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「なぜジムに通うんですか?」この質問で正解がわかる…仕事のできる人がやっている"響く言葉選び"の方程式

プレジデントオンライン / 2024年4月15日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

相手の心をつかむにはどんな話し方をすればいいか。研修講師の深谷百合子さんは「思考パターンには人それぞれ違いがある。ちょっとした会話から相手の傾向を理解して、言葉の選び方を変えられるといい」という――。

※本稿は、深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■五感のどれが優位か、人によって違いがある

私たちは、五感を通して物事を認識したり、思考したりしています。アメリカで開発されたNLPという実践的な心理学によると、人には利き手や利き腕があるように、視覚、聴覚などの感覚の中にも、人によってよく使う感覚はそれぞれ違いがあるそうです。

NLPでは、人の持つ感覚を3つに分けて、それぞれの特徴を示しています。その3つとは、「V:視覚(Visual)」「A:聴覚(Auditory)」「K:体感覚(Kinesthetic)」です。

例えば、あなたが何か新しいことを学ぶとき、「図や動画を見る」「講義を聴く」「実際にやりながら学ぶ」の中で、どの方法が一番自分に合うでしょうか。「図や動画を見る」という人は「視覚」、「講義を聴く」という人は「聴覚」、「実際にやりながら学ぶ」という人は「体感覚」をよく使う人だと言えます。

■相手の3つの感覚に合わせて説明方法を変える

説明をするときには、相手がよく使う感覚に合わせて説明の方法を変えると、理解してもらいやすくなります。あなたが新製品をプレゼンする場合を例にして考えてみましょう。

「視覚」をよく使う人には、デザインや色などの「見た目」の魅力をアピールしたり、競合製品との性能比較をグラフなどの視覚的情報で示したりすると伝わりやすくなります。

「聴覚」をよく使う人には、製品の特徴や「何が優れているのか」を論理的に説明したり、音の出る製品なら実際に音を聞いてもらったりするのも1つの手です。

「体感覚」をよく使う人には、実際に製品を手に取ってもらい、使い心地を体感してもらうのがいいでしょう。

この「よく使う感覚」は、その人が使う言葉にも表れると言います。例えば、「わからない」ということを、「視覚」をよく使う人は「話が見えない」、「聴覚」をよく使う人は「耳に入ってこない」、「体感覚」をよく使う人は「腑に落ちない」などの言葉を使う傾向があります。その人のよく使う感覚に合わせて、説明の方法を変えてみましょう。

でも、相手がどの感覚をよく使うのかわからない場合がありますよね。また、1対1ではなく、多数の人に説明しなければならないときもあります。そのときには、それぞれの感覚に対して有効な説明方法を、バランスよく取り入れるといいでしょう。

■人間が行動を決める思考パターンには2種類ある

同じ状況下で、同じ言葉を投げかけても、ある人には響くのに、ある人には響かないということがありませんか。これは、人にはそれぞれの「思考パターン」があるからです。

カナダNLP協会の創設者であるシェリー・ローズ・シャーベイ女史の著書『「影響言語」で人を動かす』(実務教育出版)によると、「言葉と行動のパターンには関係性がある」、そして「相手のパターンに合わせて話せると、コミュニケーションがとてもスムーズにとれるようになる」と述べられています。

行動を決めるときの判断のパターンとしては、「外的基準型」と「内的基準型」の2つがあります。「外的基準型」は、「他人の意見や外部の基準などに照らして判断する」パターンです。「内的基準型」は、「自分の考えや価値基準で判断する」パターンです。

商品を選ぶ場合を例にして考えてみましょう。

「外的基準型」の強い人は、他の人の意見や口コミを参考にします。

一方、「内的基準型」の強い人は、自分の気に入ったものを選びます。

あなたはどちらのパターンに近いですか。

■「どうされますか?」か、「こちらをおすすめします」か

ビジネスにおいても、こうしたパターンをふまえて言葉を選ぶと、相手の心に響きやすくなります。

例えば、こちらから提案をする場合、「外的基準型」の強い人に対しては、「どうされますか?」と聞くよりも、「多くのお客様が採用されているのはA案です」のように伝えると有効です。

逆に、「内的基準型」の強い人に対しては、「A案をおすすめします」のような伝え方をすると、「自分で決めたいのに、指示された」と受け取られてしまいかねません。ですから、「どうされますか?」「最終的にはお客様のご判断に委ねますが、A案はいかがでしょうか?」と提案する形で伝えると、スムーズに聞いてもらえます。

なお、相手がどちらのパターンかわからない場合は、「多くのお客様が採用されているA案はいかがでしょうか」というように、どちらにも響く言葉で伝えましょう。

チームワーク
写真=iStock.com/g-stockstudio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/g-stockstudio

■「とりあえずやってみましょう」が効く相手とは

何かに取りかかるとき、あなたは率先して行動するほうですか。それとも、十分検討してから取りかかるほうですか。

「とにかくやってみよう」「今すぐ取りかかろう」と、まっしぐらに突き進んでいく傾向があるパターンは「主体・行動型」です。一方、周りの状況を見たり、じっくり検討してから行動を起こす傾向があるパターンは「反映・分析型」です。

「主体・行動型」が強い人には、「とりあえずやってみましょう」「今すぐできます」というように、行動を促す言葉が響きます。

「反映・分析型」が強い人には、「検討してみてください」と判断材料を提供したり、「もう十分考慮されたと思います」と行動に踏み出すための後押しをするような言葉が響きます。

例えば、自動車保険などの商品を案内するページを開いたとき、詳細を説明する内容よりも前に「今すぐ無料見積を取る」「今すぐ資料請求する」といったクリックボタンがあるのを見かけたことはありませんか。商品の詳細を読まずにクリックするなんて、せっかちだと感じますが、これは「主体・行動型」のパターンを意識したものと言えます。

