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「特許取得」「○○賞を受けた」と煽った上で「個人の感想です」と併記する…本当に効くvs怪しい健康食品の判別法

プレジデントオンライン / 2024年3月15日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/VeraShine(左)/Nungning20(右)

「病気が治った」「特許取得」「○○賞を受けた」……テレビやネットで依然としてよく見る健康食品をうたうサプリのCMや通販番組だが、虚偽表示や誇大表示に該当するものもある。藤田医科大学客員教授で代謝機能研究所所長の今井伸二郎さんが「安全性に問題がある」と国立健康・栄養研究所で認定された成分について報告する――。

※本稿は、今井伸二郎『最新科学で発見された正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

■「病気が治った」などの表現には要注意

健康食品のコマーシャルを見て、本当に効くのか疑問に思う人も多いのではないでしょうか?

本当に効く商品とそうではない商品をどのように見分ければいいのか迷ってしまうことでしょう。私であれば、この商品は効かないと名指しすることも可能ですが、営業妨害になりかねないので本書では具体的な商品名は記載していきません。

健康食品の中には、「有名人が利用している」「希有な成分が含まれている」「病気が治った」「特許取得」「○○賞を受けた」など、魅力的なうたい文句が付いているものが多く存在しますが、これらの内容は、製品の安全性や有効性を保証するものではありません。

健康食品はあくまでも食品であり、医薬品ではないので、「病気が治った」という表現は特に注意が必要です。現時点で、病気の人を対象に治療効果を明確に実証した健康食品はありません。

なお、このような魅力的な効果をうたいながら、その効果などが実証されていない広告は、虚偽表示や誇大表示に該当し、「健康増進法」や「不当景品類および不当表示防止法」で禁止されています。

しかしながら、「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」といった効果の保証を打ち消す文言を併記すれば規制を逃れられると誤解している事業者が、根拠なく広告を行っている場合もあります。消費者としては注意が必要です。

■安全性に問題があると認定された成分

具体的にこれが効かないと指摘するのは簡単ですが、前述したように商品名を出すと営業妨害だといわれかねません。

しかし、何が効かないのかは誰もが知りたいことでしょう。そこで、変形性関節症に対する健康食品以外の健康食品で、その効果に疑いがある、あるいは安全性に問題があると国立健康・栄養研究所で認定された成分について、図表1に示しました。

【図表1】安全性に問題がある成分
出典=『最新科学で発見された正しい寿命の延ばし方』

この表の成分について解説してみましょう。

プラセンタは馬や豚の胎盤から抽出したものですが、食用での滋養強壮や美容に関するヒトへの有効性のデータは確認されていません。一方でプラセンタに対するアレルギー反応により、皮膚炎や皮膚硬化などが発生する事例が確認されています。さらに、薬剤性肝機能障害や肺炎の事例も報告されています。

クロレラは古くから健康にいいとされ、さまざまな製品が販売されてきました。がん予防に効果があるとされていますが、実際にはがんの進行を抑制する具体的なデータは示されていません。

クロレラは単細胞緑藻で、主に湖沼や河川などに生息しています。光合成によって生長しますが、生物学的には単細胞性の植物という位置づけです。ある意味では当たり前ですが、普通の草を食べているのと何ら変わりはありません。アレルギーや慢性関節リウマチを持病とする人が摂食すると、疾患を増悪させる可能性が示唆されています。

ウコンには肝臓の機能を高める効果があることが確認されていますが、過剰摂取すると、鉄分の肝臓内での貯留により、肝機能障害の危険性があると考えられています。肝機能の弱っている人や、胃潰瘍、胆石の持病がある人の場合は、特に注意が必要です。

ローヤルゼリーには、更年期障害に対する有効性は認められていますが、アレルギー性鼻炎に対しては効果が認められず、むしろ悪化するという事例が報告されています。重篤なアナフィラキシーショックを起こしたとする事例もあり、アレルギーに対する使用には注意が必要です。

アントシアニンは吸収効率が極めて悪く、経口摂取しても目における十分な濃度が得られず、視力回復や白内障、緑内障に対する予防効果はないと考えられます。

マカに含まれる成分には生殖器機能の改善効果についての研究はなく、メタボリックシンドロームの患者において、AST、ALTといった肝障害を示す数値が上昇したとする報告や、血圧の上昇に関する副作用が報告されています。

■健康食品はあくまでも食品であり、医薬品ではない

アガリクスは姫マツタケともよばれる、マツタケとは異なるハラタケ属のマッシュルームに近い種類のキノコです。30年くらい前、クレスチンというがんに対する薬剤が認可されていましたが、これはカワラタケというサルノコシカケに近い種類のキノコの抽出物です。

この医薬品の主成分はβグルカンとよばれる多糖成分ですが、このβグルカンをカワラタケより多く含んでいるキノコがアガリクスです。これが、がんに有効だとする根拠ですが、医薬品になったクレスチンについて、安全性は高いものの、がん治療に対する有効性が低く、有用な抗がん剤の普及に伴い利用されなくなった歴史があります。つまり、実際のところアガリクスにはがんに対する有効性は低いといわざるを得ません。

今井伸二郎『最新科学で発見された正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)
今井伸二郎『最新科学で発見された正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)

事実、有効性、安全性に関する信頼度の高い研究報告はありません。ある動物実験においては過剰摂取した場合、逆に発がんを促進してしまったとする報告もあります。肝障害や肺炎を起こしたとする学会報告もあります。

イチョウ葉エキスはドイツでは医薬品として承認されています。しかしながら、日本で販売されている商品は粗悪品が多く、アレルギー誘因物質であるギンコール酸の含有量がドイツ基準の3200倍もの量の商品も確認されています。

ギンコール酸は銀杏の果肉に多く含まれており、皮膚に触れるとかぶれの原因になります。このように、健康食品には効果が弱いこと以外にも危険性もあることを知っていただきたいと思います。

【まとめ】
1 健康食品はあくまでも食品であり、医薬品ではない
2 効果に疑いがある、安全性に問題があると認定された成分に要注意

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今井 伸二郎(いまい・しんじろう)
代謝機能研究所所長、東京工科大学名誉教授、藤田医科大学客員教授
1984年、東京大学大学院農学系研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。日清製粉株式会社中央研究所勤務。2002年博士(医学)(東京医科歯科大学)。2005年東京農工大学非常勤講師。2010年静岡県立大学客員教授。2014年東京工科大学教授。著書、監修に『機能性食品学』(コロナ社)、『花粉症等アレルギー疾患予防食品の開発』(シーエムシー出版)、『最新科学で発見された正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)がある。

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(代謝機能研究所所長、東京工科大学名誉教授、藤田医科大学客員教授 今井 伸二郎)

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