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大谷翔平も例外ではない…「日本人の8割超が緊張するタイプ」話し方のプロが緊張を克服するなと言う深い理由

プレジデントオンライン / 2024年3月12日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

緊張して上手く話せないときは、どうすればいいか。緊張しいから話し方のプロになった丸山久美子さんは「世の中にはたくさんの緊張しいの人がいる。それは大舞台で活躍する人や芸能人も同じで、2023年の3月、WBC決勝後にピッチャーとしてマウンドに上がった大谷翔平選手は『本当に接戦のいいゲームで、最後ほんと緊張しましたけど、何とかおさえてよかったと思います』と語っている。自分が誰よりも緊張しいだと思っていると、いつまでたっても話し方が上達しない」という――。

※本稿は、丸山久美子『緊張しても「うまく話せる人」と「話せない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■緊張は味方。克服せずに上手に付き合えばいい

人間には防衛本能があります。

防衛本能とは、身の安全を守るため、生命を維持するため、無意識に作動する本能のことです。

緊張は、まさにこの防衛本能の一種です。

慣れない場所にいたり、慣れない人と関わったり、慣れないことへチャレンジしているときに、「もしかしたら危険が潜んでいるかもしれないよ!」と、体のいたる部分を緊張させて教えてくれているのです。

医学の世界では、「緊張は、交感神経が優位に働いている状態である」ともよく言われています。

しかし、これを知ったところで、緊張したときに交感神経を操れるかはまた別ですよね。

実際、私はどうしたらいいのかわかりませんでした。

そこで、次のようにもう少し柔らかく理解することにしたのです。

「人間には防衛本能というものがあって、命が危険にさらされないよう自分の本能が自分を守ってくれている。新しい場所などでチャレンジをするときは、防衛本能が『ちょっと待って!』と体のいたる部分を緊張させてサインを出している。

緊張は、自分を守ろうとしてくれているサインであり、味方。

だから、克服しなくていい。

『守ろうとしてくれてありがとう』と受け入れて、上手に付き合っていけばいい」

こう理解したことで、私は苦しみから解放されました。

■もっと早く、緊張を感じた段階で対応してみる

帰りが遅い我が子に親が口うるさくなるのは、子供が危険な目に遭わないか心配しているからです。私は、学生時代、そういう親の存在が疎ましくて反抗ばかりしていました。

心ない言葉を投げつけてたくさん親を傷つけてしまったし、そうしてしまう自分にも傷ついていたように思います。

でも、大人になった今は、親の気持ちがわかってきて、うまく付き合えるようになりました。

なんだか、緊張とよく似ている気がします。

緊張は悪いものではありません。むしろ味方です。

克服しなくていいのです。

上手に付き合う方法を探してください。

例えば、頭が真っ白になる人は、真っ白になる前に緊張を感じているはずです。

何か対応をしていますか?

きっと、そのまま放置しているはずです。

だから、体が「もっと緊張させなきゃ!」と緊張の強度を高め、何も考えられないよう頭を真っ白にするのです。

もっと早く、緊張を感じた段階で対応してみてください。

「緊張に気づいたよ。大丈夫だよ。周りに危険はないよ」と体に教えてあげるのです。

胸に手を当てて目を閉じる女性
写真=iStock.com/kimberrywood
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kimberrywood

あなた自身が、このように緊張とうまく付き合えるようになれば、防衛本能も安心して、弱まっていきます。頭が真っ白になることもなくなるのです。

緊張は、克服することを目指すのではなく、上手に付き合っていく習慣をつけましょう!

■大谷翔平がWBC後に語った真理を示す言葉

2023年の3月、WBC(野球の世界一決定戦)で日本は優勝しました。

世界一をかけた9回表。たった1点差で日本がリードしている中ピッチャーとしてマウンドに上がった大谷翔平選手。あと1アウトで世界一です!

このシーンでバッターボックスに立ったのは、MVPを3度受賞しているメジャーリーグ最強打者、アメリカのキャプテンであるマイク・トラウト選手でした。

球史に刻まれる、映画以上にドラマチックな2人の対決を経て、日本は見事世界一に輝きました。

試合終了後、このシーンについて大谷選手は次のようにインタビューに答えています。

アナウンサー「試合の9回でマウンドにも上がりました。あのときどんな心境だったんでしょうか?」
大谷選手「本当に接戦のいいゲームで、最後ほんと緊張しましたけど、何とかおさえてよかったと思います」

