佐藤優が読み解く 「トランプ大統領誕生」
PR TIMES / 2016年11月10日 16時44分
2016/11/10 ニュースリリース
~NHK出版より新刊のご案内~
佐藤優が読み解く 「トランプ大統領誕生」
『大国の掟「歴史×地理」で解きほぐす』が示す大局的な歴史理解
ありえないことが起きた! イギリスのEU離脱に続き、トランプ大統領誕生……。2016年の国際情勢に驚き、終末観を抱く諸氏は多かろう。ところがこのふたつは明確な相似性があると、佐藤優は大統領選の翌日発売のNHK出版新書『大国の掟』で断じている。大局的な歴史理解と地政学の視点から本質を見定めれば、トランプが支持を集めた理由と相似性が腑に落ちるのだ。
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「よくぞ言ってくれた」
“不法移民の強制送還”や“国境に壁を築く”という、過激ともいえる主張。なぜトランプは支持を集めたのか? 支持基盤は「プア・ホワイト」と呼ばれる白人の低所得者層。「自分たちが割を食っている」という意識の彼らが、「よくぞ言ってくれた」という代弁の言葉として受け止めたのだ。
「白人の民主主義」
ここにアメリカ的民主主義の大きな特徴が示されていると佐藤優は言う。すなわち、アメリカ民主主義は基本的に「白人の民主主義」であると。フランスの人類学者エマニュエル・トッドは、アメリカの移民問題や黒人問題を考察し、人種差別はアメリカ民主主義がよってたつ基礎の一つである、と結論づけた。アメリカ民主主義はつねに「それ以外の存在」、すなわち「外部」を必要としてきた。現在その「外部」が、ヒスパニック系の移民やイスラム教徒になっている。
アメリカ的伝統の反復現象
一見過激なトランプの主張は、アメリカ的伝統の反復現象と見ることができると佐藤優は説く。世界で何が起ころうと、アメリカに直接的かつ死活的な問題をもたらさないならば干渉しない。アメリカの問題については絶対干渉させない。トランプは、かつてのアメリカ外交の基調であった「孤立主義」への回帰を唱えており、アメリカの地政学的条件や歴史をふまえれば、その主張は異常なものとは言えない、とする。
グローバル化への反動
トランプの主張は、アメリカを真珠湾攻撃以前の姿に戻すことだと理解できるだろう。今回の大統領選を振り返れば、「本来のアメリカ人の権利を取り戻す」という文言は、グローバル化や情報化の恩恵にあずかれず、競争のしわ寄せだけを受けたプア・ホワイトを中心とする人々に強く訴求したといえよう。
孤立主義がもたらすもの
19世紀後半は、英米両国が孤立主義を取った時代だった。イギリスのEU離脱も「光栄ある孤立」の立場の系譜にあるもので、英米というアングロ・サクソン両国は、2016年に再び孤立主義を選択しようとしている。しかし秩序の安定のために孤立主義をとっても、結果的に国内の分断を深め、さらに不安定化させるリスクを孕むのではないか。佐藤優はそう論じている。
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NHK新書『大国の掟「歴史×地理」で解きほぐす』では、以上の英米のみならず、ドイツ、ロシア、中東、中国、そして日本を大局的な歴史理解と地政学の視点から本質を解き明かしていく。めまぐるしく流転する年末から2017年、国際情勢の背景にある「変わらないもの」を読み解く視座を獲得するうえで必読の一冊といえる。
NHK出版新書 502 大国の掟 「歴史×地理」で解きほぐす
[著] 佐藤優
序 章 国際情勢への二つのアプローチ
第一章 英米を動かす掟─「トランプ現象」と「英国EU離脱」の共通点
孤立主義へ回帰するアメリカ/EU離脱の深層/「海洋国家」という地理的条件
第二章 ドイツを動かす掟─「生存圏」から「EU帝国」へ
東方拡大への野望/ドイツEU帝国の課題
第三章 ロシアを動かす掟─スターリンとプーチンの「ユーラシア主義」
ユーラシア主義とソ連の中央アジア政策/緩衝地帯への執着
第四章 中東を動かす掟─「サイクス・ピコ協定」から「IS」まで
「アラブの春」からシリア内戦へ/ISはいかに生まれ、拡大したのか/サイクス・ピコ協定以前への回帰
第五章 中国を動かす掟─「海」と「陸」の二兎を追えるか
中国は海洋国家になれるのか/「第二イスラム国」というリスク
終 章 「歴史×地理」で考える日本の課題
定価:842円(本体780円)
発売日 2016年11月10日
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