日本人と中国人は「4日」「14日」「24日」に死にやすい…20万人の統計データが示す「思い込み」の恐ろしさ
プレジデントオンライン / 2023年8月30日 10時15分
※本稿は、内藤誼人『すごく使える心理学テクニック』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
■私たちの身体は心と連動している
「雨の日には、ヒザが痛くなるんだよな」と信じている人は、本当に雨が降ってくると、ヒザが痛くなってきます。「年末になると、毎年ひどい風邪をこじらせるんだよな」と思っている人は、やはり今年も年末になれば風邪をひくでしょう。
私たちの身体は、心と連動しています。
そのため、何らかの思い込みを持つと、それが身体を害するのです。いつまでも健康的でいたいのなら、おかしな思い込みを持たないことが大切です。
ヒザが痛んだり、風邪をひいたりするくらいなら、まだそれほどの害でもありません。許容できる範囲ですからね。
けれども、思い込みによって人は死んでしまうこともある、という話を聞いたらどうでしょうか。思い込みで心臓が止まってしまう、ということは本当にあるのですよ。
カリフォルニア大学サンディエゴ校のデビッド・フィリップスは、なんとも不吉な研究を行っています。
■「4」のつく数字の日に、心臓病関連の病気で死にやすい
フィリップスは、日本人と中国人が「4」という数字を忌み嫌っていることに興味を持ちました。そのため、日本人と中国人は、「4」がつく数字の日に死んでしまうことが多いのではないか、という仮説を立てたのです。
この仮説を検証するため、1973年1月1日から1998年12月31日までの、日本人と中国人の死亡統計約20万人分と、白人の死亡統計約4700万人分の比較を行ってみたのです。
その結果、日本人と中国人は、「4」のつく数字(4日、14日、24日)の日に、心臓病関連の病気で死にやすいことがわかりました。特に心不全での死亡率は、4のつく日には、その他の日よりも13%も増加していました。カリフォルニア州に限ると27%もの増加が見られました。白人にはそういう日付の影響はありませんでした。
1人、2人くらいが「4」のつく日に死んだのなら、「まあ、そういうこともあるか」と受け流せますが、20万人分の統計データではっきりとこういう傾向が見られたわけですから、思い込みによって人が死ぬ、ということはほぼ間違いないといってよいでしょう。
■プレスリーは「私は早く死ぬだろう」とおびえ続けた
「キング・オブ・ロックンロール」と称されたロック歌手のエルビス・プレスリーは、お母さんが大好きでした。そのお母さんはというと、46歳という若さで亡くなってしまったのですが、そのためでしょうか、プレスリー自身も「私は早く死ぬだろう」とおびえ続けていたそうです。
結局、彼は42歳のときに心臓発作で突然死してしまいました。「40代での死」も「死因」も大好きなお母さんとまったく同じでした。
プレスリーが突然死したのは、単なる偶然とは思えません。もし自分も早死にするだろうなどと思い込んでいなかったら、もっと長生きできたのではないかと思います。
もし読者のみなさんのご両親が早くに亡くなってしまっていても、「だから私も……」などとは考えないほうがいいですよ。そんなことを考えていると、本当に心臓が止まってしまいますので、本当に気をつけてください。
■健康についての本を読むたび、不安を抱えてしまう
健康にものすごくうるさい人がいます。あれを食べてはダメ、これもダメとものすごくうるさいのです。健康関連の本もびっくりするくらい読み込んでいます。食事については栄養学者も顔負けの知識を持っていますし、医学についても相当な知識を持っています。
さて、ではこういう人は本当に幸せでしょうか。
どうもそうではないのではないか、と私などは考えてしまいます。
健康についての本を読むたび、かえって自分の健康に対して不安を抱えてしまうのではないかと思うのです。
「医学生症候群」(「インターン症候群」ともいいます)という専門用語があります。
医学生は、いろいろな病気とその症状を学ぶわけですが、そういう勉強をすればするほど、自分もその症状に当てはまるように感じてしまい、「私も病気なのでは?」と思うようになってしまう現象のことを指します。
サウジアラビアにあるタイフ大学のサミヤー・アルサグフィは、医学生195名と、他の学部の200名の調査を行って、医学生のほうが、糖尿病、高血圧、ガンなどにおびえやすくなることを明らかにしています。
