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産業医が教える「3年以内にいなくなる新入社員」に共通する"ある言動"【2021編集部セレクション】

プレジデントオンライン / 2022年5月10日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

2021年にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2021年5月24日)
すぐに会社を辞める新入社員は、どんな不満を抱えているのか。産業医として年間1000件以上の面談をしている武神健之さんは「入社3年以内に辞める社員には2つの共通点がある」という――。

■2020年の新入社員は「不完全燃焼」だった

今回は、入社数年以内の社員たちとの面談から見えてきた、入社から3年以内にいなくなってしまう社員について考えてみたいと思います。

コロナ禍の新入社員たちとの面談で多かった相談は、仕事量が多すぎて大変だとか、先輩たちが優しくないなど、ネガティブな内容ではありませんでした。むしろ、社会人1年目としてやる気満々な気持ちが、コロナ禍のため期待していたように満たされないという内容が多かったです。

・リモート勤務推奨のため、もっと会社に出社して仕事を覚えたいのに、出社させてもらえない。
・ちょっと先輩に確認したいことやわからないことがあった時、在宅勤務だと気軽に先輩に相談できない(から仕事がそこで止まってしまう)。
・楽しみにしていたアフターファイブなんてない。

社会人になるにあたって持っていた期待やエネルギーが不完全燃焼……。そんな声が多いのが印象的でした。

■一人暮らしの部屋は、在宅勤務には狭すぎる

中には、切実な相談内容もありました。

社会人になり一人暮らしを始めたA君は、あえて会社の近くに住み仕事に没頭するつもりでした。寝るために帰るだけと思っていた一人暮らしの小さい部屋は、在宅勤務を続けるには狭すぎて、椅子や机等の家具もしょぼくて、この環境で一日中在宅勤務すると気分が暗くなってしまう。週末も同じ部屋で過ごしていると気分転換なんてできない(でもコロナのため外出が怖くてできない)という相談には、私も同情するしかありませんでした。

アフターコロナの時代が来れば、きっと彼らがもっと仕事や遊びに満足できる状況になるはずです。その時まで、頑張って欲しいと思います。

■辞める新入社員は「自分と他人を比較」する

私が産業医として勤務する会社では、昨年は入社してすぐに辞めてしまう新入社員はいませんでした。これは転職への不安が抑止力になったことが大きいと思います。

しかし、入社して3年以内に辞めてしまう新入社員もいることも事実です。そのような社員たちには2つの共通点があります。

1つめは、常に自分を他人と比較していることです。

社会人になったら他人と自分を比較してはいけません。その理由は、他人と比較することは高い確率で自分を楽にはしてくれないからです。

多くの新社会人は今まで、同学年の人と比べることで、「自分のレベル」を把握していました。しかし、社会人になると、自分より30学年以上年上の人もいます。しかも全員新人の自分より仕事を知っている人たちです。そのような人たちと自分を比べても、落ち込む以外ありません。

オフィスで落ち込んでいるビジネスマン
写真=iStock.com/AH86
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AH86

■社会人が比較すべきは「過去の自分」だ

また、一般的に会社にはレベルの近い人が集まることが多いため、今まで平均より上だった人も、新しい集団では半数が平均以下になってしまいます。他人と自分を比べること自体が間違っているのです。

そして、他人と自分を比較する人の中には、その比較した他人を追い越した時点で満足してしまい、成長が止まってしまう人もいます。

しかし、社会人は、昨日の自分よりも今日の自分、先月よりも今月、1年目よりも2年目と、過去の自分よりも成長していることが最も大切です。これから30年以上続く職業人生上、大切なのは現時点での能力よりも、個としての成長と、それによる「これからの」能力なのです。いずれ自分はできるようになれるという、揺るがない信念をもっていればいいのですが、他人と自分を比較する人はどうしてもそうは思えないようでした。

■わからなくて当然なのに、知ったかぶりをする

2つめの共通点は、知ったかぶりをするということです。

入社1〜2年目の社員は、仕事のことを知らない、わからないのが当然です。多くの場合、周囲も、知らない、わからないものと考えていますので、素直に教えてもらう姿勢が大切です。所属が変われば、解釈や方法が変わる可能性もありますので、知っていたことであっても、一度きちんと教わったほうがいいのです。

