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「いかがですか?」は絶対ダメ…会話上手な人が無意識に使っている営業トークの「反比例の法則」

プレジデントオンライン / 2022年3月29日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

営業トークの上手い人は、なにを心がけているのか。営業コンサルタントの堀口龍介さんは「たとえば『いかがですか?』と言ってはいけない。できるだけシンプルな質問を投げかけたほうがいい。それは営業トークには『反比例の法則』があるからだ」という――。

※本稿は、堀口龍介『即決営業の超準備 売り込む前に売れる!』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

■ダメな営業マンは“長い質問”を投げかけている

お客様はたくさん話すことで気分がよくなり、心の扉を開いていきます。すると商談もいい雰囲気になり、成約率が上がります。では、ヒアリングでお客様をのびのび喋らせるには、どうしたらいいでしょうか? ポイントは質問の長さです。

まずNG営業マンは、複数の質問とトークをひとまとめにして、お客様に長い質問を投げかけます。保険営業ならこんな感じです。

「保険の見直しを検討されている方は、身内に大きなご病気の方がいらっしゃったり、急に亡くなった方がいらっしゃったり、というきっかけの方が多いのですが、現在の死亡保障を手厚くしたいというご要望の他に、三大疾病やお体が不自由になったときの保障、あと何かの保障が足りていないなど色々あると思いますが、○○様はいかがですか?」

こう言われても、何が聞きたいのかわかりませんよね。これが典型的なヘタクソ質問です。もう一度読んでも、質問のテーマが「保険を考えたきっかけ」なのか「保障についての希望」なのか「○○様の現状」なのか迷うくらいですから、口頭だとさらに混乱を与えてしまいます。

でもじつは、お客様に伝えたいことが多すぎて、こういう話し方になっている営業マンって結構多いんです。初心者だけではなく、ベテラン営業でも見かけます。その結果、お客様は戸惑い、どんどん口数が少なくなっていきます。

■質問をするときは「反比例の法則」を利用すべし

みなさんも、LINEなどのやり取りで、いくつか質問を投げたのに「あれ? ひとつしか答えが返ってこないな」と思ったことはないでしょうか?

例えば、デートのお誘いメッセージなどで、都合のいい日と、行きたい場所と、食べたいものを聞いたのに、返事が一言、「お寿司」だったりとか……。質問した側としては、好きな人の希望を叶えたい一心なので「ちゃんと読んでないの?」と思いますよね。このように、相手に悪気はなくても、質問が長ければ長いほど、返事が短くなることはよくあります。

なぜなら、質問と回答には「反比例の法則」が働くからです。営業の現場においても、質問が長ければ長いほど、お客様の返事は短くなります。結果的に、いつまで経っても本当の悩みや問題が出てきません。そこで、売れる営業マンは、反比例の法則を利用して、なるべく短い質問を投げかけます。

簡単ですが、これがお客様を長く喋らせて、本心を引き出すコツになります。

「○○様が今回、保険を見直そうと思われたきっかけは何だったのですか?」

このくらいシンプルな質問だと、いっぺんにあれこれ聞くよりも、お客様の回答の幅がはるかに広がります。なぜなら、きっかけの背後にある経緯や気持ちまで、自由に話せるからです。さらに、質問がすっと入ってくるので、疲れずに回答に集中できます。

ではなぜ、質問と回答には、反比例の法則が働くのでしょうか?

■相手にたくさん話させるには「シンプルな質問」が有効

それは、人間の脳に「空白を埋めよう」とする性質があるからです。つまりお客様は、空白を大きく感じれば、たくさん話して本音を漏らしてくれますし、空白を小さく感じればあまり話してくれなくなります。

AとBを結ぶ直線と曲線
写真=iStock.com/IvelinRadkov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/IvelinRadkov

例えば、アンケートや学校のテストでも、設問がびっしりで解答欄が狭いと、答えは自然に短文になりますよね。逆に、設問がシンプルで解答欄が広いと、答えは自然に長文になります。あまりにもスペースが余ったら、イラストを描きたくなる人もいるかもしれません。このように人は、与えられた空白に合わせて、自分を表現しようとします。そして、一度、心の扉が開いたお客様は、営業マンがしっかりとリアクションを取り続ければ、どんどん話をしてくれます。

まとめると、お客様がのびのび話すためには、シンプルな質問が大切です。熱意に任せて、長い質問になってはいけません。

あともうひとつ、お客様がすぐに質問に答えないときは、あわてて言葉を足さずに笑顔で5秒待つのがコツです。お客様の悩は、時間的な空白も埋めようとするからです。お客様が本音を話せば、成約率は上がります。まず商談の録音を聞いて、お客様のターンと自分のターンの長さを比較してみましょう。その上で、ヒアリングの質問をいかに簡潔にできるかチャレンジしてみてください。

