つまらない雑談を終わらせたい…三流は「時計を見る」、二流は「約束がある」、一流がこっそり使う「シメの一言」
プレジデントオンライン / 2024年3月31日 8時15分
■「デリカシーのない人」は雑談するだけで嫌われる
デリカシーのない人に出会うことがありませんか。
「◎◎さん、口数が少ないですね」
こんなふうに、相手が気にしていること、コンプレックスに思っていることを平気で言う人。
雑談は、親睦であり、人と仲良くなるためのコミュニケーションです。なのに、相手の嫌なことを平気で言う人は、雑談の意味を理解していないんだと思います。他人の負の領域にズカズカ入ってくるので、こういう人と話さないといけないときは、ちょっときついですよね。
しかし、話している本人は「デリカシーに欠ける」と気づいてない場合が大半です。それがわからないから配慮できないのです。そして、話している本人が気づきにくいということは、もしかするとあなたもやってしまっている可能性があるかもしれません。
次の項目で、「自分のデリカシー度」をチェックしてみてください。「デリカシーのない人」は、大まかに次の5つの特徴があります。この5つの項目のうち、ひとつでも当てはまればデリカシーに欠けている可能性があります。
■自分が聞きたいこと、話したいことを優先するのはNG
デリカシー度チェック1 自分の好奇心を優先してしまう
自分が興味のあることなら、相手の個人的情報を気にせず聞いてしまいます。それが相手が聞かれたくないことだったとしてもです。
●年齢、出身地、居住地、学歴、職歴、家族構成、年収、結婚歴、病歴、宗教、政治的信条など、極めて個人的な領域をあれこれ詮索しようとする。
●親しくない相手に、「休日何してたの?」とか、「彼氏(彼女)いるの?」などのプライベート情報を聞く。
質問している本人は、相手の属性を深く知りたいと思っているのでしょうが、プライバシーに関わることは、聞く内容に気をつける必要があります。
デリカシー度チェック2 自慢話ばかりをしてしまう
自分がどれほどすごい人間か、自慢話ばかりする。成功談、実績、周囲からどう見られているかなど、「私は、私は」と、自分の話ばかり。「誰もが私の話を聞きたい」と思っているとしたら、それは勘違いです。
デリカシー度チェック3 秘密をバラす
「◎◎さんって、▲▲らしいですよ」
人は噂話が大好き。他人の秘密を知ることも好きです。だからといって、人の秘密をペラペラしゃべるのは、配慮に欠けるし、何より人から信用してもらえなくなります。
■下ネタ、デカい声はNG
デリカシー度チェック4 パワハラ・セクハラをする。下ネタが多い。下品
「セクハラは、好きな人にされたいことを、嫌いな人にされること」という言葉があります。「相手が自分のことを好きだと思っている」「このくらいは許してくれる」と考えているところから、セクハラは起きると言われています。
パワハラも同様に、優越的立場を使って適正な範囲を超えた言動をすることが問題になるのです。自分で判断するのが難しいことだけに極めて慎重になるべきです。
デリカシー度チェック5 マナーが悪い。不潔。声が大きい
マナーが悪い。不潔は当然として、声の大きな人は、ノイズハラスメント扱いされます。場の雰囲気、話の内容に応じて声の大きさに注意することも忘れないように。
いかがでしたか? ひとつでも当てはまるものがあったら要注意。あなたは、周囲に「デリカシーがない人」と思われているかもしれません。
■自分のデリカシー度を矯正する6つの視点
では、デリカシーのない人と思われないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
ふだん雑談をしているときに、次の項目に思い当たることをしていないか、チェックして、もしそう思っていたり、やっていそうならば矯正をしていってください。
1 相手のプライバシー情報を知るほど、相手と深い知り合いになった気がする
→プライバシーに関わるような内容は、自分から聞くのはなるべく避けましょう。ただし、年齢や出身地などが、相手との話のタネになることもあります。なので、先に自分の年齢や出身地を言ってしまうというのはアリです。それに対してどう答えるかは相手次第なので、配慮した話し方にはなると思います。
2 話に「私は」「僕は」「俺は」と一人称が多い
→自分のことについてばかり語っている可能性が大きいです。主語を「あなたは」にして、相手の話を聞くように心がけましょう。
3 この話を過去にした覚えがある
→何度もしている話は、「自慢話」になっている可能性があります。話すうちに自分の中で美化されて、自分1人で酔うような話になっている可能性もあるので、「この話、前にもしたかも」と思ったときは、とりやめるのが賢明です。
■「話すのがしんどい人」を反面教師にしてほしい
4 いない人の話をしている
→本人のいる前で、悪口や暴言を吐く人はあまりいません。その人がいないところで、その人を話題にしているときに、「あの人、実はね……」と秘密をバラしたりするものです。いない人の話は極力さけましょう。
5 相手は自分を好きだと思い込んでいる
→セクハラやパワハラは、相手が自分を好きだ、許してくれる、抵抗しないと思い込んでいるところから起きがちです。自分と相手の距離感をしっかり見極めましょう。
6 鏡を見る回数が少ない
→身だしなみは、自分を客観視するところからはじまります。トイレに行った際は必ず、街のショーウィンドーに映った自分も見るなどして、自分の服装や髪型が今、どうなっているかをチェックするようにしましょう。
俳優のチャールズ・チャップリンは、
「私たちがみんなで、小さな礼儀作法に気をつけたなら、人生はもっと暮らしやすくなる」
と言っています。
