50人の前で話すときも、たった1人に集中できるか…HSPのカウンセラーが実践する「緊張しない話し方」の極意
プレジデントオンライン / 2024年3月29日 19時15分
※本稿は、Ryota『気疲れがスーッと消える 繊細な人の話し方』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■相手のジェスチャーに注目するからリラックスできる
コロナ禍の影響で、オンラインの交流がふえました。仕事では、テレワークやオンライン会議がひろまりましたね。
「仕事がテレワークになってから、思うように話せなくなりました。すべての行動を観察されているように感じ、頭が真っ白になる感覚もあります」
繊細な方から、このような相談も届いています。
繊細さ・敏感さは、とくに人間関係において発揮されます。相手の気持ちや気分を察しようと考えますので、じっとおたがいが見つめ合うようなオンラインの交流は、情報が多すぎます。考えることが多すぎるので、緊張してしまい疲れ切ってしまうのでしょう。
オンラインでは、画面のほとんどが相手と自分の顔です。環境にもよりますが、身体は上半身が映る程度が多いと思います。
本来、人は身振り手振りをしながらコミュニケーションをとっています。そういったジェスチャーへ注目すると、相手の目を見る瞬間がへりますよね。このときにリラックスして、次の会話内容などを考えることができます。
しかし、オンラインだとじっくりと相手の顔を見ることになります。これでは、緊張感が消えませんよね。リラックスしづらく、次の会話を考える余裕を失ってしまいます。
■わざとカメラを遠くに置いて、自分の上半身を映す
そもそも、オフラインであなたはつねに相手の目を見ていたでしょうか?
自分の手を見ていたり、相手の動きや服を見ていたり、無意識に視線を相手の目からずらしていることが多いものです。
オンラインだからといって、コミュニケーションの方法を切り替える必要はありません。ずっと相手の目を見つづけなくてもいいのです。相手が目の前にいるのと同じように、身振り手振りしつつ会話をしましょう。
人はほとんどの情報を非言語コミュニケーションから得ています。会話の前に相手の外見を見ます。つづいて、声を聞きますよね。会話の内容ではなく声のトーンや、大きさなどが主な情報となります。
会話上手な人は、会話以外の部分で、情報を相手に渡しています。相手を叱りたければ低い声を出すでしょうし、伝わりづらい内容はジェスチャーも使います。オンラインで会話内容のみで情報を伝えようとすると、今までと感覚がちがうためストレスを感じるのです。
私はオンラインでは、非言語コミュニケーションも使うことを意識しています。
たとえば、わざとカメラを遠くに置いて、自分の上半身が映るよう心がけます。伝えづらい内容は対面と同じくジェスチャーをします。会話内容だけで伝えることを避けているのです。
オンラインでのジェスチャーは、相手にしっかり伝わらないかもしれません。それでも、今まで通りのコミュニケーションを心がけましょう。相手に情報が伝わりやすくなるので、気疲れによる疲労感もへりますよ。
■集団の前で話をする際は、全員に意識を向けない
オンライン会議は、オフラインではありえない距離感で会話をしています。
つねに目の前に相手がいて、複数の人から注目される。まるで面接官が目の前にならんでいるような状態です。これでは緊張して当然ですよね。
つねに監視されていると思い、微動だにできない方もいらっしゃいます。この状態で意見を考えるのは難しいでしょう。
繊細な方は、監視されている状態で力を発揮するのが苦手です。とり組んでいる仕事より、見られている人に意識を向けてしまい、どうすべきか悩んでしまうのです。
オンライン会議では、参加メンバーの表情の変化までしっかりわかってしまいます。
たとえば、会議中にあくびをする人がいたとします。対面のときは目立たないようにあくびをしていたかもしれません。しかし、オンライン会議では未設定だとそれぞれの顔がアップで表示されます。
自分の発言中にたまたま見かけてしまった場合、「私の発言はおもしろくないんだ」と深刻に受け止め、その後の自信を失ってしまうこともあります。
