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1年で14キロ減量の医師が伝授「糖質オフ」で失敗した人に効く「タンパク脂質食」とは【2021編集部セレクション】

プレジデントオンライン / 2022年5月18日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/piotr_malczyk

2021年にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2021年6月19日)
1年で14キロの減量に成功、脂肪肝も改善した医師・水野雅登氏が、最新医学知識と自身の体験をもとに『1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法』を上梓。さまざまな病気や不快症状の温床にもなる内臓脂肪を効率的に落としつつ、同時に糖尿病や高血圧の改善も期待できる方法をわかりやすく紹介する同書から、そのエッセンスを3回に分けて特別公開する──。(第3回/全3回)

※本稿は水野雅登『1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。

■食事だけで痩せる、糖尿病も劇的改善する

内臓脂肪をためるインスリンの分泌を抑え、内臓脂肪を燃焼する働きを高める食事として、私は「タンパク脂質食」を提唱しています。

この食事法は、私が糖尿病患者さんのために2014年11月に考案したものです。そして、実践者第1号は、私自身でした。

結果、1年で14kg痩せました。基準値ギリギリだったヘモグロビンA1cは完全に正常化し、脂肪肝も改善、体が劇的に軽くなって人生が様変わりしました。

その後、糖尿病患者さんたちの治療に取り入れたところ、肥満のあった患者さんたちもみるみる痩せ、糖尿病も劇的に改善していきました。

なかには100kg超の高度肥満がある患者さんもいました。「脂肪細胞がパンパンに太っていて、その数も多くなっている」という“超痩せにくいタイプ”でしたが、するすると体重を落とし、半年で15kgの減量に成功しました。

タンパク脂質食、すなわち、「肥満ホルモンであるインスリンの分泌を抑える食事」に変えるだけで、いかに速やかに脂肪が減るのかがわかると思います。

■食べる優先順位が大切

私がこの食事法を「タンパク脂質食」と名づけたのは、なにより優先順位が大切だからです。食べる順番を間違うと、本来は体に良いはずのものでも体調不良を起こすことがあるのです。

そのため、タンパク脂質食は「タンパク質を最優先!」という意味を込めて「タンパク質」を頭にもってきました。

また、ガマンすることよりも、より積極的にとるべきものを言葉で表すことは、食事改善の成功可能性を高めることにもつながります。というのも、流行の「糖質オフ」だと、どうしても大好きな「糖質」という言葉に意識を引っ張られてしまい、かえって渇望感をあおられてしまうからです。

タンパク脂質食では、ガマンを強いる雰囲気を避けて、積極的にどんどんとってほしい「タンパク質」と「脂質」をそのまま表すことにしました。人は、ガマンを強いられるよりも、「どんどんやっていいよ!」というメッセージのほうが受け入れやすいと考えたのです。

■動物性タンパク質は何でとる?

まず、最も重要な動物性タンパク質は、基本的には「肉」「卵」「ホエイプロテイン」の3つを組み合わせながら補給することを推奨しています。

肉は牛、豚、鶏、羊など、好みのもので大丈夫です。ただし、豚肉は脂質が多めなので、とる部位で調節しましょう。脂質重視ならバラ肉、タンパク質重視ならひれ肉を選ぶとよいでしょう。

卵は「完全栄養食」ともいわれ、非常に良質のタンパク質です。ホエイプロテインは、乳清(ホエイ)から作られるプロテインです。

人間は哺乳類ですので、同じ哺乳類の牛、豚が最も効率のよいタンパク源です。次いで鶏肉、その次が魚肉です。

魚はタンパク質の品質としては、肉、卵に次ぐものがありますが、吸収効率は哺乳類・鳥類よりは1段下がります。また、魚は1食でとれるタンパク質の量が肉と比べると少ないので、メインのタンパク源とするとタンパク質不足を起こしがちです。

ただし魚は、良質な脂質であるDHA・EPAを摂取できるメリットがあるので可能な範囲で積極的にとりましょう。焼き魚や干物の場合はDHAやEPAが激減しているため、私はときどき刺身をとるようにしています。

また、タンパク源というと「大豆を食べています」という方が多いのですが、植物性のタンパク質は非効率的なのでおすすめしません。

■タンパク強化に必須のホエイプロテイン

次にホエイプロテインです。「ホエイって何?」と思った人がいるかもしれません。ヨーグルトの上に透明な液体がたまっているのを見たことがあると思います。あれがホエイです。

