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コロナ陽性になっても昨日会った人に告げなくていいのか…"気遣いができる人"が周囲に伝える言葉

プレジデントオンライン / 2023年8月29日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Isaac Lee

2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症は5類感染症に。マスク着用は推奨されず、感染後の自己隔離も求められなくなったが、常時マスクを着け、できるだけ感染しないように注意している人も少なくない。話し方コンサルタントの阿隅和美さんは「そんな中、感染してしまったとしても、周囲の人に謝る必要はありませんが、自分から説明し、気遣いを示したほうが、その後も良好な関係を築きやすい」という――。

■たとえコロナを周囲にうつしても謝る必要はないが……

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行してから数カ月が経ちました。

5類以降に伴い、法律に基づいた外出自粛の要請などはなくなり、感染対策は個人の判断に委ねられています。もちろん、高齢者など重症化リスクの高い方を守ることを心掛ける必要はありますが、マスクを着けるも外すも個人の判断が尊重されます。

当然、自分が感染しても言う必要もないし、仮に相手を感染させてしまったとしても謝る必要はないというのは大前提ですが、だからといって、「会った次の日に感染が分かったら、連絡をした方がいいか?」「逆の立場で何も言われないのもなんかモヤモヤする」という声も実際にあるようです。きっと対人関係を大切に考えるからこそ感じるお悩みなのではないでしょうか。

一歩引いて見ると、これに似たような状況って、家族、地域や職場づきあいなど社会生活を送っていると直面することがあると思うのです。そこで、今回は、5類以降後のコロナ感染で、謝る必要はないけど、「なんかモヤモヤ」を解消したいときの伝え方を考えてみましょう。

【図表1】新型コロナウイルス感染症定点当たり報告数(全国)推移
出典=厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」、2023年8月18日

■コミュニケーションは先手必勝、自分から告げる

言いにくいことや、伝えるべきか悩んでいるときに参考になりそうな、コミュニケーションの2つの考え方をご紹介します。

1つ目がコミュニケーションは「先手必勝」です。例えば、あいさつは、相手にされる前にする、「お元気ですか?」「お久しぶり」などの声掛けも相手にかけてもらうのを待つのではなく、こちらから声を掛けた方が好感を持たれ、対人関係が深まるといわれています。情報も、第三者づてやうわさ話で聞いて、「こうだと聞いたけど、本当なの?」と当人に確認して後から「実は……」と言われるより、直接本人から聞いたほうが誠意を感じるものです。このように言うかどうか迷ったら、なるべく早めに伝える方が、その後の関係をこじらせることが少ないようです。

■「返報性の法則」を応用して速やかにカミングアウト

2つ目が「返報性の法則」です。これは、相手から受けた好意等に対して「お返ししたい」と思う心理のことです。コロナ感染にかかわらず、もし何か気になることがあったらなるべく速やかに知らせてほしいと思いますよね。その気持ちに応えておけば、もし、逆の立場になった場合に、学校、地域、職場の情報があなたの耳に入りやすくなるでしょう。

いずれにしても、「教えてくれてありがとう」と言ってもらえる状況が理想ですね。

では、子どもが感染した場合、ママ友にどう伝えたらいいのでしょうか。

あくまで個人の判断ですが、もし言うか言わないか迷ったときには、言った方が後悔しないと思います。

というのもママ友であれば、いずれ子どもつながりで、ママ友の耳に入るのも時間の問題です。

後から人づてに聞くのと、直接本人から聞くのでは、だいぶ心象が変わります。「あの時、一言伝えておけばよかった」と後悔するくらいなら、早めに伝えておきましょう。

【図表2】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)定点当たり報告数・年代別推移
※全世代で10歳未満の子どもの割合が一番大きい。出典=厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」、2023年8月18日

■子供同士で遊ばせた後、自分の子の感染が発覚したら?

もう一つの理由が、子どもに対する影響です。もし、「感染したのはお友達には内緒ね」などといえば、子どもは、自分がコロナに感染したことが悪い事のように受け取ってしまうかもしれません。子どもは親をみて学んでいます。「インフルエンザや流行病にかかってしまうのは仕方がない、悪いことではない」ということを態度で伝えたいですね。

そして、謝る必要がないときには、言葉選びも慎重に。「ごめんね」という言葉は使いやすいのでつい無意識に使ってしまうのですが、もし、「ごめんね、実はうちの子が感染しちゃって……」という会話を隣で自分の子どもが聴いていたら、自分が悪いことをしていると思うかもしれません。そこで、「ごめんね」ではなく「余計な心配をかけてしまうかもしれないから、伝えるかどうか迷ったんだけど……」のように別の言葉に置き換えて伝えましょう。

