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東大合格とは「1380万円で50%確率のガチャ」である…現役東大生が解説「東大合格はいくらで買えるか」の答え

プレジデントオンライン / 2024年3月6日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ranmaru_

いくら払えば、東京大学に合格できるのだろうか。現役東大生ライターの布施川天馬さんは「9年間で1380万円を払えば、50%の確率で東京大学に合格できる」という――。

※本稿は、布施川天馬『東大合格はいくらで買えるか?』(星海社新書)の一部を再編集したものです。

■親の課金だけで子どもを東大に入れる

本書(『東大合格はいくらで買えるか?』)のアンケートで過半数以上を占める「有名私立中高一貫校から現役で東京大学に合格した」という典型的な東大生が歩んできた受験人生のモデルケースを考えてみましょう。

東京に住んでいる子どもが、教育投資を惜しまない親たちから一心に「課金」を受けた場合、どのように東大戦争へ参加していくのか、という想定です。ここでは、親の課金だけで子どもを東大に入れるために必要な教育手順をさらっていきます。

今回は小学校で「いきなり塾の進学クラスに入る」と想定していますが、さらなる安全をとりたい場合は、もっと小さなころから勉強させなくてはいけません。幼稚園段階での知能訓練や、小学1年生からの塾通いなども含めて、600〜700万円程度が加算されると考えてください。

■授業料だけで約178万円

小学校では、少なくとも4年生から塾に通っていることでしょう。もちろん、前項で説明したように4年生で確実に進学クラスに入るため、低学年から塾に通うケースも考えられます。ですが、それを考えてしまうと、「いつから通っていたのか」や、小学校受験(いわゆる「お受験」)の可能性まで考えなくてはいけなくなるので、ここでは小学校4年生からSAPIXに通ったと仮定します。

SAPIXの公式ホームページによれば、小学校4年生、5年生、6年生でそれぞれ授業料が異なるようです。4年生では月額4万2900円、5年生では5万3900円、6年生では6万1600円がかかります。社会を選択しない場合、算数の追加講義を選択する場合などで料金が多少上下するようですが、いったんこの金額で考えていきます。

授業料だけを単純に足していくと、42900×12+53900×12+61600×10=1777600円かかります。

小学6年生を10カ月としたのは、中学受験はほぼ2月で終わるため、1月までの通塾を想定しているためです。これに春期講習と夏期講習の費用や教科書代、公開模試の参加費用、入塾費用などが加算されます。季節講習の費用は、残念ながら公式ホームページに記載がありませんでした。

■季節講習だけで約40万円が追加

しかし、実際にSAPIXに通っていたと思しき人のホームページをいくつか確認したところ、小学校4年生で9万円、5年生で10万円、6年生で20万円程度がかかるようです。もしもこれが本当なのだとすれば、季節講習だけで約40万が追加で加算されます。

さらに、入塾費用が33000円。公開模試は1回当たり5000円〜6000円程度で、年間に4回程度開催されるようなので、5500×4×3=66000円。塾と家が何駅か離れているケースも多いでしょうから、交通費を考えてプラス10万円。すると、小学校時点ではおよそ240万円が塾代にかかると推察されます。

そして、忘れてはいけないのが各学校に出願する際に納める入学検定料。学校によりけりですが、2万〜3万程度の学校が多いようです。滑り止めも含めて5つの学校を受けたと仮定すると、さらに10万円。通っている小学校に支払う費用とは別にこれだけのお金がかかります。

公立小学校の学費はタダですが、給食費が無償化されていないと考えましょう。給食費が月額5000円程度、すなわち年額6万円とすると、その他教材費なども含めて小学校6年間では40〜50万円もかかることになるでしょう。これを追加すると、小学校時代にかかる費用は全部で約300万円。

もちろんピアノや水泳など別の習い事をやった場合は、これに追加で費用がかかります。

■「中学合格」で終わりではない

小学校時代の苦労のかいもあって、あなたのお子さんは見事有名私立中高一貫校に入学することができました。ですが、受験戦争はまだまだ続きます。

だるまに目を描くイメージ
写真=iStock.com/show999
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/show999

