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サイゼリヤは金儲けのためのレストランではない…ミラノ風ドリアを300円で売り続けている創業会長の哲学

プレジデントオンライン / 2024年4月4日 7時15分

サイゼリヤ正垣会長 - 写真提供=サイゼリヤ

サイゼリヤの看板商品「ミラノ風ドリア」は、原材料費が高騰している現在でも値上げせず、300円を続けている。一体なぜなのか。同社の正垣泰彦会長は「サイゼリヤは金儲けのためのレストランではない。原材料が高騰したとしても、店都合の値上げは絶対にしない」という――。

※本稿は、正垣泰彦『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■人は1人では生きられない

もしあなたが人生やビジネスで「うまくいっていない」のなら、それは自分中心に生きている証拠です。

残念ながら、この世界は、あなたを中心にできているわけではありません。ビジネスも人生も、自分1人では成り立ちません。お互いにかかわりあい、与え合い、助け合い、分かち合って生きています。

あなたも、私も、この世界の中でつながっていますし(あなたは今、私の記事を読んでいます。サイゼリヤで食事したこともあるかもしれません)、全体の中の一部でしかない。そこに中心はないのです。

にもかかわらず、自分中心に生きていると、どうなるでしょうか?

「損得ばかりに目が行ってしまい、人が何を望んでいるかわからない」
「何度も同じ間違いを繰り返してしまい、反省して改めることができない」
「目の前の現実を受け入れられず、何かを成すことができない」
「逃げ癖がついてしまい、仕事にも人間関係にもじっくり取り組めない」

少しは、身に覚えがあるでしょうか?

■「人のため」に生きるだけですべてうまくいく

自分中心に生きていると、迷いや苦しみといった不調和が生じます。あなたを安らぎと成功に導くはずの「つながり」を自ら切り離して、ぽつんと1人孤立してしまうばかりか、この世界との軋轢や葛藤を生み出してしまうのです。

でも、大丈夫です。

この問題は、ほんの少し考え方を変えるだけで解決します。

それを一言で言えば、「自分中心」から「人のため」へのシフトです。この記事では、あなたがこの世界と調和して幸せになり、ビジネスも人生もうまくいく考え方をお伝えします。

■サイゼリヤが年2億人が来る店になった理由

私はサイゼリヤの創業者で、今は会長を務めています。サイゼリヤは、実は、お金を儲ける気がまったくありません。変わった会社だと思いますか?

1つ言えることは、もしサイゼリヤがお金を儲けるためにレストランをしていたら、世界1500店舗超、年間客数2億人超の、世界最大のイタリアンチェーンにはなっていなかったということ。

誰でもお腹いっぱいに食べられて満足できる「安くておいしい料理」を提供したい。皆さんを幸せにできる、役に立てる企業になりたい。その一心で、私は今までやってきました。

サイゼリヤの店内
写真提供=サイゼリヤ
サイゼリヤの店内 - 写真提供=サイゼリヤ

■原材料高騰でも絶対に値上げしない

原材料費高騰や物価高の中で、ほとんどのレストランチェーンが、値上げに踏み切っています。それでも、サイゼリヤは値上げをしない。むしろ値下げする。同時に、もっとおいしくするために、何度も何度も味の改善を重ねています。

「会長、そろそろ値上げしたほうがいいんじゃないですか」

外部の方からそう言われることもありますが、私は「値上げをしません」と言い切ります。

なぜかというと、値上げはこちらの都合でしかなく、お客様のためにはならないからです。値上げをしてお客様に負担を求める前に、私たちが改善できることは無限にあるのです。

もしサイゼリヤが値上げをするとしたら、それはお客様が困らなくなったとき。お客様に経済的な余裕ができるまで、私は値上げに踏み切ることができないのです。

サイゼリヤは、「利益のことは考えない」「お客様最優先」という、ある意味では不器用な経営をしています。私たちのやり方は、ビジネスの教科書に書いてあるセオリーや常識から外れているかもしれません。

それでも、サイゼリヤが成長・発展してこられたのはなぜでしょうか?

