【SolidWorks事例】鳥人間コンテスト2年連続優勝を果たしたサークル・チーム 3次元、治具、解析の活用で機体製作の精度が大きく向上
PR TIMES / 2013年8月27日 13時0分
東北大学Windnautsにおける3次元設計の導入、人力飛行機の世界において、製作精度を飛躍的に向上し、鳥人間コンテスト優勝を果たした事例です。
鳥人間コンテスト選手権大会は、琵琶湖を舞台に、人力で飛ぶ飛行機の滞空距離と飛行時間を競う競技会である(読売テレビ主催)。2012年の鳥人間コンテストの「人力プロペラ機ディスタンス部門」において、14129.34mの飛距離を出して、二連覇を成し遂げたのが、東北大学のサークル「Windnauts」である。
1997年、第21回大会に初出場して以来、連続16回出場してきた。そして、2006年・2008年・2011年・2012年の合計4回、優勝を獲得した強豪チームである。特に2008年は、3万6000m(36km)という大会史上最長記録を出し、この記録は現在に至るまで破られていない。
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http://www.solidworks.co.jp/casestudy/BirdmanTohokuUniv
部員は総勢50~60人。翼、フェアリング、コクピット、プロペラ、電装、操舵、駆動という7つの班に分かれて製作に取り組む。鳥人間コンテストは毎年7月に開催されるため、製作を一度経験した「2年生の夏から3年生の夏にかけて」が、活動の正念場だ。
2012年の強さのポイントについて、当時の部長だった郷内稔也さんは、試験飛行を繰り返せたことが大きいという。
「風の影響をよんだり、パイロットの操縦技術を高めるためにも、試験飛行が重要であり、2カ月間は確保したい。2012年は設計・製作を前倒しで進めて、5月半ばに機体が完成できたため、試験飛行を着実に行うことができました」。
また、フェアリング班の設計を担当した西城大さんは、勝因を、(1)機体性能の向上、(2)製作の精度向上、(3)パイロットの質の向上であると語った。そして、設計・製作の期間短縮と、(1)機体性能の向上、(2)機体製作の精度向上に貢献したのがSolidWorksである。SolidWorksを使ったのは、フェアリング班と駆動班だ。
フェアリングは、パイロットを風の抵抗から守るカバー部分であり、いくつかの部品に分けて、発泡スチロールで作る。設計は、空気力学を研究して、空気の流れに細部までこだわって精度を上げる。ところが従来は2次元CADで設計していたため、中に人間が入るだけのギリギリの空間を持たせた複雑な形状を、三面図を使って製作者へ正確に伝達するのはむずかしく、人によって完成度が異なっていた。
そこで2012年は、フェアリングをSolidWorksで3次元設計し、さらに、「トントン治具」と呼ばれる製作補助ツールも新開発した。トントン治具を使うことで、発泡スチロールのかたまりから正確な立体形状を一気に切り出すことができるようになり、設計の再現性は飛躍的に向上した。フェアリングの製作時間短縮にもつながった。「3次元が2次元と違うところは、複雑な形状の『すべての断面』を正確に把握できること。3次元だから空力も把握しやすい」と西城さんは言う。
適度な風をパイロットに当てるためには、SolidWorksの流体解析も利用した。空気を入れないとフェアリング内部が温室状態になるが、入れすぎると機体全体の空気の流れが悪くなる。流体解析でシミュレーションしたうえで、いままでとは異なる位置に、異なる形状の空気取り入れ口をつけた。
一方、駆動班は、応力解析を活用している。駆動部とは、パイロットが漕いで出す力をプロペラまでつなぐ構造のこと。基本は、ドライブシャフトとギアボックスの組み合わせだ。去年の部品をもとに、細くしたり、中の空洞部分を大きくして厚みを削ったり、ところどころに穴を開けるなど、さまざまな軽量化のアイデアを練り、強度をシミュレーションしてチェックする。「ドライブシャフトは作り直しができないので、一発で完成品を作らなければなりません。SolidWorksがなければ、毎年改良していくのは不可能です」と、2013年駆動班の荒井雄貴さんは言う。
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東北大学の機械知能系を中心に、SolidWorksを1,000ライセンス導入済みである。しかし、SolidWorks操作を授業で使うのは学科や履修科目によって異なり、1年生、または3年生後期以降で使用する場合もある。またWindnautsには、機械知能・航空工学科以外の学生もたくさんいる。したがってWindnautsの設計担当者はいずれも、1年生で初めて3次元CADというものに触れ、独学によって操作を習得し、解析までこなすに至っている。
「SolidWorksの操作はそれほどむずかしくありません。メッシュ切りも自動化されているので、短時間でいろいろな解析を試せて便利。駆動部は、計算上のトルクをもとに安全率まで計算しています」と荒井さん。
2013年フェアリング班の重田峻輔さんも、「思いついたアイデアをすぐ形にして、ほかの人に説明できるのがよい。頭の中に浮かんだイメージを3次元化してみると、これではパイロットが乗り込む動作ができないといったことがすぐにわかります」と語る。
今年の夏のみならず、Windnautsの面々がこれからもさまざまな「飛翔」をしていくために、SolidWorksはさらにさまざまな角度から役立っていくに違いない。(2013.3取材)
■□■2013年の「鳥人間コンテスト」は9/4の19:00から読売テレビ系列にて放映予定■□■
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