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これができないと孤立する…ハーバード大の研究で判明「人間関係が豊かな人と貧しい人」を分ける2つの要素

プレジデントオンライン / 2024年4月29日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NanoStockk

人間関係の豊かな人と貧しい人は何が違うか。昭和女子大学総長の坂東眞理子さんは「相手に遠慮している人の人間関係は貧しくなり、孤立していく。私も年を取って少し経験を積んだ結果、相手にどう思われるか迷ったり、遠慮したりせず、自分がいってあげたいことは伝えるほうがよいと考えるようになると、とても気持ちがラクになった」という――。

※本稿は、坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■礼儀としての言葉のやりとりと心底からの感謝

ほとんどの人は褒められたり、尊重されたり、共感してもらったりすると、うれしい気持ちになります。それは「自分が大事にされている」ことを実感するからです。

じつは、私は若いころは自分のことにせいいっぱいで、周囲の人に感謝する余裕がありませんでした。勉強する機会を与えてくれた親や、教えてくれた先生のおかげとは想像することができませんでした。

「合格してよかったね」といわれたら「ありがとうございます」と返していましたが、それは礼儀としての言葉のやりとりで、心底から感謝していませんでした(ごめんなさい)。でもその後、人生経験を積むうちに価値観が変わりました。人間として成長したのです。

すばらしい成果が上がると期待してやったのにうまくいかないことも、苦労して成し遂げても評価されない経験もしました。信頼して助けをあてにもしていた人は、いざというときに助けてくれないこともありました。

たとえば、長い時間をかけて本を書いて、自分ではなかなかよいできだと思っていたのに、あまり読んでもらえないこともあります。

職場で自分では頑張って成果を上げているつもりなのに、相手には目ざわりだと思われて、うとまれることもありました。

■褒めてくれて大事にしてくれるのは有難い人

やがて私は、人から褒めてもらえないのがあたりまえ、大事にしてもらえなくてあたりまえで期待しすぎてはいけないと、だんだんわかってきました。

でもそんななかで、たまたま褒めてくださったり、大事に思ってくださったりする方もいます。すると、そんな方は特別なのだ、ふつうではない有り難い人なのだと、感謝できるようになりました。

人から大事にしてほしいと願っても、必ずしも相手がその願いをかなえてくれるわけではないこともたびたび経験します。相手には相手の好みがあり、価値観があり、スタイルがあります。こちらが好かれようとしても相手から好かれないことがあります。

こうした経験が続くと、相手に好いてもらう、大事にしてもらう、尊重してもらうのをあてにしてはいけないと考え、好いてもらえる、大事にしてもらえる、尊重してもらえるのはとても有り難いこととわかってきます。

■人間関係の豊かな人と貧しい人との大きな違い

家族や友人にも期待してはいけない、周囲に迷惑をかけてはいけない、自分の悩みや心配事は一人で解決しなければならないと、多くの人がそう思っているのではないでしょうか。それが現代の人々を孤立させています。

本書で紹介するハーバード大学の成人発達研究では、人間関係の豊かな人と貧しい人との大きな違いは、自分から妻、子ども、友人に関心を持つか、話しかけるか、働きかけるかどうかだといわれています。

人間関係の豊かな人は相手に関心を示し、相手がいまどんな状態なのか、何に関心を持っているのか、何をしているのかを聞こうとするそうです。そして相手が何をしてほしいと思っているかを考え、それに応えるように動くのです。

ランチをする笑顔の女性2人
写真=iStock.com/Nicholas Free
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nicholas Free

それにひきかえ、温かい気持ちを抱いている相手にも「相手は自分の悩みなんて関心がないだろう」「自分の悩みを知らせてわずらわせてはいけない」「自分の問題は自分で解決しなければならない」と思い込んで遠慮している人の人間関係は貧しくなり、孤立していきます。

私も年を取って少し経験を積んだ結果、相手にどう思われるか迷ったり、遠慮したりせず、自分がいってあげたいことは伝えるほうがよい、と考えるようになりました。

■遠慮して黙っているのはもったいない

すばらしい仕事ぶりの人に対しては、「すばらしい」と言葉に出す。頑張って成功したら一緒によろこぶ。「きれいだ、似合っている、ファッショナブルだ」と思ったら、それを言葉で伝える。遠慮して黙っているのはもったいない、と。

坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)
坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)

そんなふうに気持ちを切り替えたら、とてもラクになりました。そのうちに、相手が失敗して苦しんでいるときはそっとしておく、一緒に苦しみすぎないことも大事、そんなこともわかってきました。

・自分が相手にしてあげられることはなんだろうと考えて行動する。

・自分にはたいしたことはできないからと、遠慮しすぎない。

この2つが大事なポイントです。その結果、相手が自分の行動や言ったことに感謝したり、よろこんだりしてくれれば、こちらも心底、うれしくなります。そんなきっかけで、温かい人間関係が生まれていくのです。

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坂東 眞理子(ばんどう・まりこ)
昭和女子大学総長
1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)に入省。内閣総理大臣官房男女共同参画室長。埼玉県副知事。在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年、昭和女子大学教授、同大学女性文化研究所長。2007年に同大学学長、2014年理事長、2016年総長。2023年に理事長退任。著書に300万部を超えるベストセラーの『女性の品格』(PHP研究所)のほか『70歳のたしなみ』(小学館)など多数。

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(昭和女子大学総長 坂東 眞理子)

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