■迷ったときには慎重に「詳細が先、結論は後」で話す

報告、会議などビジネスシーンで発言をするときには「地域イベントへの出展が決まりました。出展に至った経緯ですが……」のように結論先行で、詳細は後で伝えると良いと言われています。しかし、ビジネスでも決していい話ばかりではなく、仕事のやり直し、依頼を断る等、言いにくい話を伝えなければならない場面もあります。

相手がどう受け止めるか想像しにくいときには、できるだけダメージを少なく伝えたいものです。そんな時におすすめなのが、「詳細から結論」で伝える方法です。詳細から話して結論を相手が想像できるように進めると、突然結論を言われた場合と比べ、聞く側も心の準備ができます。

伝え方の例)
× 「うちの子、コロナに感染したの。というのも今朝起きて……」(結論から詳細)
 「昨日は、遊んでもらってありがとう。うちの子、昨日はあんなに元気だったのに、朝起きたらなんとなく体調が悪くて、熱を測ったら38度あったの。それで、病院にいったら陽性だったの。昨日、○○ちゃんと一緒だったから、念のためお知らせしたほうがいいかな、と思って」(詳細から結論)

子供の熱を心配しながら電話をかけている母親
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

■相手への気遣いを示せばトラブルにはならないはず

繰り返しになりますが、新型コロナウイルスは対策をしていても感染してしまう可能性がある病気です。いつ誰がかかってもおかしくありません。ただ、もし、高齢の両親に会った次の日に自分の感染が分かったら、心配をして連絡をすると思います。同様に、「謝る」のではなく、大切だと思っているお友達に「気にかけている」ことを言葉にして伝えてみましょう。

一方、反対の立場でママ友から報告があった際には「教えてくれてありがとう、うちの子もしばらく気にして様子みてみるね」「大丈夫よ。元気になったらまた遊ぼうね」と、温かい言葉をかけてあげたいですね。

■ビジネスシーンで自分の感染を告げる時はどうするか

次に、ビジネスシーンでの伝え方です。

おそらく、自分が、罹患(りかん)したかなと思った場合の第一報は、体調不良になるかと思います。

コロナに感染したことを謝る必要はないのですが、どんな理由にせよ、急にスケジュールを変更してもらう場合のビジネスマナーとして「申し訳ございません」とお伝えした方がよさそうです。

例)「大変申し訳ございません。体調不良で、念のため明日の予定はキャンセルしていただけますか?」

その後、感染が判明した場合には、個人の判断によりますが、職場であれば事実を伝えたほうが、仕事のフォローをしてもらいやすいでしょう。

例)「コロナに感染したのでしばらく出社を控えます。○○の件に関しては、○○さんに引き継ぎました。何かあればメール対応は可能なのでご連絡ください。お忙しいところ休暇をいただくことになりますが、どうぞよろしくお願いします」

体調不良、冠婚葬祭など、突発的な事態でも、お互いにフォローし合える職場環境づくりには、配慮ある連絡を入れたほうがいいでしょう。

マスク着用でオフィスで会議中
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

■コロナで会社を休んだあと、職場復帰し同僚に言うべきこと

発症後、体調回復までは個人差があります。もし長めに休んだときにはやむを得ない事情ではありますが、もし仕事をフォローしてもらった場合には、感謝の言葉があるとないとでは随分周囲の受け止め方が違うものです。職場復帰の日に、誰にどんな仕事で世話になったか確認をして、フォローしてもらった人たちに声をかけてはいかがでしょうか。

例)「休みの間、○○さんにも、○○の件を手伝っていただいたそうで
仕事をフォローしてもらってありがとうございました。おかげさまで、
納期に間に合いそうです。ようやく体調も回復したので今日からまた頑張ります!」

いかがでしょうか。

特に、幼稚園、小学校とお子さんが小さい時期は、ママ友と顔を合わせる機会が多いので、良好な関係づくりは欠かせません。

また職場では「お互いさま」ではありますが、一言感謝の言葉を伝えるだけで、働きやすい環境が整います。

多様な考え方、価値観があるなかで、伝え方も何が正解かははっきりしないのも事実です。

まずは、ご自身がどうしたいかを判断した上で、「気にかけている」ことや「配慮」を伝えてみてはいかがでしょうか。

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阿隅 和美(あすみ・かずみ)
WACHIKAコミュニケーションズ代表
青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ

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(WACHIKAコミュニケーションズ代表 阿隅 和美)

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