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「誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる」睡眠に悩む人に専門医が勧める就寝前の"ある習慣"

プレジデントオンライン / 2022年1月31日 20時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

うまく寝るためには、どうすればいいのか。睡眠専門医の白濱龍太郎さんは「睡眠の質は最初の4時間で決まる。ポイントは『深部体温』と『副交感神経』だ」という――。

※本稿は、白濱龍太郎『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■現代人の睡眠の悩みのカギは、眠りはじめの4時間にあり

昼間は働いて、体はしっかり疲れているのに、なぜか夜ふとんに入ってもなかなか寝つけない。睡眠時間はそれなりに確保しているのに、朝起きると疲れが取れていない。夜中に何度も目が覚めてしまう……そんな睡眠の悩みを抱えている方々には、深~い眠り「深睡眠」の時間が足りていないのかもしれません。

深睡眠とは、脳を休ませ、体の疲れを回復させるノンレム睡眠のなかで、脳が一番リラックスした状態のことをいいます。この深睡眠は眠りについてからの30分、および2~4時間後に出現します。

そのため、寝ついてから4時間以内に深睡眠を十分にとれていれば、脳と体の疲れの大半、約80%は取れてしまうのです。

反対に、深睡眠が不足していると、ぐっすり眠れないだけでなく、やる気が出ない、「血圧」「血糖値」「コレステロール」の値が上がりやすいなど、生活面や健康面にもさまざまな影響が出ます。睡眠の悩みを解消するカギは、深睡眠にあるのです。

睡眠に関する書籍などには「夜10時には寝る」「寝る2時間前に30~40分運動をする」など、「よく眠るための約束事」がたくさん書かれています。

ただ、やらなければならないことが多いと、こんなにできないと思ってしまったり、途中で挫折してしまいがちです。そこで、できるだけ簡単に、誰もが「やってみよう」と思えるように考案したのが「ぐっすりストレッチ」です。

ここでは、拙著『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)より、「ぐっすりストレッチ」を取り入れた「深睡眠がしっかりとれる」=「ぐっすり眠れる」=「疲れにくく健康になる」方法について解説します。

■あなたはなぜ、ぐっすり眠れないのか――理由①深部体温の混乱

人間の体は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しながら、深睡眠がとれるようになっています。しかし、ぐっすり眠れない人の場合、なかなか深睡眠が訪れなかったり、訪れてもすぐに終わったりしてしまいます。これには、「深部体温」と「自律神経」が大きく関係しています。

深部体温とは、内臓など体の内部の体温で、朝目覚めると上昇を始め、日中は高めのまま推移し、夜にかけて低くなるように、一日を通して決まったリズムで変動しています。そして、私たちの体には、深部体温が下がると眠くなるという仕組みが備わっているのです。

しかし、よい睡眠がとれない人は、この深部体温のリズムが乱れ、夕方のピーク時になっても体温が上がらない、夜、ふとんに入る時間になっても体温が下がらないという問題を抱えていると考えられます。

深部体温のリズムは、夜の睡眠時に多く分泌されるメラトニンというホルモンの影響を受けており、このホルモンがしっかり働くためには、朝きちんと太陽の光を浴びること、そして夜にブルーライトなどの人工的な光を浴びないことが重要です。

今の私たちのライフスタイルでは、この光とのバランスが崩れてしまっています。帰宅時間が遅かったり、深夜までテレビやスマートフォンを見ていたり……。

その結果、光の力に影響されてホルモンの分泌が乱れ、人が本来持っている「太陽が昇ると目覚め、暗くなると眠る」という体内リズムも乱れ、さらに眠りにかかわる深部体温のリズムまでもが乱れるという負の連鎖が起きてしまっているのです。

横たわる女性のサーマルカメラ映像
写真=iStock.com/ivansmuk
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ivansmuk

■あなたはなぜ、ぐっすり眠れないのか――理由②自律神経の乱れ

もうひとつ、睡眠に大きな影響を与えている原因は、自律神経です。「交感神経」と「副交感神経」のふたつから成る自律神経は、全身に巡らされ、私たちの心身のすべての活動を調整しています。

交感神経は、日中の活動時や、緊張やストレスを感じるとき活発に働きます。一方、副交感神経は、体や脳を回復させる力があり、リラックスをしているとき、特に眠っているときに活発に働いています。

夜になって体が休息の態勢になると、副交感神経が優位になり、人は自然と眠りやすい状態になります。

しかし、現代では多くの人が夜遅い時間まで仕事などに追われ、ストレスを感じながら、交感神経優位な緊張モードのまま夜を迎えています。これでは、寝る時間がきたからとふとんに入っても、すぐに眠りにつけるはずがありません。

夜を迎えるにあたり、ストレスや緊張から解放され、交感神経の働きを少しずつ鎮め、副交感神経を優位にすることは、とても重要なのです。

眠りの過程は、飛行機の着陸のようなものです。

頑張って高い場所を飛んでいれば飛んでいる(交感神経が働いている)ほど、高度を急降下させることは難しく、着陸する(副交感神経が働いて眠りにつく)までに長い時間がかかるのです。

