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日本人は己の価値に全く気付いていない…世界中で圧倒的な人気を誇る"日本では当たり前"の身近な製品

プレジデントオンライン / 2023年8月31日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/EP-stock

日本が世界に存在感を示せるものは何か。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「日本人は世界から生真面目で信用されているため、車や家電など業務用の機械など専門性の高い製品はまだまだ日本製が強い。命を左右するような戦場で、イスラム国のテロリストさえ乗っている車はトヨタのピックアップトラックである」という――。

※本稿は、谷本真由美『激安ニッポン』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

■北米や欧州で「日本のもの」は安心できる

日本人は外国に売ることができるサービスや商品があることに気がついていません。

そういったものをどんどんマネタイズ、つまりお金に変えていくべきなのです。日本人は控えめな人が多いのでマーケティングや営業が非常に下手くそです。

しかも国内のことしか知らないので、外国では一体どういうものが受けて何が売れるのかということを理解してないのです。これは日本だと日常生活でさまざまな国の人と接触しないことや、教育がドメスティックすぎるというのがあります。

たとえばまず日本人は日本の海外でのイメージに気がついていません。

特に中国では日本人というのは非常に生真面目で嘘をつかないので取引がやりやすいということで有名です。

なので、彼らは日本人と取引する際、相手が誠実なので安心して買うことができると考えているのです。

これが日本で中国人が日本の商品を爆買いする理由です。彼らは母国の人々を信用できないので日本人から買うのです。

これは中国人だけかというと、そうではありません。

実は北米や欧州でも日本のものは安心できるということで有名です。

なので、非常に材料にうるさい健康志向の人々やベジタリアンはまだまだ日本の超高価格帯の調味料や米を買っているのです。これは単に味がいいからということだけではなく、日本のものであれば変なものを使っていないから衛生管理がきちんとしているから安全だということです。

■専門性の高い製品はまだまだ日本製が強い

これは日本車や日本の家電に対しても同じなのです。

トヨタをはじめとした日本のメーカーは海外ではまだまだ強く、道路状況が厳しいタイや南米、アフリカでも日本車は人気があります。イスラム国のテロリストでさえ、乗っていたのはトヨタのピックアップトラックです。

命を左右するような戦場で日本車を使いこなしているのです。そういう厳しい場には中国車や韓国車は存在感がありません。

家電は韓国製よりも人気はありませんが、業務用の機械など専門性の高い製品はまだまだ日本製が強いのです。これも日本人の生真面目さや信用というのが裏付けになっているのです。

日本の製品やサービスにはこういったイメージがあるということを理解してもっと多様なものやサービスを海外の人に売ればいいのです。

家電
写真=iStock.com/Grassetto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Grassetto

どんなものに需要があるかは普段から外国の人と接触したり実際に現地に行ってみて自分の手足と目を使って調べてみたりするのが重要です。

■自分で調べて学べば商機はいくらでもある

これに関しては今の日本人は戦国時代の武将に学ばねばなりません。

彼らは電話もインターネットもなく言葉もなかなか通じない中で、欧州諸国は日本に対して何を求めているのかということを察知し、数少ない情報の中から彼らの戦闘力や戦略を理解して植民地化を防ぎました。

仙台藩主だった伊達政宗は約400年も前に、ノビスパニア(メキシコ)との直接貿易を求めて、イスパニア(スペイン)国王及びローマ教皇のもとに、慶長遣欧使節と呼ばれる外交使節を派遣しているのです。

伊達政宗だけではなく、当時の戦国武将たちは欧州の人々のことを熱心に研究し、地政学も理解していました。

インターネットやメディアが発達しており移動も自由な現在において日本人はもっと多くのことを個人でも学ぶことができるはずです。自分で調べて学ぶ中で商機が見つかるはずです。

そしてトライアンドエラーで実際に売ってみてどうなるかということもやってみるほかありません。「とりあえず考えるよりやってみよ」です。

停滞している日本に足りないのは、こういった「やってみよう」「失敗してもいいから試してみよう」と思う挑戦心と思い切りのよさがある人々です。

■投資すべきは「インバウンド」より「高付加価値の産業」

日本のものやサービスは海外で売れるとは言っても、最近流行りのインバウンド、要するに外国人観光客に依存する商売を進めていくのは考えものです。

基本的に観光業というのは地元の風景や観光名所の切り売りにすぎませんから自分たちで何かつくり出すような技術やアイディアが発展していくわけではありません。

付加価値が高い機械や技術をつくり出すよりも、地元に観光客を連れてきてホテルに滞在させるほうがはるかに簡単なのです。これはご先祖の遺産を切り売りして生活する子孫とまったく変わりがありません。