一人ひとりのちょっとした配慮によって、雑談のしやすさも変わります。あなたが「この人と話すの、しんどいなぁ」と思う人をよく観察し、反面教師にしてください。ペラペラと、話し上手になるよりは、まずは礼儀正しく、デリカシーのある人になることを目指しましょう。
相手に「この人とは話したくない」と思われないよう、自分の「デリカシー度」をチェックする。
■「終わらせたい雑談」を嫌われないように終わらせるコツ
話の長い人っていますよね。仕事の打ち合わせでも、1時間で終わるつもりが、1時間半、2時間……、いつまでたっても話が終わりそうにない。そういうとき、なかなか話を切るのが難しいと思います。
そろそろ疲れてきたな。忙しいから、あんまり時間を取られたくないな。次の予定があるんだけど、話を切れない……。そんな心の声をあげた経験、誰にでもあるんじゃないでしょうか。
雑談は、ひとつのトピックについて話したら終わりではなく、どんどん新しい話題に飛んだり、そうかと思えば、またもとの話に戻ったりします。そういう意味では、終わりのないのが雑談とも言えます。
とめどなく広がっていく話をどうやって止めるのか。これは結構な難題です。人の話を切ることは、コミュニケーションの中でも難しいテクニックです。でも、うまく話を終わらせる秘けつがあるので、ここで紹介します。
ちなみに、話を切れない理由は、相手が気持ちよく話しているのに切ってしまうことが、相手の気分を害さないだろうかとか、相手に悪い気がするということだと思います。でも、忘れないでほしいんですが、基本的に話を切るのは悪いことではありません。
まず、話を切るための最初のポイントは、話を終わらせることに「申し訳なさ」を感じないこと。雑談のキホンは、お互いに気持ちよくしゃべれることなので、そんなふうに思ってしまうと相手の話をただ聞く係になってしまいます。そうなってしまうと、それはもう雑談ではなくなってしまいます。
では、どうすれば相手の機嫌を損ねずに、話を終わらせられるのでしょう。
■自分のせいにして、話を切り上げる
まず、相手の話を切らなければいけないときに、NGなことがあります。
それは、「あなたの話が長くて、つまらないから、ここで終わりにしたい」という気持ちを、チラリとも見せること。実際にそう思っていなかったとしても、相手にそう思わせてはいけません。
たとえば、時計をチラチラみたり、ソワソワすれば、すぐに「もう話を切りたいんだな」と勘ぐられてしまいます。これは、よくない。では、これはどうでしょうか?
「ちょっと、このあとに約束がありまして」と言う。
なるほど、嘘ではないでしょうし、よくあるパターンです。でも、これも十分ではありません。たとえば、相手が得意先や上司、あるいはあなたの大切な人との場合は、もう少し工夫が必要です。その工夫が、これ!
「話が長くなった責任は、私にある」と、相手にアピールすること。
「ごめんさない。面白くてついついお話を聞き入ってしまい、こんな時間になってしまいました」
「お時間、大丈夫ですか? 私が質問ばかりしたもので、ずいぶんお時間をとらせてしまいまして」
こんなふうに、話が長くなったのは、話が面白くてついつい聞き入ったり、質問したりしてしまった私のせいだと語るのです。そのうえで、「もっとお話をお聞きしたいのですが、ちょっと時間がなくて」と言えば、相手も事情を察し、嫌な顔をしないでしょう。
相手のせいにするのではなく、「話が面白くて聞き入ってしまった」自分のせいにする。こうすれば、相手も悪い気はしないはずです。これが、いい話の切り方です。
■「面白かった」「楽しかった」で、フェイドアウト
さらに、話を上手に切り上げるいい方法がもうひとつあります。その雑談で心に残った気持ちをひと言で表すという方法です。たとえば、
「お会いできてうれしかったです」
「あー、面白かった!」
「楽しい時間でした」
「ただただ、驚きの連続でした」
と、伝えるのです。
これだけで、それまでの雑談の内容が、うれしかったり、面白かったり、楽しかったり、驚きの連続だったという印象が残ります。簡単でしょう。今日から、すぐに使ってみてください。
人の記憶に残るのは、「一番感情が盛り上がった、ピークのとき」と「別れ際の、エンドのとき」(ピーク・エンドの法則)だそうです。
人は、別れる瞬間の相手の顔、態度、言葉、しぐさ、印象をよく覚えていると言います。ならば、話の最後には、きっちりと相手に好印象を残しましょう。相手と過ごした時間が有意義だったことを伝えつつ、「ありがとうございました」と、しっかり感謝の言葉を述べます。
この、ちょっとしたやり取りが、「また会って話したいな」と思ってもらえるかどうかのポイントだったりします。
終わりよければすべてよし
言葉と同様に、最後に見せたあなたの顔の印象が、相手の頭に長く残ります。とびきりの笑顔で、雑談のフィナーレを迎えましょう。
感謝の言葉と笑顔で好印象を残して、雑談をしめくくる。
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コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター
大阪芸術大学芸術学部放送学科客員教授。早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCM を手がける。スピーチライターとしても活動。著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)などがある。
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(コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター ひきた よしあき)
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