■体と心の乱れを「ぐっすりストレッチ」で整える

前述の眠れない2大理由を解決できれば、ぐっすり眠れるような仕組みづくりができます。

つまり、眠りに欠かせない深部体温のリズムを整え、忙しいなかにあっても、眠りにつく時間に副交感神経を優位にしてリラックスすることができれば、よい睡眠、深睡眠がしっかりと訪れるようになるのです。

拙著では、ぐっすり眠るためのさまざまなコツをご紹介していますが、なかでもおすすめしたいのが、3ステップでできる「ぐっすりストレッチ」。くわしい手順は次のとおりです。それぞれ1分、合計3分だけ! しかも1週間で眠りが劇的に変化する方法をご紹介します。

Step1 <入浴時>1分間 首もみストレッチ

①シャワーを首の後ろにあてて首の筋肉と血管を温める
シャワーは固定し、ほんの少しだけ熱めのお湯をあてる。

②親指以外の指を組む
指を組んで首の後ろにもっていく。

③首の横のくぼみを親指で軽くつまみ、手を上下にゆっくりと動かす
シャワーはあてたまま。首のコリを解消して血行促進。
→深部体温が上がりやすくなる

1分間首もみストレッチ
出典=『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』
Step2 <ふとんに入る直前>1分間 腕まわしストレッチ

①腕を曲げ、脇を開いてひじを上にあげる

①腕を曲げ、脇を開いてひじを上にあげる
出典=『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』

②腕をそのまま後ろに向かって大きくゆっくりぐるりとまわす
肩甲骨を寄せるイメージで。

②腕をそのまま後ろに向かって大きくゆっくりぐるりとまわす
出典=『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』

③ひじが体の前にきたら手を組み、前方に腕を伸ばす

③ひじが体の前にきたら手を組み、前方に腕を伸ばす
出典=『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』

④そのまま頭の上までもってきてぐっと伸ばす
2秒間くらい伸ばしたままキープ。ここまでが1回。一度手を下ろす。
①から④の流れを1分間に、5~6回、ゆっくりと行う。

④そのまま頭の上までもってきてぐっと伸ばす
出典=『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』

⑤また、ひじを曲げ、後ろにまわす
筋肉の緊張が解け、深いリラックス状態に入ることができれば、副交感神経が優位になり、眠りにつく準備が整う。

Step3 <ふとんに入ってから>1分間 足首曲げ深呼吸

①鼻からゆっくりと息を吸い、足首を体側に曲げる
3秒くらいかけてゆっくりと大きく息を吸い込むと同時に、足首を手前にぐっと曲げる。

<ふとんに入ってから>1分間 足首曲げ深呼吸
出典=『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』

②口からゆっくりと息を吐く
口をすぼめ、3~5秒ぐらいかけてゆっくりと息を吐き切り、足首を元の位置まで戻す。これを1分続ける。

②口からゆっくりと息を吐く
出典=『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』

■ぐっすりストレッチがよい眠りにきくワケ

そもそも睡眠とは、昼間にフルに活動して疲れた脳と体がオーバーヒートしないように、脳の温度を下げて休ませるためのものです。

白濱龍太郎『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)
白濱龍太郎『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)

ですから、人間の脳には、体温が下がると眠くなるという性質があります。このことからもわかるように、夜、眠るタイミングに向けて、深部体温をいかにスムーズに下げられるかどうかが、よい眠りにつけるか否かを左右しているのです。

通常、深部体温は、自然と夕方にピークを迎え、徐々に下がりはじめ、眠りに入ると1度程度、急激に下がるといわれています。

しかし、睡眠の悩みを抱えている人の中には、その深部体温の高低差がつけられない方が多く見受けられます。だからこそ、意識的に深部温度を上げる必要があるのです。

「ぐっすりストレッチ」は、この眠りのメカニズムを利用し、ステップ1、2では深部温度を上げ、ステップ3では体内の熱を外に逃がすことで、人が眠りに入りやすくなるようなしくみをつくっています。

■ストレッチを続ければ睡眠の質はどんどん上がる

「深部体温を上げたうえで、低下を促す」「副交感神経を優位にする」という眠りに欠かせないふたつの大きな要素を促す力が「ぐっすりストレッチ」にはあります。

実践にあたり、ぜひ守っていただきたいのは、毎日続けること、そして「これをやったことで眠る準備ができた」と体に染み込ませることです。まずは1~2週間、眠りにつく前に「ぐっすりストレッチ」を続けてみてください。

大事なのは、「今日もこれをやったから眠る準備ができた」と思うことです。

「ぐっすりストレッチを行い、眠りにつく」。

これを毎日繰り返すことで、やがて脳は「ぐっすりストレッチ」と「眠り」をワンセットでとらえるようになります。

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白濱 龍太郎(しらはま・りゅうたろう)
睡眠専門医
睡眠専門医。睡眠、呼吸器内科、在宅医療の専門クリニック「RESM新横浜」院長。筑波大学医学群学医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。東京共済病院、東京医科歯科大附属病院を経て2013年に「RESM新横浜」を開設。睡眠の質や無呼吸症候群などの睡眠にまつわる病気を適切に診断するために最新の医療機器を導入し、日本睡眠学会認定施設として専門医療を提供している。著書に、『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』『睡眠専門医が考案した いびきを自分で治す方法』(アスコム)など。

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(睡眠専門医 白濱 龍太郎)

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