■好反応の顧客に対して「いかがですか?」と言ってはいけない

商談の序盤でお客様が「それ、いいね!」「ちょうど探してたんだよ」と、やけにいい反応を見せることがあります。そこで「よし、この契約はもらった!」と勘違いするのはNGです。なぜなら、まんまと好反応の術中にハマってしまうからです。

会議をするビジネスパーソン
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

じつは、早い段階の好反応はコミュニケーションの一種で、純粋に商品に対するものではありません。商品説明や料金説明がまだなので当然ですよね。でも、おめでたい営業マンは、このお客様を「今すぐ客」だと思い込み、無意識に営業トークを省略します。少しでも早く契約書にサインさせようとして、問題を深掘りしていなかったり、先回りをサボったりするのです。

中でも命取りになるのが、ニーズの引き出しの甘さです。ここで絶対にやってはいけないのは、慢心のあまり、お客様に決断を迫る場面で、ある禁断のセリフをつけ足してしまうことです。そのセリフとは「いかがですか?」です。

反応の悪いお客様には、なかなか言えないこの一言も、好反応の術中では、つい言ってしまいます。では、どうして「いかがですか?」がNGなのかというと、主導権を全面的にお客様に委ねるセリフだからです。すると、お客様は気に入っていたはずの商品に、一転して難癖をつけはじめます。

なぜなら、人は意見を求められた瞬間、第三者目線の評論家に変身するからです。そもそも評論家は、プラス面よりもマイナス面を探すのが特徴です。つまり、クロージングの場面で「いかがですか?」とお伺いを立てるのは、「この商品の気になる点を指摘してください」と、わざわざお客様に断るきっかけを与えていることになります。

ここに至って、お客様が「○○の機能はないんですよね」などと不安要素を掘り起こすと、もう終盤なのでなかなか覆せません。

■できる営業マンは「プラスの解釈」を引き出していく

ただ、序盤で好反応に惑わされず、ニーズの引き出しをきちんとしていたら、挽回できる可能性はあります。再度そのニーズに立ち返って「○○様も、このまま放置しておくのはよくないから、ご家族のためにも一刻も早く改善したいとおっしゃっていましたよね」と、背中を押すことができるからです。

でも、ニーズの引き出しをサボっていたら、この作戦も使えません。これが好反応の術中における「いかがですか?」の危険性です。

一方、売れる営業マンは、お客様から「それいいね。ちょうど探してたんだよ」などと言われても、手放しで喜んだりはしません。むしろ、ヒアリングの絶好のチャンスと捉えて、こう切り返します。

「ありがとうございます。ちなみに、どんなところを気に入っていただけましたか?」

冷静にこの質問ができれば、自然な流れで、お客様のプラスの解釈をどんどん引き出すことができます。お客様は、最初に自ら「いいね」と言っているわけですから、営業マンにとって都合のいい意見しか出てきません。さらに、なぜ気に入ってくれたのかを掘り下げていけば、お客様の本当のお悩みにたどり着くことができます。これが即決営業流、好反応の術返しです。

■商談序盤での好反応はまやかしにすぎない

まとめると、商談の序盤でお客様の反応がよくても、それはまやかしにすぎません。

堀口龍介『即決営業の超準備 売り込む前に売れる!』(秀和システム)
堀口龍介『即決営業の超準備 売り込む前に売れる!』(秀和システム)

そこでニーズがあると早とちりして、いきなりプレゼンに入ったり、トークを端折(はしょ)ったりすると、成約率がどん底に下がります。また、お客様から商品を褒められたとき、落ち着いて質問で返せば、深いヒアリングにつなげることができます。しかも、ここで語られるプラスの解釈は、クロージングで背中を押す材料に最適です。

なるべくそのままのセリフで記憶しておき、お客様が契約を迷いはじめたら「○○様も、こうおっしゃっていましたよね?」と、しっかり思い出させてあげてください。最後に、クロージングの段階での「いかがですか?」は、自信過剰のNGワードです。

お客様を素人評論家に変え、商品に対するマイナスの意見を誘発します。土壇場で断るチャンスを与えないよう、禁断のセリフとして封印してください。好反応の術返しは、お客様のリアクションを逆手に取って契約の方向に抑え込む、合気道のようなイメージです。

営業マンがうっかり好反応の術中にハマると、言うべきことを言わず、余計なことを言いやすくなるので気を引き締めていきましょう。

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堀口 龍介(ほりぐち・りゅうすけ)
即決営業コンサルタント
1976年生まれ。大阪出身。22歳のとき、大学入試教材の訪問販売最大手に入社。「即決」にこだわることをモットーとして、翌年にはセールスマン1000人以上のなかで年間個人売上1位の成績を収める。すべての営業過程を「即決のため」とすることから「即決営業メソッド」と名づけ、セミナー活動を開始。主な著書に『即決営業』(サンマーク出版)、『1分で売る 最小の労力で成果を最大化させる「AI時代の即決営業」』(冬至書房)、『即決営業の超準備 売り込む前に売れる!』(秀和システム)などがある。

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(即決営業コンサルタント 堀口 龍介)

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