東京医療保健大学と花王の産学連携による共同研究 シート式圧力センサーを活用した歩行時の足圧データ解析により足圧総合評価システムを開発
PR TIMES / 2019年6月26日 23時40分
学校法人 青葉学園が運営する東京医療保健大学 (本部:東京都品川区、理事長:田村哲夫、学長:木村哲、以下本学) は、本学医療保健学部 医療情報学科 今泉一哉教授が中心となり、花王株式会社と共同研究を進めてまいりました。
この度、今泉一哉教授、岩上優美助教と、花王株式会社パーソナルヘルスケア研究所の産学連携の共同研究グループは、シート式圧力センサーを活用(図1)して、歩行時の足圧を測定・データ解析する技術「足圧総合評価システム」(足指面積率、足型判定の結果から、ヒトの“歩く”特徴を解析)を開発しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/32781/29/resize/d32781-29-766922-0.png ]
なお、本研究内容は、第61回日本老年医学会学術集会(2019年6月6日~8日、宮城県)にて発表しています。
超高齢社会となった日本において、高齢者の生活の質(QOL)の向上・健康維持・増進および健康寿命の延伸に貢献する取り組みは、重要なテーマのひとつです。
今泉教授は、寝たきりや要介護の原因となる「フレイル」を予防するため、測定を通してカラダの状態を把握することで、適切な運動の実施など健康的な生活を支援し、健康寿命を延ばすための研究を積み重ねてきました。
本学は、心身ともに元気に永く暮らせるような社会を作るため、「フレイル」をはじめとした、身体の衰えに対する予防の研究の支援を行ってまいります。
1,足指面積出力システム
【対象者】
20~90代の3,324名(女性1,771名、男性1,553名)
[画像2: https://prtimes.jp/i/32781/29/resize/d32781-29-760814-1.png ]
【歩行測定】
2015年にセンサー圧力シートを用いて通常歩行を
2試行以上記録し、足圧データを取得。
歩行時の足指の状態を評価するために、
足指部分を分離して、足指面積率
(足指面積/足裏総面積×100)を算出(図2)
[画像3: https://prtimes.jp/i/32781/29/resize/d32781-29-431755-2.png ]
【解析結果】
足指面積率の性・年代別の変化を検討した結果、
男女とも70代以降で、足指面積率の有意な低下が
認められました。さらに、女性高齢者126名
(平均年齢:83.2歳)を対象に、
直近1か月間での転倒有無で足指面積率を比較した結果、
転倒あり群で有意な足指面積率の低下が認められました。(図3)
2,足型判定システム
【対象者】
20~80代の3,244名(女性1,726名、男性1,518名)
[画像4: https://prtimes.jp/i/32781/29/resize/d32781-29-987319-3.png ]
【歩行測定】
2015年にセンサー圧力シートを用いて通常歩行を
2試行以上記録し、足圧データを取得。
足型判定指標として、足圧データの足指部分を
削除し、足底部を前足部1.、中足部2.、
後足部3.に3分割し、足底部全体に対する
中足部の圧力比率(MAI)を算出。(図4)
[画像5: https://prtimes.jp/i/32781/29/resize/d32781-29-533788-4.png ]
【解析結果】
MAIの性・年代別の変化を解析した結果、
年代別において、女性では60代以降、
男性では70代以降でMAIの有意な増加
(扁平足化)が認められました。(図5)
更に、歩行機能との関連も認められ、扁平足であるほど、
歩幅や歩行速度などが有意に低いことが明らかとなりました。
3,足圧評価システム
【対象者】
2018年3月に実施した歩行測定会に参加し、足圧評価システムの結果レポートをフィードバックして、
アンケート調査に回答した10~60代の66名(女性13名、男性53名)
【歩行測定とデータ解析】
2018年にセンサー圧力シートを用いて通常歩行を4試行記録し、足圧データを取得。
そのうち、足指面積率、足型判定のデータから以下の足圧評価結果レポートを表示。(図6)
・足指活用力:足指面積率の結果を反映
・平均足圧:足圧データを平均化して表示
・足型判定:MAIの結果を反映
・総合評価として、足圧年齢を表示
[画像6: https://prtimes.jp/i/32781/29/resize/d32781-29-387398-5.png ]
【アンケート調査結果】
足圧評価結果レポート(図6)を参加者にフィードバックし、どのような理解と気づきが得られたかのアンケート調査を実施。その結果、自身の歩行機能を理解するきっかけとなり、歩行へのモチベーションが高まることがわかりました。
■講師情報
[画像7: https://prtimes.jp/i/32781/29/resize/d32781-29-665063-6.png ]
東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科
大学院 医療保健学研究科 教授 今泉 一哉
1998年早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業、2000年同大学院人間科学研究科修士課程修了。博士(人間科学)。
専門分野はバイオメカニクス、人間工学、スポーツ科学。
主な研究テーマは、フレイル予防を目的とした歩行・運動機能の分析・評価、VRやウェララブルデバイスなど新しい情報技術を用いた支援手法の開発など。
2011 年 日本生体医工学会 研究奨励賞・阪本研究刊行助成賞・阿部賞。研究成果の還元のため、地域高齢者を対象とした体力測定や講演活動、企業と連携した新技術開発などを積極的に行っている。計測自動制御学会ライフエンジニアリング部門幹事、日本生活支援工学会評議員、世田谷区健康体操連盟顧問。
[画像8: https://prtimes.jp/i/32781/29/resize/d32781-29-113673-7.jpg ]
東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科
助教 岩上 優美
2002年多摩大学経営情報学部経営情報学科卒業、2008年電気通信大学大学院電気通信学研究科情報工学専攻博士後期課程入学、2016年同学同研究科単位取得退学。博士(工学)。
専門分野は情報工学。主な研究テーマは,機械学習を用いたフレイル予防のための足部形状の評価、フレイル予防を目的とした歩行データ解析など、機械学習を用いたビッグデータ解析の研究に従事。ITヘルスケア学会理事。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/32781/table/29_1.jpg ]
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