ボストン・ウェルネス通信 その7:そのサプリメント大丈夫!?
Japan In-depth / 2024年4月3日 11時0分
大西睦子(米国ボストン在住内科医師)
【まとめ】
・サプリメントの利点は大きく宣伝されているが、医薬品と違い、リスクがあっても消費者に知らせる義務はない。
・サプリメントは、薬でも食品でもない位置付け。
・全てのサプリメントが無害で健康に効果があるわけではない、誇大に宣伝される可能性がある、安全性や有効性は事業者を信用するしかない。
「小林製薬」の「紅麹」の成分を含むサプリメントによる健康被害が問題になっています。3月28日の集計では、5人が亡くなり、114人が入院、さらに食品メーカー各社で商品の自主回収など波紋が大きく広かっています。厚生労働省の専門家による調査会によると、サプリメントには「プベルル酸」という青カビからつくられる物質が含まれていたそうです。今後、その毒性や製品に混入した経路、それ以外の物質の混入などを調べるとのこと。
ところで、サプリメントを利用する多くの人は、サプリメントが無害で健康に効果があると信じています。ただし、サプリメントの利点は大きく宣伝されていますが、医薬品と違い、もしリスクがあっても消費者に知らせる義務はありません。なぜでしょう?
サプリ大国の米国の状況を参考にながら、サプリメントや日本の機能性表示食品について考え直しましょう。
●米国、サプリメントの副作用で年間平均約23,000件の救急外来受診
多くの米国人にとってサプリメントは必需品です。米疾病予防管理センター(CDC)の報告(2023年)によると、米国では、0~19歳の小児・青年の34.8%、20歳以上の成人の58.5%が、サプリメントを利用しています(1)。
たしかに有効性が裏付けされたサプリメントはあります。例えば、妊婦は葉酸が欠乏しやすく、胎児の先天性欠損症の原因となりますが、予防には葉酸のサプリメントが効果的です。
一方、米国では専門家を中心に、サプリメントの必要性の有無や安全性の議論が続いています。2015年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)の報告では、年間平均約23,000件の救急外来受診の原因は、サプリメントの副作用であることが判明しました(2)。
救急外来を受診した人の4分の1以上が20歳から34歳であり、その半数は減量や精力増強のために販売されたサプリメントが原因で、胸痛、動悸、不整脈などの症状を引き起こしました。ただし影響を受けたのは若者だけではありません。 4歳未満の子供の多くは、監督なしで誤ってビタミンを摂取し、アレルギー反応や消化器症状(吐き気、嘔吐、腹痛)を経験しました。 65歳以上の人は、大きな錠剤サイズのビタミンや微量栄養素を摂取した後、嚥下障害を引き起こしました。
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