「嫌な予感しかない」相談なしにピカピカの新車に乗り替えた老親の"不吉な兆候"【2021編集部セレクション】
プレジデントオンライン / 2022年5月6日 10時15分
※本稿は、上大岡トメ『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』(黒田尚子監修・主婦の友社)の一部を再編集したものです。
■お盆や正月の帰省は家族ではなく自分ひとりがいいワケ
Q 親はまだ元気だけど、注意すべき点は?
A(黒田尚子さん) トラブルに見舞われる可能性が。
不安の芽は早めにつみとって
私たちの人生に思いがけない災難はつきものですが、親が高齢になるにつれてその発生率は高くなります。大事なことは初期消火。「なんでこんなことに!」と悲鳴を上げる前に、老親の小さな変化に気づくことが大切です。
そのためにも、いままで以上に顔を合わせたり電話で声を聞いたりして、コミュニケーションをとる機会を増やしましょう。「盆と正月に家族で実家に顔を出している」という人なら、ひとりで会いに行く回数を増やすのもいいかもしれません。大勢での帰省は老親には負担かもしれませんし、少人数のほうがゆっくり話すことができます。なにげない会話や日常生活の中に、老親の現状を知るヒントがあるのです。
■相談なしにピカピカの新車に乗り替えた老親の“不吉な兆候”
◆アンケートその1【親の衰えに気づいたのはこんな瞬間】
◎父の死でガックリ
父が亡くなって母の元気がなくなり、姿勢も悪くなった。一時的なものかと思っていたが、2年たっても改善せず、首がどんどん下がっていくので受診したら、いわゆる老化と言われた。このまま筋肉が落ちるとさらに首が下がるという。放置していたことを後悔した。[たけさん/58歳]
◎趣味から遠ざかる
ゴルフなどのスポーツが好きで、書道をし、自分史、随筆なども書く父だったが、85歳ごろに文字を書くことから気持ちが遠のき、歩くのも遅くなった。[Jessyさん/58歳]
◎イライラ
父はちょっとしたことでイライラして母に怒りをぶつけるようになった。私が母をかばうと怒りが増幅してしまうので本当に困った。[亜沙子さん/48歳]
◎熱中症
離れて暮らすひとり暮らしの母に定期的に食事を届けていたが、8月末に県外に住む妹から「電話に出ない」と連絡が。急いで駆けつけると、熱中症で家の中で倒れていた。幸い意識があり、すぐに入院。以前認定された「要支援1」の介護保険は全然使っていなかったので、再審査を依頼することに。[れいかさん/57歳]
◎事故ってた!
久しぶりに実家に帰ったら、車が新しくなっていた。理由を聞き出すと、父が運転中にカーブで山肌に接触して横転し、ケガはなかったものの車は廃車になってしまったのだそうだ。私たちには何も言わず、自分で車を処分して新車を買っていた。[oceanさん/57歳]
◎茶の間で寝転がったまま
帰省したとき、義母が茶の間で寝転がったままで驚いた。受け答えも的はずれなことが多く、難聴があったので聞こえていないせいかな? と思って補聴器をすすめたりした。その後原因がわかり、アルツハイマー型認知症だった。[Kさん/49歳]
◎調理中になべを焦がす
母が調理中になべを焦がしたり、話をしていても「アレだから」などと説明できなくなったり、通帳がないと騒いだり……。徐々に夜眠れなくなり、暴言を吐くようになったので受診すると、認知症だった。[まこママさん/55歳]
◎オペラを習っていた母が
オペラを習っていた当時65歳の母が、通い慣れた先生の家にたどり着けずに迷子になった。そのころから徐々に悪化し、70歳でレビー小体型認知症と診断された。[キタさん/60歳]
■息子が親の車を勝手に売却「オレの人生は終わった」と激怒する父
◆アンケートその2【高齢の親……ここが困った!】
◎家事能力ゼロ
母が亡くなってひとり暮らしになった父は、ゴミの捨て方も電化製品の扱い方もまったく知らなかった。汚れたままのゴミを放置して虫がわき、洗濯機にはジャケットやポーチをそのまま入れて洗濯し、干し忘れてくちゃくちゃに。[涼ちんさん/58歳]
◎介護保険料未払い
父は元気なころ「介護保険などいらない」と言っていたが、本気だったらしく、いざサービスを受けようと思ったら介護保険料未払いの時期があったことが判明。あわてて支払った。[風のみちくささん/61歳]
◎いつまで運転?
父の運転で親戚の葬儀に行ったとき、車線変更の際、後方の安全確認を怠っていて驚いた。その1カ月後にアクセルとブレーキを踏み違えて物損事故を起こし、父は大腿骨骨折。退院後、私の弟が強制的に警察署に連れていき、免許を返納させた。[ピーチさん/56歳]
◎「オレの人生は終わった」
父は運転に自信と誇りを持っていたが、あるとき車を自宅の車庫にこすってしまった。免許の返納を提案したもののまったく聞き入れない。心配になって父の車のあとをつけてみると、車線変更の指示を出さない、停止線を越えて停車、はみ出して駐車……。高齢者の悲惨な交通事故のニュースに不安になった私は、車検を機に無理やり父の車を売ってしまった。父は激怒し、親子関係も険悪に。2年後ようやく父は免許を返納したが「オレの人生は終わった」と言う。本人が納得するまで待つべきだったか、答えは出ない。[みかんさん/51歳]
◎ネガティブ全開
仕事をリタイアしたあたりからネガティブな言動が目立つようになった母。昨年父が倒れてひとり暮らしになってからは、攻撃的かつ批判的な発言がいっそうひどくなった。自分の若いころにさかのぼって誰かを批判し、その悔しさを延々と私たち娘にぶつける。さらに「最近、無言電話がくる。これは絶対に親戚の○○さんだ」などと根拠のない推測で非難しつづける。[きりんさん/58歳]
◎母子関係が悪い
母は耳が悪く、何度も聞き返されるので大きな声で答えると、私が怒ってどなっているようになる。補聴器を使ってほしいと言っても使いにくいと拒否。母が大声で「えぇっっ?」と聞き返す声が私にとってもストレスなのにわかってくれない。もともとよい母子関係ではなく、私の提案は反射的に拒否する母。今後、母を介護できるか自信がない。[たまさん/55歳]
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イラストレーター/エッセイスト
東京生まれ横浜育ち。東京理科大学工学部建築学科卒。建設会社を経てイラストレーターに。一級建築士、講道館柔道初段、日本ヨーガ瞑想協会登録教師。著書にミリオンセラー『キッパリ! たった5分間で自分を変える方法』、『のうだま1』(池谷裕二氏と共著)、『日本のふくもの図鑑』、『老いる自分をゆるしてあげる。』など多数。
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ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書に『親の介護は9割逃げよ「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし』など多数。
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(イラストレーター/エッセイスト 上大岡 トメ、ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)
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