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エアコンは「内気循環」ではなく「外気導入」で…高速道路で事故を起こさない5つのポイント

プレジデントオンライン / 2022年5月4日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Baretsky

高速道路を安全に走行するには、どこに気をつければいいのか。モータージャーナリストの菰田潔さんは「日本では十分な車間距離を空けずに走っているクルマが多い。2秒間の車間距離をとることで事故を回避でき、渋滞対策にもなる」という――。

■車間距離を測るときは「ゼロ、イチ、二」とカウント

みなさんにはぜひ、高速道路をより安全に走るためのポイントを押さえて「うまいドライバー」になってもらいたい。

まずは車間距離。いま欧米では2秒以上がスタンダードになっているが、日本の高速道路を走っているクルマを観察すると1秒程度で走っているドライバーが多い。

前のクルマが影や段差などを通過したときに、ゼロ、イチ、ニとゆっくりカウントする。そうすると大体2秒間になる。ニという前にその場所に到達してしまったら短いことになる。

時速100kmでは1秒間に約28メートル進むから2秒間だと約56メートルになる。日本式の時速100kmのときは100メートルより短いが、流れに乗って安全が保てる距離なのだ。

欧米では最初の1秒が反応するまでの時間、残りの1秒でブレーキを踏んだりハンドルを切ったりして事故を回避する時間と考えている。また2秒の車間距離で走っていると渋滞も起こりにくいと言われている。

先の見通しも2秒間の車間距離をとっていると見えるようになる。1秒間では近すぎて、前のクルマが邪魔でその前が見えなくなる。

■雨の高速道路では暗くなくてもロービームを点灯

ヘッドライトはなるべく点けた方が安全だ。昭和の時代はバッテリーが弱く、発電機も性能が良くなかったため、ヘッドライトはこまめに消すのがベテランドライバーの運転術だった。しかし今はLED電球になり、電力消費も少なく発電機の性能も良くなったので、ヘッドライトを点けることによるトラブルは無くなった。

ヘッドライトを点けることで自車の存在を周りにアピールでき、安全性が高まる。このときにはヘッドライトのロービームが良い。雨の高速道路では暗くなくてもヘッドライトを点けることが安全面では非常に大事だ。スモールランプでも、フォグランプでもなく、もちろんハイビームでもない。

スモールランプが明るく光るDRL(デイタイム・ランニング・ライト)も安全性のために装備されたものだ。DRLがあればライトスイッチはオートにしておけばいい。雨が降っていても明るい天候だとライトが自動的にオンにならないケースもあるから、そのときは手動でオンにしてロービームを点ける。ワイパーが動くとクルマが雨だと判断して自動的にロービームを点けてくれるクルマも増えた。

■エアコンの「外気導入」は眠気を防ぐ効果がある

走行中はエアコンを使っていると思うが、空気のコントロールはどうやっているかが心配だ。

外から空気を取り入れる「外気導入」と車室内の空気を循環させる「内気循環」から選択できるが、「内気循環」で使っているドライバーが多い。しかし長距離ドライブのときには「外気導入」の方が酸素を多く含んだ空気が車内に入ってくるので眠気を防ぐ効果がある。

もし眠気を催してしまったらどうすれば良いのか?

それは仮眠を取ることが一番だ。次のサービスエリアかパーキングエリアまで頑張って到達したら、カフェインが入ったコーヒーやお茶などのドリンクを飲んで寝る。目覚ましを15分間でかけておいて、すぐに起きる。それからトイレに行き、顔を洗って軽い体操をしてから運転再開だ。仮眠は最大20分までで、それ以上寝ると本格的に眠くなるから注意しなくてはならない。

運転を再開したころになると寝る前に飲んだカフェインが効いてきて、眠気も覚めスッキリと運転できる。仮眠のあとに事故になるケースも多いそうだ。運転再開は身体を目覚めさせるように動いてからにすることが大事なポイントだ。

■ドライバーの負担と事故リスクを減らすACC

長距離ドライブ時にはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)をうまく活用することで、疲れが少なくなりより安全運転をするための補助になる。

セットしたスピードで走るだけでなく、先行車に追い付いたら適切な車間距離を保ちながら走ってくれる。前のクルマがスピードを落としたら、こちらのクルマのスピードも落とし、前のクルマが加速したらこちらのクルマもセットしたスピードの範囲内で加速してくれる。

