注ぎ入れながらすすいでくれるので、そのぶん使用する水が多めになります。

■節水は大切だけど……水量を多めに設定してほしい

ボクたちは以前、洗濯機の各メーカーさんに電話して、水量設定の根拠をヒアリングしたことがあります。ところが、どのメーカーさんも明確な根拠がありませんでした。「節水」を追求するあまり、理想の洗いやすすぎについての研究は二の次なのかな、という印象を持ちました。

言うまでもありませんが、洗濯機は「洗濯」のためのものです。

汚れや臭いが落ちない、黄ばみや黒ずみになりやすいなど、洗濯に少しでも不満があるなら、これからはちょっとめんどうでも、自分で水量を多めに設定してほしいと思います。

洗濯機の時短コースは、ふつうの設定よりさらに水量を少なくしていることがあるので、とくに気をつけてください。

すすぎの回数自体は増やす必要はありません。ほとんどの洗濯機がすすぎ2回の設定になっていると思います。使っている洗剤に「すすぎ1回」と書いてあったとしても、すすぎは2回にするのが理想的です。

■洗剤を水に溶かしてから衣類を入れると生地が痛まない

水は服にダメージを与えています。

そのため、洗濯機を使用するときに手動でやってほしいことがあります。そもそも、水自体にかなり洗浄力があります。洗浄力があるというのは、裏を返せば繊維にとって刺激があるということです。色が抜けたり、縮んだり、傷んだりする原因になります。そうならないように、衣類を水から保護しなければなりません。

そのために使うのは、洗剤です。洗剤にはもちろん洗浄成分が入っていますが、しっかり水に混ぜると、衣類を水の攻撃から守ってくれるのです。

タテ型の洗濯機なら、まず洗濯槽に水を張ります。その水に直接、洗剤を入れます。そして2~3分、洗濯機を回します。これで泡が立つので、そこで初めて衣類を入れてください。このひと手間で、洗剤がムラなく溶けて泡立ち、衣類を保護してくれます。

洗濯中の洗濯機内を上から見た図
写真=iStock.com/Skarie20
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Skarie20

タオルをこのやり方で洗ってみると、いつまでも吸水性が落ちず、ふっくらした風合いが長持ちして、びっくりすると思います。ドラム式の場合は、水と洗剤を先に混ぜることが難しいので、事前に水と洗剤を1対1の割合で混ぜたものを、洗剤ケースに入れればOKです。

このワンアクションで、服が長持ちするようになります。

■洗濯物の量は、洗濯槽の6割までにする

せっかく水の量を多くしても、同時に洗濯物の量を増やしたら意味がありません。

むしろ、水量は多くして、洗濯物の量はいままでより少なくする。それくらいの意識でちょうどいいのです。水に対して洗濯物は6割程度、と心得ましょう。といっても、見た目ではわかりにくいですよね。

タテ型の洗濯機なら、洗剤を混ぜた水に洗濯物を入れて、洗濯物を軽くこぶしで押さえたときに、水が手首の上あたりまでしっかり浸っていれば合格です。

一回、手で測ってみれば感覚がつかめると思うので、やってみてください。ドラム式の場合は、先に水を入れることができないので、カラの洗濯槽にまず洗濯物を入れます。そのとき、洗濯物の量はドラムの窓の半分以下(約15リットル)までにしましょう。

それに対して、水量は最大量(25リットル)に手動設定します。水量を自分で変えられない機種の場合は、とにかく詰め込みすぎないこと。ドラムの中で叩き洗いをするので、パンパンに詰め込むと、それだけで洗浄効果が落ちます。水は多めにして、洗濯物は少なくすることが、いい洗濯の絶対条件です。

■全自動からマニュアル設定に変えると、洗濯の質が変わる

水量を多めに手動で設定したり、洗剤を先に溶かしたり、と「せっかく全自動洗濯機なのに」とガッカリさせてしまったかもしれませんね。すみません、もうひとつお願いがあります。

「洗い」と「脱水」の時間を、設定し直すことです。

洗濯機のコントロールパネル
写真=iStock.com/Wako Megumi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wako Megumi

