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3日目にして発狂寸前に陥ってしまった…「夏休みの母」はなぜこんなにメンタルがしんどいのか

プレジデントオンライン / 2023年8月11日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

子どもにとっては楽しい夏休みでも、保護者はそうとも限らない。漫画家で、2人の小学生の子どもを持つ田房永子さんは「『小学生の保護者になって6回目の夏。しかも“コロナ禍の保護者”をやり切った後だから楽勝』と思っていたが、脳内に自分で作り上げた架空のママと自分を比較して不安になり、調子を崩してしまった。ぜひしっかり休んで、少しでも調子が悪いと感じたら早めにメンタルクリニックに行ってほしい」という――。

■全然「楽勝」じゃなかった!

子どもたちの夏休みも終盤にさしかかっていますが、保護者のみなさま、体調とか大丈夫ですか⁈

私はまったく大丈夫ではありません!

子どもが生まれて11年、小学生の保護者になって6回目の夏。

どの時代の親でも未体験だった「コロナ禍の保護者」をやり切った私たちなら、できる! この夏は楽勝! なはずでした。

お出かけの予定をそこそこ入れました。宿題の計画も立てさせました。

個人的にカップ麺を禁止された子ども時代を過ごしたため、「カップ麺という便利なものを子どもに食べさせる罪悪感」も1学期のうちに克服しました。

うちの子と同じ高学年の他の子たちは、ガッツリ自分で食事(主食、主菜、副菜)を作れちゃう子もザラにいると聞きます。私はそこまでは指導できませんでした、そんな自分を責めない、それを頑張って夏休みを迎えました!

なのに夏休みが始まって3日目にして発狂しかけました……「もう無理……」ってなってしまいました。

夏休みってなんか、始まってすぐいきなり土日、っていうのが多くないですか? 一応、平日は仕事をしなきゃいけないのに、やっぱりリズムが崩れ、結局ずっと子どもと一緒にいる感覚になって速攻で頭が爆発しそうになりました。

■私の頭が爆発しそうになった理由

1 なんだかんだといろいろやって「やっと落ち着ける……」と思った瞬間に「おなかすいた」って言ってくる。

2 「給食がないため、普段の食事の野菜を多めにしなければいけない」という指令が、自分の脳から自分の全身へ強めに発信され続けている。

3 「落ち着きたい」「野菜」「野菜多め」「自分のことをしたい」でとりあえず目の前のことを片付けるしかない

4 結果的に「おなかすいた」というセリフにキィーッ! とくる

5 「おなかすいた」は子どもとして完全に健全なセリフであり、それにキィーッとくる自分がおかしい、と反省する

6 育児雑誌に登場するようなキッチリしたママみたいな人物から「小6なら、簡単なごはんの準備なら自分でやらせちゃいましょう」と言われてるような気がして劣等感を感じる(単なる脳内妄想)

7 お出かけの計画も、「これで十分だろう」と思ったはずなのに、なんか夏休みに入ってから急に「少ないのでは?」「もっとワイルドな体験をさせたほうがいいのでは?」とか不安になってくる

8 6で登場した“キッチリママ”は、子どもをワイルドなサマーキャンプに参加させたりして、その子はこの夏、飛躍的に成長している……、それに比べてうちの子は大丈夫か……、と、架空のママの子どもと自分の子を比較し始める(危険度10)

9 架空の“キッチリママ”の子どもは科学講習みたいなやつにも参加して学校とか受験とかとは違う豊かな教育を受けてグローバルに大成長しているのでは……、うちの子はこの夏、数年前に飽きてしまった『あつまれどうぶつの森』をなぜか改めてやり直している……、理想の別荘を作っている……、大丈夫か……、と心配し始める。

10 てか、1年生の息子もいる。担任の先生が「1学期の復習するところ」を詳しく教えてくれてとても助かりました。だけど、夏休みは学校の授業を親がやるって前提になってますやん、親の負担がすごいよ! ねえ、文科省さん! と思いつつやるしかないから毎日毎日、勉強をみる。つまり普段よりもいくつも仕事が増える。