医学の勉強などをしていると、自分が病気になったように感じてしまうことがあるのです。
■影響されやすい人は健康番組に気をつけるべき
健康マニアの人にも、この医学生症候群と同じような現象があらわれるのではないか、と私は考えています。ですから、そんなに健康について詳しくなろうとしないほうがいいと思うのです。
私は心理学者ですので、心理学の本が売れてくれるのは単純にうれしいのですが、それでも「心理学の本はあまり読まないほうがいいかもしれない」とも感じることがあります。心理学や精神医学の本を読んでいると、「私にも、心の障害があるのではないか?」と思ってしまうことがあるからです。
世の中には、“知らないほうがかえって幸せ”ということはよくあります。
健康について関心を持つことはよいことだとは思うのですが、度を越した健康マニアは、健康を心配するあまり、かえって不健康になってしまう危険性があることも覚えておくといいでしょう。
テレビで、健康関連の番組を見ていると、「ひょっとすると自分もガンなのでは?」などと不安になってしまうことはありませんか。そうやって不安を感じるくらいなら、最初からそういう番組は見ないほうがいいのです。特に、影響されやすい人は気をつけてください。
■ムダなぜい肉がつくと自信が失われていく
生きていくうえで一番重要なのは、自分に自信を持つことです。自信が持てないと、生きていく気力や活力も持てません。「私はダメ人間だ」「私はクズだ」と思っている人が、幸せに生きていけるわけがないのです。
では、どうすれば自分に自信を持てるようになるのでしょうか。
ひとつの方法は、ダイエット。
なぜかというと、身体にムダなぜい肉がつけばつくほど、私たちの自信は失われていくからです。
体重と自尊心の関連性を調べた研究はたくさんあるのですが、米国バーモント大学のキャロル・ミラーはそういう研究を71個見つけ出しました。その71の研究を総合的に分析し直したところ(「メタ分析」といいます)、「体重が重くなるほど、自尊心は低くなる」というはっきりとした傾向が確認されました。
太ってくると、自信が持てなくなるのは、ほぼ確実だといえます。
ですので、自信をつけるためのてっとり早い方法は、とにかくダイエットすることなのです。
■中高年になると自尊心が大きく下がる理由
だいたい、男性でも、女性でも、中高年になってくると自尊心が大きく下がります。なぜこの時期に、多くの人が自信を失うのかというと、体重が増えてくるから。
若い頃には、多少、暴飲暴食をしても体型はあまり変わりませんが、中高年になると、どんどん太っていくのです。そのため、体重の増加と反比例するように、自信のほうはどんどん下がってしまうのです。
もちろん、中高年になっても自信が大きく下がらない人もいます。そういう人は、食事に気をつけたり、運動をしたりしている人。つまり、肥満にならないように気をつけている人なのです。
好きなものを、好きなだけ食べていたら、これはどうしたって太りますよ。太るだけならいいのですが、それによって自信を失ってしまうと、人生が惨めになります。
お風呂に入るたび、自分の醜い身体を見て、がっかりしていたら、自分に自信を持ちたくとも、持てるわけがありません。ですから、とりあえずダイエットしてみることが先決なのです。
食事を減らすだけでなく、運動習慣もつけましょう。運動をするようにすれば、健康になって長生きもできますし、自信も高まっていくので一石二鳥です。
毎日、生き生きとした生活を送りたいのなら、太りすぎにはくれぐれも注意してください。みっともない体型なのに自分に自信を持てるということは決してありませんから。
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心理学者
立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる! 暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など著書多数。
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(心理学者 内藤 誼人)
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