一方、案内ページの最後にも、見積依頼や資料請求のクリックボタンがあります。これは詳細を最後まで読んでじっくり考えてからどうするかを決めたい「反映・分析型」のパターンを意識したものと言えます。

■両方のパターンに響く説明の仕方

ビジネスの場面においては、「主体・行動型」「反映・分析型」両方のパターンを備えている人が多いと言われています。ですから、両方のパターンに響く言葉を使って説明するのがいいですね。

例えば、店舗の売上アップのためにリピート客の増加策を実行しようとする場合は、「ポイントカードの導入やダイレクトメールの発送、キャンペーンの実施など、まずは何ができるか考え、データのあるものは分析をしよう。顧客リストの確認など、今すぐにできることは早速始めよう」というように、「考えるだけでなく、行動に移すための言葉」を使うことで、「やってみよう」という気持ちを相手に持ってもらうことができます。

■「なぜジムに通うんですか?」この答えからわかる思考パターン

スポーツジムでトレーニングに励む人は多いですが、トレーニングを続ける理由は人それぞれですよね。例えば、「次のマラソン大会では、目標タイムである3時間を切りたいから」という人もいれば、「運動不足で病気にならないように」という人もいるでしょう。

「自分の願望や、欲しい状態を手に入れたい」というように、自分の目標に意識が向くパターンは「目的志向型」です。

一方、「病気にならないように」といった、「将来起こるかもしれない問題を回避すること」に意識が向くパターンは「問題回避型」です。

このように意識を向けている方向が違うので、心に響く言葉も違います。

「目的志向型」が強い人には、「○○できる」「○○が得られる」という言葉や、「それをすることで、どのような恩恵を受けられるのか」という話が響きます。

「問題回避型」が強い人には、「○○しなくて済む」「○○が解決する」という言葉や、「それをしないと、どんな問題が起きるのか」という話が響きます。

■部下に見せるべきは「バラ色の未来」か「灰色の未来」か

例えば、あなたのチームが「納期がギリギリの仕事」を請け負ったとします。チームのメンバーにどのような言葉をかけたら、皆が「よし、頑張ろう!」と思うでしょうか。

「目的志向型」が強い人には、「何とか納期に間に合わせよう。そうしたら、お客様からの信頼を得られて、次の仕事も任せてもらえるかもしれない」と、「バラ色の未来」を見せてあげるといいですね。

一方、「問題回避型」が強い人には、「もし間に合わなかったら、お客様からの信頼を失ってしまうかもしれない」のように、「灰色の未来」を感じてもらうと、「やらなければ」という気持ちになるでしょう。

実際には、チームにはどちらのパターンの人もいると考えられます。ですから、次のように、どちらにも響くように伝えます。「もし間に合わなかったら、お客様からの信頼を失ってしまうかもしれない。そうならないよう、何とか納期に間に合わせて、次の仕事も任せてもらえるように頑張ろう」というように灰色の未来を示しつつ、バラ色の未来を見せて背中を押す伝え方がいいでしょう。

■変化に対する考え方の4パターンを把握しておく

変化の激しい時代、私たちは変わらざるを得ない状況に置かれることもしばしばです。しかし、「変化」に対する考え方は人によってさまざまで、変化を好む人とそうでない人がいます。

深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)
深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)

変化に対する考え方には、「同一性重視型」「進展重視型」「相違重視型」「進展・相違重視型」の4つのパターンがあります。

「同一性重視型」が強い人は、変わらないことを好みます。物事の共通点に意識が向くのも、このパターンの特徴です。

「進展重視型」が強い人は、激しい変化は好みませんが、段階的でゆるやかな変化を好み、変化していくプロセスに意識が向きます。

「相違重視型」が強い人は、変化することを恐れず、物事の相違点に意識が向きます。

「進展・相違重視型」が強い人は、「進展重視型」と「相違重視型」の両方のパターンを持っています。

会社や取引先に対して、あなたが新しい取り組みを提案する場合で考えてみましょう。

新しい取り組みを受け入れてもらうということは、相手に「変化するための行動」を促すということです。この場合、変化を好まないパターンを持つ人は抵抗感を覚えるので、変わらない点を強調したうえで、段階的なプロセスを伝えましょう。

■動いてくれない相手は何に抵抗を感じているのか

私は、工場の生産部門に省エネの提案をしたとき、最初はなかなか相手が動いてくれませんでした。生産部門は、問題なく生産できている現状を変えることに対して抵抗感を持っていたからです。つまり「同一性重視型」が強かったのです。そこで、「絶対に変えないことは何か」を説明したうえで、段階的に実施する手順を示すと、提案を受け入れてもらうことができました。

ビジネスの場面では、ときに大きな変革を伴うようなことが起きたりします。そのようなときも、「変化したあとの未来」だけを説明すると、不安に思う人がいます。「今までと共通している点や似ている点」を伝え、どのようなプロセスを経て変えていくのかを丁寧に説明することで、変化に対するストレスを軽減することができます。

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深谷 百合子(ふかや・ゆりこ)
合同会社グーウェン代表
大阪大学卒業後、ソニーグループ、シャープで技術者・管理職として工場の環境保全業務を行う。専門用語を噛み砕いて説明できることが評価され、工場の見学者に環境対策の説明や、テレビや新聞からの取材に対応する業務を任されるようになる。その後、中国国有企業に転職。100名を超える中国人部下の育成を任される。2020年独立。コミュニケーションをテーマに、各種メディアで活動中。

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(合同会社グーウェン代表 深谷 百合子)

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