皆さんとの「つながり」の中で、人が喜ぶ方向に、この世界が少しでも良くなるようにと、ビジネスを展開してきたからです。

お客様からは最低限のお金をいただいて、お値打ちの料理を提供する。お客様から何ひとつ奪うことなく、むしろ与えることだけを考えている。その結果として、この世界と調和できているからだと、私は思うのです。

後で説明しますが、この世界にあまねく広がっている「エネルギー」は、みんなが幸せになる方向に流れています。その流れに沿っているものは、不思議なことに、抵抗なくするすると進み、すべてがうまくいくのです。

■「人のため、正しく、仲良く」

「人のため」には、ある種の自己犠牲が伴います。

「もっと自分を大事にしよう」「ラクして儲けよう」というメッセージにあふれた今では、自己犠牲は流行らないかもしれませんね。

しかし自己犠牲こそ、実は幸せになる近道なのです。そこには、犠牲を何十倍も上回るほどの、圧倒的な「喜び」があります。

自分を犠牲にしているようで、実は何ひとつ犠牲にしていません。むしろ、もらっているもののほうが多いのです。

私は「人のため」と思うとき、心の奥から力が湧いてきます。そもそも、自分が儲けたり得するよりも、人に喜んでもらうほうが、なんとなくうれしい感じがするはず。

あなたもそう思いませんか?

サイゼリヤの基本理念は、「人のため、正しく、仲良く」です。

サイゼリヤの経営は、けっして順風満帆ではありませんでした。絶体絶命のピンチのとき、迷い、苦しむとき……、私はいつも「人のため、正しく、仲良く」という理念に立ち返ってきました。すると、進むべき道が見えてくるのです。

この理念に従って決断や行動をしたとき、どんな苦境であっても、乗り越えられなかったことは、一度もありません。

「つながり」の中で導かれ、物事が「みんなが幸せになる方向」へと進んでいく。この世界のすべてが味方として加勢してくれている……そんな心地がしたものです。

■なぜミラノ風ドリアは300円なのか

「人のため」というのは「利他」のことで、私の最も根幹にある考え方です。「自分のため」では、曇ったメガネをかけているようなもの。

「人のため」なら、お客様や大切な人が何を望んでいて、どうすれば喜んでもらえるのかを、ありのままに見ることができます。私たちはつながりの中で生きていますから、そのつながりの先にある「人」やこの世界すべてのことを思い、少しでも役に立とうと考えるのは、ごく自然なことではないでしょうか。

サイゼリヤがどんな思いで、どのように、ミラノ風ドリア(300円)をはじめとするお値打ちの料理を提供しようとしているのか。

利他の心で、「人のため」にできると、あなたはこの世界と調和していきます。オセロの黒が白へと一気に変わるように、ピンチはチャンスに、敵は味方へと変わっていくことでしょう。

ミラノ風ドリア
写真提供=サイゼリヤ
ミラノ風ドリア - 写真提供=サイゼリヤ

■「最悪」は考え方を変えるチャンス

「正しく」というのは、「反省」のこと。「人のため」というのは、そう簡単にできるものではありません。私たちの肉体や本能は、もともと「自分中心」です。放っておくと「自分のため」に戻ってしまい、怠けてしまうのです。

日々の反省と精神の力によって、「自分中心」よりも「人のため」を優位にしていきましょう。ポイントは、ほんの1%だけ優位であればいいということ。これを1日、1週間、1カ月、1年と継続していけば、大きな実りとなります。

また、結果が望ましくないときは、必ず考え方が間違っているということ。考え方さえ変われば、あらゆる「つながり」が生かされていく。考え方を変える絶好のチャンスだという点で、最悪こそがむしろ最高だということもお伝えします。

「仲良く」というのは、「調和」のことです。目の前の現実を拒むことは、不調和をもたらします。すべてを最高だと引き受けて、感謝し、突き進んでいく人こそ、ロマンやビジョンを実現できるのだと思います。