しかも日本全体の経済規模から考えると観光業が占める割合というのは非常に小さいのです。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の2022年の調査によると、日本の旅行・観光産業の寄与額は2063億ドルでGDPに占める割合は4.2%にすぎず、海外旅行者の支出が占める割合はわずか0.7%、G20参加国中で最低値なのです。

これはコロナで日本と海外を往来する人が激減したために外国人観光客の支出が90%近くも減ってしまったというのもあるのですが、例年通りだったとしてもGDPの2%にもいかないわけですから非常に小さいわけです。

政府はこれをもっと拡大していくという目論見のようですが、それよりももっと永続性があり、高い付加価値を得ることが可能な産業のほうに投資をしていくべきでしょう。

■有望なのは「IT×製造業」

そして日本はこれからどんな業種に注力していくべきなのでしょうか。

まずやはり筆頭にあげられるのは情報通信産業です。ここ最近はAIの発展が注目されていますが、今後はもっと伸びていくはずです。さらに情報通信技術と製造業のハイブリッドが伸びていきます。

AI、人工知能、オートメーションロボットアームマシン
写真=iStock.com/ipopba
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ipopba

その代表の1つがたとえば自動運転の車であったり、産業機器や家電の自動化、遠隔操作といった世界です。医療や軍事の世界でも、情報通信技術を活用した機器がますます活躍しています。

このような世界では単にサービスや機械を提供するよりも、正確性や継続性が非常に重要です。収集したデータをきちっと管理したり保全したりすることも重要なのです。

これは世界各国でデータ漏洩や独裁国家によるデータの悪用がどんどん外に出てくるようになったからです。

その点、日本は、民主主義国家でありきちっと仕事をする人々が多いので非常に信用性が高いわけです。

しかし、日本は自分たちの強みをアピールする力が本当に弱い。日本人はそれを当たり前だと思ってやっているので海外の人は日本人がそんなに厳密に仕事をしているということを知らないのです。

こういった生真面目さや手順の厳守、コンプライアンス体制の厳しさなどをどんどんアピールしていくことも重要でしょう。しかも日本には多様性がないと批判されていますが多様性がないということはある意味強みになるのです。

それは国内で働く人々が日本人だらけで出身校や出身地がはっきりしていますから、バックグラウンドチェックが非常に容易だということです。

ダイナミックなプロジェクトを立ち上げたり変わったことをやるのには多様性がないことは不利になりますが、その一方でいい点もあるということは強調していくべきなのです。

■「格差」が広がると「犯罪」が増える

最後に、生活面での変化についても述べておきます。

今後日本では労働者の階層が分かれていくので、日本では格差がどんどん広がっていくはずです。

実際、最近では北米や欧州の手口を取り入れた犯罪も増えてきました。たとえば数万円の現金を奪うのに、真っ昼間に正面から人様のお宅や商店の玄関口から入り込んで強盗を行ったり、昼間に宝石店を襲ったりするような非常に荒っぽい犯罪です。

谷本真由美『激安ニッポン』(マガジンハウス)
谷本真由美『激安ニッポン』(マガジンハウス)

しかもやっているのが未成年や20代の若い人々が目立つようになってきました。従来の組織犯罪がやらなかったような非常に効率が悪く手荒い事件が目立つようになったわけです。

今後は日本もどんどん格差が広がっていくので、とりあえずとにかく現金が欲しいという非常に短絡的な目的でこういった略奪を行うような犯罪が増えていくはずです。これはすでに北米や欧州が辿ってきた道です。

たとえばイギリスは1980年代までは比較的経済格差が小さく、特に戦後はイギリス病と言われた停滞を経験し経済不況もあったのでみなお金がありませんでした。

ところが金融ビッグバンで金融改革が行われ、製造業中心の社会からサービス業中心の社会になって階級の下克上が起こるようになりました。

そこで起きたのが経済格差の拡大で、生まれよりも努力によって稼ぐことができるようにはなったわけですが、お金のあるなしがはっきりと目に見えるようになりました。

しかもサービス業が中心になってきたので雇用が短期間のものばかりになり、かつてのような終身雇用がなくなります。

しかも仕事自体もかつて製造業が盛んだった頃は労働集約型的だったのですが、今や少人数の頭が良い人が行えば稼げてしまう業種が増えてきたので稼げる仕事が減っています。

そこでもうあまり稼ぐことができない若い人たちが空き巣や窃盗、薬物取引などを行うのです。

日本はだいたいイギリスの30年ぐらい後を追っているので、あと10年もしたら今よりも非常に短絡的な形での空き巣や強盗などがどんどん増えていくはずです。

そのような中で生活していくには、性善説に沿っていてはだめです。自分のことは自分で守るという意識を持たなければなりません。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)
著述家、元国連職員
1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。

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(著述家、元国連職員 谷本 真由美)

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