集団の前で話をする際は、全員に意識を向けないことが大切といわれています。私は50名ほどの前で話をすることもありますが、基本的に話を熱心に聞いてくれている1人に注目して話をしています。
1対1の感覚になるので、リラックスした状態で話ができるのですね。オンライン会議でもこの方法を使いましょう。
■オンラインでの刺激を減らす4つの画面設定
オンラインならではの「画面表示」などの設定を上手に使うことで、刺激をへらすことができます。具体的な方法を、いくつか紹介します。
・画面ではなくWEBカメラのレンズを見る
・ディスプレイを暗く設定する
・あなたが話をする際に資料を画面に表示させる
たったこれだけでも、人から注目されている感覚がなくなります。画面を暗くするのは、目の疲れを防ぐ効果も期待できますね。
私もオンラインで交流したあとは、ぐったりと疲れがでていました。1時間ほどのオンライン会議終了後は、20分ほど休む時間をとっていたほどです。
「これではいけない!」と思い、必死になって画面を見るのをやめました。ディスプレイの光も強い刺激です。そして、画面の後ろや画面の相手ではなく、WEBカメラのレンズを見るようにしました。
相手の顔を見ていなくても、相手は「こちらを見てくれている」と感じます。自分自身はリラックス状態につながりますよね。結果、それまでよりも疲労感がへったのです。
ディスプレイ内に資料を表示しておき、その資料をメモとして、見ながら話すのもおすすめです。
オンラインだからこそ、自分がリラックスできる環境をつくり出しましょう。少なくとも、目の前に面接官がならんでいるような状態から抜け出すことが大切です。
■声をハッキリ大きく出すと緊張しない
オンラインでは、機械を通して相手に声が届きます。つまり、声を張りあげなくても声が届きやすくなります。
あなたは対面ではそれなりに声をだせるのに、電話やオンラインだと小声になっていないでしょうか。人は無駄にエネルギーを消費したくない生き物です。不必要に声を出さなくなるのはわかります。
自宅で作業をしている場合、家族や隣人に声が聞こえてしまう不安もあるでしょう。
自分のあたえる影響を深く考える繊細な方は、自分の声がどこまで届いているかも不安に感じることかと思います。実際に、集合住宅では騒音より自分の出す音で人を不快にしていないか悩んでしまう繊細な方もいらっしゃいます。
しかし、小声で話すと緊張感がますのです。
緊張すると息が詰まり、声が震えさらに小声になりますよね。思ったように話せなくなります。
緊張を解く方法の1つが、じつは大きな声を出すことなのです。会話中の滑舌や緊張は筋肉の弛緩、発声とかかわりがあります。大きく声を出すことで呼吸が深くなります。深呼吸で緊張感が和らぐのと同じように、大きな声を出すことでも緊張感が和らいでいくのですね。
仕事がテレワークで一人暮らしだと、ひと言も会話をしないまま1日が終わることも珍しくありません。そうすると、ふとオンライン会議の予定が入ったときに、自分がどのくらいの力で話していたかを忘れてしまいます。
意識的に口のまわりの筋肉を動かし、声を出す習慣をとりもどすことが必要です。
■ボイスメモ収録や個人ラジオで感情を整える
声をハッキリ大きく出す練習として、歌うことをおすすめします。歌うことで、セロトニンの分泌も期待できます。セロトニンは心の安定にもかかわる神経伝達物質で、緊張を和らげることにつながります。
ボイスメモ収録や、個人ラジオをはじめることもおすすめです。どちらも1人で声を出すことができます。自分の声がどのように聞こえているか、録音後に改めて確かめることもできますよね。日記のように使えば、気持ちをアウトプットして感情を整える効果も期待できます。
オンラインで話すときに、あえてマイクの音量を下げるのもいいでしょう。そうすることで、意識して声を大きくしないと相手に伝わらなくなります。
小声のとき、人は口をあまり開けていません。口を大きく開けることで表情が豊かになり、相手に感情が伝わりやすくなります。印象もよくなりますね。
オンラインだからこそ、目の前に人がいるように意識して声を出しましょう。
■たったひと言の文章で疲れ切らないために