ホエイプロテインは、日本で主流のものとして「WPC(濃縮乳清タンパク質)」と「WPI(単離[分離]乳清タンパク質)」があります。それぞれの特徴は次の通りです。

■ WPC(濃縮乳清タンパク質)の特徴
・価格が比較的安い
・乳糖が入っている
・タンパク質含有量が少なめ(70~80%)
■ WPI(単離[分離]乳清タンパク質)の特徴
・価格が比較的高め
・乳糖なし
・タンパク質含有量が高い(90%以上)

なるべく高濃度のものをとりたいとか、WPCだとおなかの調子が悪くなるなど乳糖不耐症の症状が出る場合には、WPIがよいでしょう。日本人は乳糖不耐症の方が多いので、WPIは有効です。なお、ドラッグストアなど店頭で売られているホエイプロテインのほとんどは、安価なWPCのほうです。

■タンパク脂質食の「脂質」って?

タンパク質の次は、タンパク脂質食の「脂質」の部分を見ていきましょう。

私が摂取を推奨している脂質は、動物性なら動物の肉や魚に含まれている脂質、ラードや牛脂、バター、生クリームなど。植物性ならオリーブオイルやココナッツオイル、MCTオイル、エゴマ油、シソ油、アマニ油などです。

脂質の中でNGにしているのは、健康を損なうリスクが高いトランス脂肪酸が多い、ホイップクリームやマーガリン、ショートニングや菜種油、キャノーラ油など、いわゆるサラダ油です。

タンパク脂質食におけるタンパク質摂取の考え方の基本は、「タンパク質不足・筋トレなどでタンパク質消費多めなら、タンパク質摂取も多め」「タンパク質が足りているなら、タンパク質摂取も少なめ」とシンプルに考えてかまいません。

一方、脂質は、もう少し調整の幅があります。

というのも、純粋な脂質のみでは太りませんが、インスリンの追加分泌が出ている状態で脂質を多くとると体脂肪になってしまうためです。適切にとるには、常に「インスリンはどうか?」ということをセットで考える必要があります。

逆に、インスリンの追加分泌がない状態なら、純粋な脂質をとっても太りません。

両手にドーナツをのせて体重計に乗る女性
写真=iStock.com/sam thomas
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sam thomas

■脂質といっしょに何を食べるかで「太りやすさ」は激変

脂質を摂取するうえでは、一緒に何をとるかによって、内臓脂肪の付きにくさに大きな違いが出ます。「脂質+○○」の3パターンを頭に入れておきましょう。

①脂質+大量の糖質を摂取
(牛丼、カレーライス、とんこつラーメン、ショートケーキなど)
②脂質+適量のタンパク質を摂取
(鶏ももステーキのバター焼き、脂身たっぷりチャーシューなど)
③大量の脂質+大量のタンパク質を摂取
(800g超の牛ステーキバターのせ、チーズのせ特大ハンバーグなど)

糖質オフをしてタンパク質と脂質をとると、インスリンの分泌量を減らすことができます。しかし、大量のタンパク質と大量の脂質を同時にとると、痩せません。それどころか、太る可能性が高くなります。

読者の方で、もし「糖質オフをしっかりしているのに痩せない!」という方がいたら、この高タンパク&高脂質タイプの食事になっているかもしれません

なかにはBMIが30オーバーの「内臓脂肪たっぷり」体型になっている方もいるはずです。同じ量の糖質やタンパク質でも、インスリンが大量に出る「超太りやすい」タイプです。

実は、「糖質をとらないなら、肉と油はいくらでも食べていいんでしょ?」とばかりに大食いになっている方が少なくありません。当然ながら、それでは内臓脂肪は減りません。タンパク脂質食で減量できない場合は、「食べる量」を見直してみてください。

■「タンパク質そこそこ、脂質多め」を目標に

最終的には、タンパク脂質食は次のようにタンパク質そこそこ、脂質多めが安定しやすいでしょう。

■内臓脂肪減少目的で推奨される「タンパク脂質食」の摂取割合
・タンパク質:中程度
・脂質:多め
・糖質(炭水化物):少なめ(できれば、ほぼゼロ)