たとえ、知っていたりわかっていたりしたとしても、周囲にとっては単なる驚きであり、あなたが優秀だという評価にはつながりません。なぜならば、社会人は知っていることや、わかっていることではなく「態度・行動・結果」で評価されるからです。

また、知らないことやわからないことを聞くことが許されるのは、若手社員の特権です。この時期、素直に聞けない人は、この先も聞くことができるようになりません。この時期は、わからないことをいろいろ聞くことで、上手に質問をする技術が身につく時期でもあるのです。知ったかぶりは、その全ての機会を逃してしまいます。

オフィスでミーティング
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

そのような若者に限って、上司は私を分かってくれない、認めてくれない、教えてくれない等々言いがちです。でも、求められるのは、先輩たちが、教えたくなる、優しくしたくなる後輩なのです。

■まずは仕事に対する前向きな姿勢を褒める

では、どうすれば、このような新人社員も辞めずに働き続けることができるのでしょうか。数年後には立派な先輩社員になってもらえるのでしょうか。

それは、若手社員をたくさん褒めることです。本来であれば、仕事の成果やうまくできたことを褒めたいですが、まずは、仕事に対する前向きな姿勢、やる気のある部分を褒めましょう。褒められた人は嬉しく感じ、自尊心が満たされます。自己肯定感が上がり、他人と自分を比べることに固執しなくなります。

実際に結果がでたときは、そこをしっかり具体的に褒めてあげましょう。褒めるときは、恥ずかしがらずに、他人の前でも褒めましょう。褒められて承認欲求が満たされた人は、物事をポジティブに考え行動することができるようになります。そして、自発的に動き、もっと小さい成功体験を積み重ねられるようになるのです。

本人が自己成長を自覚できるようになれば、おのずと仕事にやりがいを感じるようになります。そうすれば、わからないことを先輩に聞いて解決することは、仕事の成功や結果を出すためには些細なことであるとわかり、上手に周囲の人に聞くことができるようになるでしょう。

このような話をすると、「褒めるところがない新人はどうするのか?」と、聞かれます。その時は、その社員の姿勢、気持ち、やろうとしている部分を見つけ、そこに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう。

■テレワーク時代の新人フォロー「3つの心がけ」

しかし、今はコロナ禍、テレワークの時代です。新しい働き方の中で、先輩社員はどのように新入社員をフォローすればいいのでしょうか。ぜひ以下の3つを気に留めて、心がけていただければと思います。

1つめは、テレワークでは従来の出社時に比べ、部下の変化に気がつきにくいということ。2つめは、部下が在宅勤務をどう捉えているか、ポジティブなのかネガティブなのか、快適なリモート環境なのか寂しいのか等々、その理由も含めて知っておいてほしいということ。3つめは、それをもとに、部下によって、接する頻度や声かけ頻度を変えましょう、ということです。

もし、何か引っかかるものがあれば、ぜひ部下に、「テレワークだといろいろ勝手が違って戸惑うよね」「何かお困りのことある?」「いつもと違うけど、どうしたの?」など、まずは気がついている、心配しているということを理解してもらえるように声をかけてあげましょう。何も引っかかるものがない、元気そうな部下には、食事や睡眠、趣味や運動等の基本的な規則正しい生活ができているか、仕事以外のこともたまに気にかけることをお願いしたいと思います。

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武神 健之(たけがみ・けんじ)
医師
医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。ドイツ銀行グループ、BNPパリバ、ムーディーズ、ソシエテジェネラル、アウディジャパン、BMWジャパン、テンプル大学日本校、アプラス、アドビージャパン、Wework Japanといった大手外資系企業を中心に、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。2014年6月には、一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、「不安とストレスに上手に対処するための技術」、「落ち込まないための手法」などを説いている。著書に、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』や『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』などがある。公式サイト

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(医師 武神 健之)

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