せっかく中学校に入ったのは、元をたどれば、一流高校に入って大学受験で楽をするためでした。成績不良で高校進学不可になれば、これまでの努力が水の泡です。

実際、私がむかし勤めていた塾にも「うちの子は○○中学校(都内にある超一流私立中高一貫校)に通っているが、中学受験が終わってからまったく勉強のモチベーションがなくなってしまい、成績が落ち込んでいる。学校と鉄緑会の勉強についていけるように、個人指導してほしい」という親御さんが来たことがありました。この子のように、燃え尽きてしまう人は想像以上に多いものです。

高校に入ってからの成績も安定させて、東大合格率を限りなく100%に近づけたいなら、中学校から成績を安定させることは必要不可欠です。さらに、鉄緑会などの進学塾に通っておくことも重要です。

■鉄緑会のチラシに書いてあるヤバい文言

第1章でも紹介した通り、鉄緑会は一部の学校に通う子弟を対象として、徹底的な詰め込みエリート教育を行う進学塾です。圧倒的な授業進行度の速さと演習量によって、他の追随を許さないスピードで生徒を鍛えます。

恐ろしいことに、鉄緑会が中学校の前で配るチラシには「中学合格おめでとう、次は東大!」と書いてあるのだそうです。鉄緑会のチラシによれば、塾にはオープンコースとレギュラーコースの2種類が存在しています。

進学コースであるレギュラーコースは、月額37300円のようです。これで英語と数学の2科目を見てくれるので、相場からみても他塾よりは安いといえるでしょう。

3年間レギュラーコースから落ちずに(定期的に塾内学力模試が行われ、上位60人から漏れると落とされるようです)いられたと仮定するなら、37300円×12カ月×3年=1342800円がかかります。

■学校と塾以外の習い事に通う選択肢はない

もちろん、鉄緑会の指導についていけずに、別の塾でそのフォローアップを頼む家庭もあるでしょう。そうした場合には、さらに月額2万〜3万程度を払って別の塾、もしくは個別指導や家庭教師を頼むことになります。ここで加算したのはすべて通常授業の費用なので、夏期講習や春期講習、冬期講習などを受講すると考えると、年あたりプラス10万円してしまってもいいでしょう。

さらに、私立の中高一貫校に通っていることを忘れてはいけません。第1章でも検討していったように、私立中学校に通うだけで、年間平均100万円、3年間で300万円がかかります。中学校、塾とは別に習い事をしたいのであれば、さらにお金がかかってきます。

ただし、鉄緑会に通う場合は、そもそも鉄緑会の課題量が多すぎて学校の宿題をやっている暇がないといわれるレベルの塾であることを鑑みても、学校と塾以外の習い事に通う選択肢は存在しないと考えていいでしょう。

もちろん塾や学校により異なりますが、ここに追加で交通費や日々の昼食代、参考書代、模試の受験費用などがかかることを考えると、3年間で合計500万円かかると考えてもいいでしょう。多すぎるかもしれませんが、少なくとも学費と塾代だけで450万円はかかることは忘れないでください。

■高1で42万円、高2で100万円

ついに大学受験の最前線である高校にたどり着きました。ここまでくれば、あともう一息で受験のゴールが待っています。

中学校から通っている鉄緑会の指導も、より一層熱を増してくるでしょう。一流高校に入っているあなたのクラスメートは、そう見えないかもしれませんが、それでも「大学? まぁ東大かな」と答える程度には受験を意識しています。

高校に入ってからはお互いに切磋琢磨(せっさたくま)しあって成績を伸ばしていくことを意識するのがいいかもしれません。

塾の費用を見てみましょう。鉄緑会の費用も、第1章で見てきた河合塾と同じく、学年によって変動します。

まず高校1年の場合。この時は、英語と数学の2科目を受講可能です。両方とも受講した場合の金額は、およそ月額35000円程度とのこと。年間で考えると42万円です。

高校2年生からは全11科目がA群とB群の2種類に分割され、それぞれから何科目を受講するかによって料金が異なってきます。ここでは、英語・数学・現代文・古典・日本史・世界史(東大文系の二次試験での入試科目)をすべて受講した場合を考えてみましょう。