筋トレや有酸素運動をする場合には、その分、筋肉の回復にタンパク質を必要とするので、タンパク質を増やす必要があります。

また、スタミナを要する運動の場合には、運動の半日前と2~3時間前にとる脂質の量を増やすと、スタミナが続くようになります。

高脂質に体が慣れてくると、内臓脂肪が減るだけでなく、以下のように他にもさまざまなメリットが現れてきます。

①インスリンがほぼ出ないので脂肪細胞が太りにくくなる
②優れたエネルギー源になる
③糖質依存・甘味依存が軽減できる
④筋肉を消耗しなくなる

■とるべき脂質は3種類

「脂質の種類はいろいろありすぎて何からとればいいのかわからない!」という人も多いのですが、以下の3つを押さえておくと、応用が効きます。

①血液サラサラ系:オメガ3(魚由来のDHA、EPA/オリーブオイル、アマニ油など)
②すぐエネルギーになる:MCTオイル
③ゆっくりエネルギーになる:動物性脂質(バター、生クリームなど)

血液サラサラ系のオメガ3は、肉食の人や、すでに体がボロボロになっている人には必須の脂質です。また、その他の2つの「エネルギーになる脂質」をとることで、糖質の必要量を減らし、筋肉の分解を防ぐことができます。

■脂肪燃焼に必須のビタミン、ミネラルはサプリで補充

タンパク脂質食の実践には、摂取すべき重要な栄養素があります。

それは「鉄」です。鉄がなければ、内臓脂肪を燃やすことができません。脂肪を燃やしてエネルギーを産生する過程で、必ず必要になるからです。ところが、非常に重要なミネラルでありながら、日本人に不足しているケースが非常に多い栄養素です。そのため鉄のサプリメントの摂取は必須です。

その他のビタミンやミネラルについては、拙著『1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法』に詳しくまとめていますので、そちらも参考にしながら不足を補うようにしてみてください。

■「糖質オフ」で失敗する人の共通点

内臓脂肪を減らしたい、燃やしたいと思っていても、「土台」の部分がしっかりしていなければ、その目論見ははかなく消え去ります。その土台とは、本稿冒頭でも書いたように「優先順位を明確にしておく」ということです。

いわゆる糖質オフは、「引き算」に注目した食事法です。これは、糖質過多が多くの体調不良や病気を引き起こしていたためです。

水野雅登『1年で14キロ瘦せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法』(エクスナレッジ)
水野雅登『1年で14キロ瘦せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法』(エクスナレッジ)

一方、タンパク脂質食は「足し算」に注目します。というのも、糖質オフの引き算によって、体調不良を起こすことがしばしば見られたからです。

とくに、糖質オフ普及の初期に見られた「体調が悪くなった……糖質オフ危険!」という体験談は、ほぼすべて引き算による失敗から起きました。

つまり、タンパク質も脂質も足りず、長年の糖質過多によってビタミンもミネラルも足りていない状態(マイナス状態)だったところ、そこからさらに糖質を引き算してしまったことが引き起こした失敗です。

タンパク脂質食は、こういった引き算による失敗への対策です。まずは、「もともとのマイナス」から解消していくことを目指しています。

「優先順位」を取り違えると、かえって不健康になりかねません。タンパク質、脂質、鉄のどれかが欠けている状態では、代謝が回らず、十分なエネルギーが作り出せません。

つまり、「糖質オフ」の徹底は、タンパク質、脂質、鉄、ビタミン・ミネラルを満たしてからにすることが大切なのです。栄養不足のまま糖質を控え過ぎれば、エネルギー不足は避けられません。ここを絶対に間違えないようにしてください。

■タンパク脂質食は内臓脂肪を燃やす効果抜群

そして、もう1つ、内臓脂肪を燃やす効果があるのが、タンパク脂質食の大きな特徴です。生きているだけでエネルギーを使うのが人間ですので、内臓脂肪を増やさずにいれば、余計な内臓脂肪はエネルギーとして消費されて減っていくことになるからです。

タンパク質
 ↓(糖新生)
血糖

この変換でエネルギーを使うというのがポイントです。糖質をとっていなければ、この糖新生のときに使うエネルギーは、内臓脂肪を燃やすことで作られるからです。

つまり、タンパク脂質食は、「内臓脂肪を増やさない」+「余っている内臓脂肪は糖新生で使われて減る」という最強の布陣なのです。

タンパク脂質食は、内臓脂肪を減らすだけでなく、健康を維持するうえでも大切になってきます。内臓脂肪が邪魔なみなさん、タンパク脂質食で、効率よく内臓脂肪を燃やしていきましょう。

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水野 雅登(みずの・まさと)
医師
1977年、愛知県生まれ。2003年に医師免許取得(医籍登録)。日本糖質制限医療推進協会提携医。著書に『薬に頼らず血糖値を下げる方法』(アチーブメント出版)、『医学的に内臓脂肪を落とす方法』(エクスナレッジ)、『糖質オフ大全科』(主婦の友社)など多数。

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(医師 水野 雅登)

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