オンラインで仕事をしていると、極端に人と触れ合う時間がへります。これまで同僚や上司と毎日のように顔を合わせていたのに、それが週に1回程度、人により月に数回までへってしまうこともあるでしょう。
繊細さ・敏感さを持つ人は、深いやさしさや人への洞察力があります。相手と自分との間になにが起きているのかを考え、その答えを出そうとします。
毎日顔を合わせていれば、ちょっとしたことから相手がどういう状態なのかがわかります。表情1つで機嫌がわかりますし、体調も想像できるのです。
これがオンラインでのコミュニケーションで裏目に出るケースがあります。
上司から、ささいなことを厳しく怒られたとしましょう。そのときに上司が体調不良気味であることがわかれば、それが原因で怒りを我慢できなかったと想像できます。
「体調不良のときはつい言っちゃうときもあるよね」ととらえるだけで受けるストレスはちがいます。相手の立場・気持ちを理解できると、受ける気持ちのニュアンスが変わってくるのです。
メール・チャットのようなテキスト情報だけでは、相手の立場、気持ちがなかなかわかりません。人は足りない情報を憶測してしまいます。
上司から、いつもより短いメールが届いたとしましょう。単に忙しくて、メールを打つ時間がなかったのかもしれません。それにたいしてあなたは「怒っているのでは」と憶測したとします。この憶測が行きすぎると、次のような状態になってしまいます。
・上司の怒った顔が頭から離れなくなる
・自分の評価が落ちたのではないかと心配になる
想像ですので終わりがありません。たったひと言の文章で疲れ切ってしまうこともあるでしょう。繊細な方は深く深く考え込み、ついには謝ってしまうケースもあります。相手は怒っていないので「なぜ謝ったんだ?」と不思議に思うわけです。
■会話内容は7%の情報にすぎない
定期的に顔を見るだけで、こうした行きすぎた憶測にふりまわされなくなります。
相手が怒っていないと、非言語情報から判断できるからです。
私たちは会話でコミュニケーションをしていると考えていますが、「メラビアンの法則(※)」からわかるように会話内容は7%の情報にすぎません。テキストでは怒っているように感じたとしましょう。
でも対面で話すと、ニコニコと柔らかく意見を言っているだけかもしれません。この場合、視覚・聴覚情報から「怒っていない」とわかるのですね。こうした判断ができるので、相手の顔を見ることは大切です。
たとえば、朝オンラインで顔を見るだけでも効果があります。オンラインが中心な職場こそ、顔を見る時間を積極的につくりましょう。
※人は会話をするとき、視覚情報から一番影響を受けやすいという心理法則
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HSPアドバイザー、心理カウンセラー
メンタル心理カウンセラー・行動心理士の資格を持つ。自身も強度のHSP。作家や作曲家の一面も持つ。心理系の資格・様々な仕事経験・癒しの音楽を学んだ経験を生かし、主にHSP向けの相談や仲間作り・支援に向けた活動に努める。これまでに2000名以上の相談に答える。運営しているHSP向けメルマガサービス「HSPの教科書」は、まぐまぐ大賞2020年新人賞1位獲得。繊細な方向けの就職支援サービス「ココjob」を法人と共に企画、立ち上げ。HSP向けコミュニティ「ココイロサロン」を立ち上げ、運営。HSPブログ「ココヨワ」の運営を始め、YouTubeやインスタグラム・ラジオなどSNSでも発信をしており、合計フォロワー数は19万人を超える。HSPと交流しつつ、アンケート等で共通点や悩みを探り、主に心理学・社会関係・行動心理を元に生き方に役立つ情報を届けている。著書に『もう振り回されるのはやめることにした』(SBクリエイティブ)『まわりに気を使いすぎなあなたが自分のために生きられる本』(KADOKAWA)がある。
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(HSPアドバイザー、心理カウンセラー Ryota)
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