この場合、A群から2科目、B群から4科目なので、月額84000円ほどになるそうです。年間では84000円×12カ月=1008000円。

■最低でも580万円がかかる

高校3年生でも、全10科目がA群とB群にわけられ、どの授業をどれだけ選択したかによって値段が変動する仕組みのようです。

仮に高2と同じく英語・数学・現代文・古典・日本史・世界史を受講した場合、A群から4科目、B群から2科目で月額約100000円。受験までの9カ月間で90万円がかかる計算になります。

もちろん、毎年夏期講習や春期講習が入ってくるので、ここでも毎年10万円を季節ごとの特別講習に出すと仮定します。

鉄緑会に通う費用だけで、42万+100万+90万+10万(特別講習費用)×3年=262万円がかかる計算になります。模試代や教材費などは一切考えていませんから、これに追加で出費があります。高校が私立であることも忘れてはいけません。やはり3年間で300万円がかかります。すると、合計金額は562万円にまで達します。

お金について悩む人のイメージ
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

ここで終わりではありません。大学受験の際にも、受験料がかかります。東大以外にも、早稲田、慶應あたりから2つずつ、合計5つの学校に出願したとすると、出願費用だけで35000×4+30000=170000円もかかってしまいます。合計で580万円ほどにまでなってしまいました。

私は鉄緑会の実態を知りませんが、鉄緑会に通っていた知り合いによれば、多くの人は「英語、数学、数学3、物理、化学」のように、英語と数学、理科科目をとるようです。

また、鉄緑会には文系生徒が少なく、理系生徒の割合が多いため、特に国語を取る生徒は少ないとのこと。そのためここで言っている金額は、想定されるマックスであると考えてください。

一から十まで塾に任せて東大を受験したいなら、580万円という金額になるというシミュレーションです。

■50%の確率で東大合格になるガチャ

小学校から高校までの金額を足してみましょう。小学校が300万円、中学校が500万円、高校が580万円でしたから、300+500+580=1380万円。いわゆる東大エリートコースを歩みたいのであれば、これだけのお金と9年間の月日がかかります。

この試算はかなり塾に頼る想定で組んでいるので、依存度を減らすなら、もう100万〜200万程度は少なくできるかもしれません。

布施川天馬『東大合格はいくらで買えるか?』(星海社新書)
布施川天馬『東大合格はいくらで買えるか?』(星海社新書)

逆に、小学校4年生時点でアドバンテージを得るために、幼少期から知能トレーニングや英会話塾などに通わせると想定すると、プラス600〜700万円はかかるでしょう。そう考えると、子どもの才能に頼らずに、すべて課金だけでどうにかするなら、2000万円ほどかかるといえるかもしれません。

徐々に投資額が大きくなっていることから単純に比較はできませんが、1380万円を9年で割ると年間150万円と少し。月当たりでいえば、約13万円ほど。確かに、安い金額ではありません。ですが、このコースを歩んでいけば、お子さんは決して低くない確率で、東京大学の門戸をたたくことができます。

言ってみれば、東京大学に行けるチケットが入ったガチャがあったとして、1380万円あったら、それが1回回せるのです。鉄緑会の東大合格率は、一説によると50%ほど。鉄緑会にさえ入れてしまえば、50%の確率であなたのお子様は東京大学に合格すると考えられます。

もちろん、1等が東京大学というだけであって、当たらなかったとしても、高い確率で早稲田大学や慶應義塾大学に合格するのは間違いありません。高確率で高学歴の子どもができる、悪魔のガチャです。

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布施川 天馬(ふせがわ・てんま)
現役東大生ライター
世帯年収300万円台の家庭に生まれ、金銭的余裕がない中で東京大学文科三類に合格した経験を書いた『東大式節約勉強法 世帯年収300万円台で東大に合格できた理由』の著者。他にも『人生を切りひらく 最高の自宅勉強法』(主婦と生活社)、『東大大全』(幻冬舎)、『東大×マンガ』(内外出版社)、『東大式時間術』(扶桑社)などがある。

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(現役東大生ライター 布施川 天馬)

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