大舞台で活躍する人や芸能人は、人前で緊張しないと思われがちです。

でも、同じ人間です。緊張しながら、がんばっているんですよね。

私も、「緊張しないでしょ」と言われることがあります。

「いいえ、緊張しますよ」と何度も本気で伝えても、「ウソだ〜!」と一切、信じようとしない人もいます。

実は、そういう人ほど自分が誰よりも緊張しいだと思っていて、いつまでたっても話し方が上達しません。

■明石家さんま「緊張する方が成功する」

世の中にはたくさんの緊張しいな人がいます。

皆さん、緊張しながらもアレコレ工夫をして一生懸命に話しています。

自分だけでなく人も緊張すると理解している人は、緊張しながら話す人を見ると自分のことのように応援したり、尊敬の念を抱いたりします。

それだけでなく、どうしているのかを聞いて学ばせてもらったりします。同じ緊張しいな人の姿を励みに、自分も成長しようとアレコレ工夫をするのです。

しかし、自分が誰よりも緊張しいだと思い込んでいる人は、他の人のがんばりや工夫に気づくことがありません。気づけるセンサーを持っていないからです。

実は、私も自分が誰よりも緊張しいだと思っていました。人から学ぶどころか、「○○さんだからできるんだ」とひがむことが多かったです。

大きな失敗をして大恥をかくと、トラウマを抱え、話すことの自信がなくなって、また次の機会も失敗して、どんどん話すことを避けるようになっていきます。

そして、いつまでも「自分がいちばん緊張しいで、だから自分だけいつまでも失敗しているんだ」と思い込み続けるという何とも悲しいスパイラルを歩み続けるのです。

毎日テレビで見ない日はない、あの明石家さんまさんでさえこう言っています。

「緊張する方が成功するんですよ。それだけ考えているということだから。真剣に取り組むそのエネルギーが出ていくんですよ。客席とか画面に。(中略)緊張している方がテレビ番組的には伝わるんですよ。それが大事ですね。緊張しないやつはダメ」

私は、誰かとお話しするとき、よくこう聞きます。

「人前で話すとき、緊張するタイプですか?」

8割以上の人が「はい」と答えます。

世の中のほとんどの人が緊張しいです。みんな、一緒です。

緊張しながらどう工夫して、どうがんばっているのか。学ばせていただく習慣をつけていきましょう!

■緊張はチャレンジの証拠

緊張したくない。緊張をなくしたい。緊張しない人になりたい。

あなたは、そう思って本書を手にしてくれたかもしれません。

大切なことをお伝えします。

緊張は、なくさないでください。緊張しいなあなたのままでいてください。

なぜなら「緊張はチャレンジの証拠」だからです。

私は、32歳でこのことに気がつきました。

小学生の頃から緊張しいな自覚があり、それでも人前で堂々と話せるようになりたくて、必死で緊張しいな自分を隠しながら生きてきました。

ずっと、ずっと、「緊張したくない」「緊張をなくしたい」「緊張しない自分になりたい」と思ってきました。

場数を踏めば緊張しなくなると信じていたので、思い切って人前で話す仕事を始め、がむしゃらに場数を踏みまくりました。これまでに、3000回以上は人前で話す仕事をしました。

どれほど緊張して足が震えても、噛んで恥をかいても、不甲斐ない自分に幻滅して泣いても、ひたすら場数を踏んだんです。

でも、緊張はなくなりませんでした。

それどころか、私は心も体も壊しました。

この時期は本当に辛かったです。

緊張すると、震えたり、吐いたり、眩暈(めまい)がしたり……。がんばりたいのに体がついてこなくなりました。

オフィスでうつに苦しんで頭を抱える女性
写真=iStock.com/tuaindeed
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tuaindeed

■自分のことを「偉い」と褒めてあげること

家に帰ると理由もなく涙が出て、病院では精神科を紹介されました。お医者さんから「人前で話す仕事から離れなさい」と言われたときはショックでした。

でも、今思えば、ここまで追い込まれたからこそ、緊張と正面から向き合うことができたのだと思います。「緊張って何なんだろう……」と、ゆっくり時間をかけて考えました。

「自信がないことへの劣等感?」「予測ができないことへの恐怖?」
「いつもは緊張せず過ごせるのに、人前に立つと緊張しちゃうんだよなぁ……」

この、「いつもは緊張しない」「人前だと緊張する」が大きなヒントになり、ついに気がつくことができたのです。

慣れた場所にいたり、慣れた人と過ごしたりしているときは、緊張せずに過ごせます。しかし、たまにしかないシーン、例えば「人前に立つ」となると緊張します。

とても単純な話でした。

丸山久美子『緊張しても「うまく話せる人」と「話せない人」の習慣』(明日香出版社)
丸山久美子『緊張しても「うまく話せる人」と「話せない人」の習慣』(明日香出版社)

慣れていないことをするとき、私たちは緊張するのではないでしょうか?

がむしゃらに場数を踏んでいた時期がまさにそうでした。その都度、新しい場所に行き、新しい人と出会い、話す内容も変わります。場数を踏んでも緊張し続けていた理由は、慣れないことにチャレンジし続けていたからだと気づきました。

「緊張するのは、チャレンジしている証拠だったんだ……!」

そう思えたとき、初めて温かい涙を流すことができました。

今年で41歳になりました。現在もなお、緊張しいな性格のままです。

でも、私は「緊張しながらチャレンジする自分は偉い!」と思えるようになりました。

緊張しいな人は、逃げずにチャレンジする人です。

ぜひ、あなたも自分のことを「偉い!」と褒めてあげてくださいね!

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丸山 久美子(まるやま・くみこ)
株式会社シャベリーズ代表取締役
18歳から展示会を中心としたイベント業界で従事。もともと緊張しやすい性格だが「人前で話せるようになりたい」と思いMCとして活動するも、ステージ上で頭が真っ白になったり、手が震えてマイクを落とすなど数々の失敗を経験。緊張を克服しようと試みたが、逆にストレス過多となり心身症を発症。緊張を克服するのではなく、独学で緊張と上手く付き合う方法や話し方を身につけ、年間385本の仕事をこなすMCに成長。企業のプレゼン代行、イベントや結婚式での司会進行、ラジオパーソナリティ、生放送通販番組のMCなど、人前で話す仕事を3000回以上経験する。2020年に株式会社シャベリーズを設立。現在は、人前で話せるようになりたいと願う人々へ、オンラインスクールや企業研修、行政や商工会議所でのセミナーを通じて、緊張との付き合い方や話し方のトレーニングを提供している。著書に『』(同文舘出版)がある。

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(株式会社シャベリーズ代表取締役 丸山 久美子)

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