という感じで、うちの子はグローバルな大飛躍はしてないにしても、全く何も問題ないのにです。ちゃんとやってるのに。私が架空のママを相手に勝手に不安になり、やることの多さにテンパってるだけなのです。

脳内の架空パーフェクトママに勝手に追い詰められる夏
イラスト=田房永子

■特大のため息が出てしまう

疲れているからそういう劣等感妄想が出てくるのか、その逆なのか、とにかく胸がつまる感じがして「はぉあぁ~~~~っ」っていう特大のため息がよく出ました。

周りの人からしたら「やだな」って思うタイプのため息です。でも連続で出ちゃうの。

ため息を出した瞬間はちょっとすっきりするんだけど、胸にドンとあってつっかえている鉄球みたいなものは重たいままです。

■メンタルクリニックに行くべきやつだ

そんな、7月も終わりの週。学生時代の友達と子連れで集まりました。気分転換になるぞ、と向かったのですが、1年ぶりに会ったみんなと話していて、違和感を感じました。

「私、すごい元気ない」

みんなと話していて楽しいのに、面白くて笑っているのに、それが腹の底辺からしっかり出ていないっていう感じです。100で面白いと思って笑ってるのに、それが体の外には60くらいしか出てこない。うつの症状でよく聞く「もやがかかっている」感じ。

これはメンタルクリニックに行っていいやつ、行くべきやつじゃん、と気づき、その集まりの夜に近所のメンタルクリニックを調べ、1週間以内に診てくれるところを探してWEB予約しました。

■「いろいろやりすぎだから休んで」

新1年生の保護者は入学ストレスでキャパオーバーになりがちだから、クリニックを予約しておいて! という注意喚起のコラムを自分で書いておきながら、私も今年、下の子が新1年生だというのに、「まあ小学生の保護者はもうやってるから」とタカをくくっていました。

そんなこんなで、WEB予約してから3日後に行った、初めてのクリニック。60代くらいの医師から生活内容を尋ねられ、答えると「いろいろやりすぎだから休んで」と言われました。うつの検査をすると「うつ病ではないけどあとちょっとでうつ病」と診断され、不安を抑えてよく眠れるけど依存性の低い薬を処方されました。

私は、「忙しい、やることが多すぎる」と思いながらも、胸がつまってため息が出るのは自律神経が乱れてるのかな~、とか思って、昔行って効果を感じたホットヨガに最近、再入会したのです。酷暑の日にホットヨガに行って、滝のような汗をかき、帰宅すると頭痛がしてきたので、試しに経口補水液を飲んでみたら復活しました。脱水症状でした。

■休みましょう! ダラダラしましょう!

休まなければいけない時に、わざわざ脱水症状になりに行く。新しい立場になって、やることや考えることが急増した人は「止まれない」という状況に陥りがち。だから「調子をよくしたい」と思うときも、止まらずに逆に激しく動く、みたいな選択をしてしまう。それは私だけではないのではないでしょうか! たぶん!

お医者さんにもらった薬を2回飲んでしっかり寝たら、もう次の日には胸の鉄球がなくなり、特大ため息がぜんぜん出なくなりました! すごい。

ちょっと調子悪いな~、メンタルクリニック行くほどでもないよな~、っていう人もぜひ行ってください。小っちゃい薬飲むだけでこんなにラクになるとは……!

みなさん、のんびりすごしましょう! 休みましょう! ダラダラしましょう!

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田房 永子(たぶさ・えいこ)
漫画家
1978年東京都生まれ。2001年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞(青林工藝舎)。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を2012年に刊行、ベストセラーとなる。ほかの主な著書に『キレる私をやめたい』(竹書房)、『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(河出書房新社)、『しんどい母から逃げる!!』(小学館)などがある。

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(漫画家 田房 永子)

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