ふだん洗いの場合、タテ型洗濯機なら、洗い8~10分→水量多めですすぎ2回→最後の脱水3~5分を基本にしてください。

ドラム式洗濯機なら、洗い20分→注水すすぎ2回→最後の脱水3分を基本にします。じつは、クリーニング屋でも家庭と同じ洗濯機を使うことがあります。

ただし、全自動ではなく、昭和の遺産のような二槽式タイプです。これは、設備投資を節約するためではありません。昔ながらの二槽式の洗濯機のほうが、手動であれこれ設定しやすいからです。

ボクたちプロは、洗濯物一枚一枚、使われている繊維や装飾、デザインの複雑さに合わせて、最適な設定で最高の洗い方をします。ボクたちは、洗濯1回ごとに、本当に1枚しか洗いません。そのつど、洗い、すすぎ、脱水の時間を手動で変えています。

全自動洗濯機がオートマ車だとしたら、二槽式はマニュアル車。車好きが走りを追求するように、ボクたちは洗いを追求しています。ご家庭でも二槽式洗濯機がおすすめ、とまでは言いませんが、全自動の基本設定通りでなく、ちょっとアレンジしてみると、洗濯の質が変わります。

とくにドラム式は汚れの落ちがよくないので、洗いの時間を大幅に長くすることで、そのデメリットを解消します。もちろん、すすぎの水を多めにするのも忘れずに。

■脱水時間を短くして得られる2つのメリット

そして、もうひとつ大切なのは、脱水の時間です。これは、どちらも短めにします。理由は大きく2つあります。

まず、脱水をしっかりしすぎるとシワになりやすいことが挙げられます。脱水時間を短くするだけで、アイロンがけが不要になる服がたくさんあります。

もうひとつの理由は、生地を傷めないためです。脱水によってタオルのパイルなどはどんどん飛び抜けてしまいます。たとえば「8000円もした高価なタオルが3カ月でゴワゴワになってしまった……」といった嘆きの声をよく耳にします。

洗濯機の設定を変えるだけで、汚れが落ちやすくなり、服を傷めずに長持ちさせることができるのです。最近の洗濯機は、自分好みの設定を記憶させておくことができる機能もついているので、ぜひ活用してください。

■ワイシャツの脱水時間は1分で充分

毎日ワイシャツを洗う人や、アイロンがけがめんどうだ、という人におすすめの設定があります。それは、最後の脱水時間を「1分」に設定するのです。シワになりやすいものは、あえて脱水時間を1分に短くして水分を保持したままハンガーに干します。そうすると水分の重みで、干している間に自然にシワが伸びてくれます。

ある程度の水は切れるけれど、水分は残っている。その設定が脱水1分です。アイロンできっちりプレスしたような仕上がりを求める人にはもの足りないかもしれませんが、一般のビジネスの場で失礼にならない程度なら、「脱水1分でアイロンなし」で充分いけます。ワイシャツに限らず、ボクらが教える洗濯術は、「なるべくアイロンがけをしなくていいように」と考えた方法でもあります。

洗濯ブラザーズ『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)
洗濯ブラザーズ『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)

なぜなら、アイロンの熱を与えないほうが服への負担が少なくなる、というのがひとつめの理由です。もうひとつの理由は、家庭ではプロのようなアイロンがけは物理的に難しいからです。プロが使うアイロンは、ボウリングの球くらいの重さがあります。それを使ってワイシャツ一枚仕上げるのに20分くらいかけて作業します。

みなさんには、アイロンがけを頑張るよりも、キレイに洗ってラクに仕上げる方法を知ってほしいです。家事の負担がずいぶん減りますから、ぜひ試してみてください。

少しの手間で洗濯物の汚れ落ちと仕上がりが変わります。全自動設定からマニュアル設定に変え、洗濯機には「水→洗剤→服」の順番で入れるのがボクたちの提案する正しい洗濯術です。

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洗濯ブラザーズ(せんたくぶらざーず)
茂木貴史(長男)、茂木康之(次男)、今井良(三男)の3人で結成し、毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動をするプロ集団。横浜でクリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」を経営するかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドなど国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを行う。キレイに洗えるだけではなく、同時に服を傷めず長持ちさせられるのが、洗濯ブラザーズ式・洗濯術の特徴。全国の百貨店、セレクトショップなどでイベントやセミナー、講演を行うなど、毎日の洗濯が、「嫌いな家事」から「好きな家事」になるように、洗濯の楽しさを伝える活動をしている。初の著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)は6万部突破のベストセラー。公式サイト、オリジナル洗剤オンラインショップ

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(洗濯ブラザーズ)

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