MSFの見解:薬剤耐性結核の深刻化を訴えるWHOの新たな報告書について
PR TIMES / 2012年10月18日 13時54分
国境なき医師団(MSF)の必須医薬品キャンペーンにおける結核アドバイザー、グラニア・ブリグデン医師は、この度世界保健機関(WHO)が発表した新版『世界結核報告(Global Tuberculosis Report)』について、以下のように見解を述べる。
世界保健機関(WHO)の新しい『世界結核報告』では、多剤耐性結核(MDR-TB)が公衆衛生上の緊急事態として深刻化しているにもかかわらず、国際社会の対応は極めて不十分で、検査と治療の水準は衝撃的なほど低いままだということが改めて記されています。
現状では、世界全体で、結核患者の20人に1人の割合でしか薬剤耐性の検査を受けていません。こうした目に見える問題も氷山の一角にすぎません。
薬剤耐性結核(DR-TB)の診断を受け、運よく治療が受けられたとしても、治癒率が48%程度なのは衝撃的です。検査も治療も不足しています。治療の効果を向上させ、患者の負担は少なくするために、よりよい薬が必要です。
MSFは活動プログラムで、治療の場の分散化と規模の拡大に一定の成果をあげています。しかし、MSFは選択できる中で最善のものを使用しているものの、器具や薬剤が適切ではないため、日々、結核対策で悪戦苦闘を続けています。
懸念されるのは、MSFの活動地の一部で、結核感染後に結核菌が薬剤耐性を獲得するのではなく、最初から薬剤耐性をもつ結核菌に感染する患者が増えていることです。WHOの報告書によると、旧ソ連7ヵ国における新規結核症例の少なくとも20%がMDR-TBです。
一方、よい知らせもあります。ほぼ半世紀ぶりに新しい結核治療薬が登場しそうなのです。各国政府や治療の提供者がよりよい治療を選択し、脅威を増すこの危機への対策を拡充できるよう、新しい結核薬を効果的に導入する必要があります。
MSFは2011年、39ヵ国で2万6600人の結核患者を治療。うち1300人がDR-TB患者であった。
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