良いことも、悪いことも、すべて最高のことが起こっています。なぜなら、すべてはエネルギーの流れと、過去の原因によって起こっているから。

嫌なことが起きたときこそ、むしろ感謝すべきです。それは過去のあなたの行いの結果であり、その原因となる「間違った考え方」を正し、成長していくチャンスなのですから。

嫌なことが起きたときに「自分を変えていくチャンスだ」「ありがたいな」と思えるようになれば、最高です。

■「努力」で競合のいない領域まで進化した

サイゼリヤは、生産性が高い企業と評されることがあります。そうなった理由は、「秩序」を保つための「努力」をしてきたからです。

「秩序」には2つの側面があります。1つ目は、決まりをつくって自由を制約し、ムリ・ムラ・ムダが生じないようにすること。本当の自由とは、自由の制約の中にこそあるのです。

もう1つは、シンプル化によって努力の対象を絞り込み、少ない労力で大きな成果が得られるようにすること。一点集中をすることによって、競合がいない領域にまで進化していくことができます。

組織や人間は放っておくと、野菜と同じように腐ってしまいます。「人のため」を貫くには、「反省」だけでなく、「努力」も必要なのです。

■サイゼリヤの「エネルギーの法則」

私は、この世界において、「法則」を見出しました。私のこれまでの80年近い人生や、約60年にわたってサイゼリヤを経営してきた経験、そして敬愛する母の教えに加えて、大学時代に専攻していた物理学の理論をもとに、「つながり」の中でおのずと導き出され、授かったものです。

なぜ物理学かというと、ビジネスも人間のあり方も、物理学の法則に基づいて説明できるから。ここでいう物理学の理論とは、熱エネルギーの法則、エントロピー増大の法則、天動説・地動説、ニュートン力学、量子力学、相対性理論などです。

専門用語を出してしまいましたが、けっして難しいものではありません。私は学者ではありませんから、誰でもわかるようにお伝えできたらと思います。

私がこの世界で見出した法則のことを、「エネルギーの法則」と名付けました。

この世のすべては、あなたの思惑とは関係なく、刻々と動き、変わり続けています。

そこにあるのは、「変化」「流れ」「関係」であって(私はこれを「エネルギー」と言っています)、「中心」や「不変の実体」は存在しません。

そのため、何ひとつ孤立しているものはなく、みんなで調和へとゆるやかに向かっています。もちろん、嫌なことや苦しいこともありますが、エネルギーの流れによって起きているので、良いことも悪いこともすべて最高なのです。エネルギーの流れは、あなたを生かし、守り、導いてくれます。

「人のために=利他」という心で、エネルギーの方向に進んでいけば、何の心配もありません。ビジネスや人生の困難はもちろん、老いや病気への不安や、死への恐怖ですらも、乗り越えられるようになるかもしれません。

■利他の心が人生もビジネスも好転させる

この本は、あなたの考え方や人生に、コペルニクス的転回をもたらします。

今まであなたは、天動説(=地球中心説)のように、世の中の中心に自分がいると信じていたかもしれません。

しかしコペルニクスやガリレオが発見したように、この世界の本当の在り様は「地動説」。あなたはこの宇宙をぐるぐる回る、無数の星々の1つでしかないのです。

自分はちっぽけで、取るに足らない存在だった。

正垣泰彦『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』(KADOKAWA)
正垣泰彦『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』(KADOKAWA)

みんなと一緒にこの世界を漂い、たくさんの人たちに支えられながら、今まで生かされてきた……そうわかると、感謝の気持ちが湧いてきます。

贈り物を受け取っていたことがわかると、お返しをしたくなるものです。

そうして「人のため=利他」の気持ちを持つことができれば、この世界と調和できるようになります。

迷いや苦しみがなくなり、停滞していた人生やビジネスが、するすると動き出していきます。

この記事を読み終えたら、今まで「自分のため」に向けていた努力を、まずはほんの少しでもいいので「人のため」に振り向けてみてください。

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正垣 泰彦(しょうがき・やすひこ)
サイゼリヤ会長
サイゼリヤ創業者。1946年兵庫県生まれ。67年東京理科大学在学中にレストラン「サイゼリヤ」開業。68年の大学卒業後、イタリア料理店として再オープン。その後、低価格メニュー提供で飛躍的に店舗数を拡大。2000年東証一部上場。2009年4月、社長を退任して代表取締役会長就任。

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(サイゼリヤ会長 正垣 泰彦)

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