もちろん前をしっかり見ていなくてはならないが、レーダーとカメラを使って一部だけ自動運転をしてくれるのだ。右足はアクセルペダルから解放されるから楽になる。ハンドルは手放しできないが車線の白線をカメラが見ていて、白線を踏みそうになるとハンドルを微修正してくれるのもありがたい。

渋滞モードで手も足もフリーで走れる機能を持ったクルマもある。高速道路、先行車がいる、スピードは60km/h未満という3つの条件が整うと、指定されたスイッチを押すことで手と足がフリーのまま走れる。これも前を監視していなくてはならないが(ドライバーの顔を監視するカメラあり)、渋滞中に完全停止してもまた自動で発進してくれるから、連休中の渋滞も怖くなくなる。

前を向いていれば自動運転してくれるACCの渋滞モード
筆者提供
前を向いていれば自動運転してくれるACCの渋滞モード - 筆者提供

■クルマをきれいにしておくと良いことずくめ

もう一つ大事なことは、クルマをきれいにしておくこと。「きれいなクルマは事故が少ない」と言われる。きれいにしていると小さな傷も付けたくない気持ちになる。汚いクルマで少しの擦り傷を気にしないようになると、その先でガチャンと大きな事故につながるのだ。

きれいにしておくメリットは、最新の安全装置(ADAS=先進運転者支援システム)のレーダーやカメラなどが正常に働くようになることだ。カメラのレンズはたいがい前の窓の中に設置してあるから、フロントウインドウをきれいにしておくことでADASも正常に作動できるようになるからだ。

正しいドライビングポジションで座ることも安全運転に非常に役に立つ。

まずは腰を深く腰掛けて、お尻の後ろに隙間が開かないように座る。こうするといざというときの急ブレーキもしっかり踏めるようになる。また長距離ドライブでも腰が痛くなりにくいというメリットも生まれる。

次はシートの高さ調節。目の位置が高めの方が広い視界が得られ、正しい情報がたくさん得られる。メーターが見えてリラックスできる範囲内で高めに合わせる。

■正しいドライビングポジションなら疲れにくい

次はシートの前後スライド。左足でフットレスト(足を置く台)を強く踏みつけるようにしても膝が確実に曲がっているように。こうすると多くのドライバーはシートを前に移動するはずだ。これは身体を安定させ、しっかり急ブレーキが踏めるようにするためだ。

シートのリクライニングとハンドルの位置。これは片手でハンドルの12時の位置を持ったときに背中がシートから離れず、肘が少し曲がる位置に合わせる。ハンドルが上下(チルト)、前後(テレスコピック)に動くクルマも増えているから、多くのドライバーが最適なドライビングポジションに合わせられる。

最後にヘッドレストの高さを合わせる。基準は頭頂部とヘッドレストの上が同じレベルになるようにする。これは追突されたときに首を守るために頭を押さえる目的がある。

1.深く座る。
2.目の位置を高めに。
3.膝が確実に曲がるように。
4.肘が少し曲がるように。
5.ヘッドレストの高さ。
理想的なドライビングポジション
筆者提供
理想的なドライビングポジション - 筆者提供

この5つのドライビングポジションのチェックポイントを忘れずに調整してから出発。長距離運転でも疲れが少なく、いざというときに急ブレーキがかけられ、広い視界で情報をとりながら運転できるから覚えてほしい。

いざというときには最初からABSが作動するほどの急ブレーキをかける。完全停止まで思い切りブレーキペダルを踏み込むことで、最短の制動距離で止まることができるのだ。

事故をなくすことが渋滞を防ぐことにもつながり、楽しいドライブを続けられることになる。十分な睡眠をとって安全運転をしてほしい。

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菰田 潔(こもだ・きよし)
モータージャーナリスト
1950年生まれ。自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、84年から、新型車にいち早く試乗して記事を書くフリーランスのモータージャーナリストになる。日本自動車ジャーナリスト協会会長。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。JAF交通安全・環境委員会委員。著書に『あおり運転 被害者、加害者にならないためのパーフェクトガイド』(彩流社)、『あなたの“不安”をスッキリ解消! クルマの運転術』(ナツメ社)など。

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(モータージャーナリスト 菰田 潔)

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