江崎グリコ 健康科学研究所長・栗木隆が「Lifetime Achievement Award」を受賞
PR TIMES / 2019年10月18日 11時30分
糖質工学の国際シンポジウム「7th Symposium on the α-Amylase Family」において 酵素の常識「鍵と鍵穴説」を覆す新しい概念を提唱し、糖質工学に影響を与えた功績が評価
江崎グリコ株式会社の健康科学研究所長・栗木隆(工学博士、取締役 常務執行役員)は、糖質工学における新たな概念「α-アミラーゼファミリー」を提唱し、その産業的な利用方法に関する研究成果が認められ、この度、欧州で開催された国際シンポジウムにおいて「Lifetime Achievement Award (生涯功労賞)」を受賞しました。2019年9月29日(日)から10月3日(木)、スロバキアで開催された同シンポジウムで、同氏登壇の受賞講演が行われました。
■国際シンポジウムについて
国際シンポジウム“The Symposium on the α-Amylase Family”は、2001年から3年に1度、欧州のスロバキアで開催され、糖質酵素工学を領域とする世界中の著名な研究者が集まり「α-アミラーゼファミリー」に関して、研究成果の発表やディスカッションが行われます。
■今回の受賞について
<受賞内容>
受賞名:Lifetime Achievement Award (生涯功労賞)
受賞理由:α-アミラーゼファミリーの概念を世界に先駆けて提唱し、それまでの酵素の常識を覆すとともにその概念を応用して研究及び、産業化に大きく貢献した
<受賞講演>
講演題名:It worked for me in my life as a scientist and an executive(科学者であり企業人である私の人生に大切だったこと)
講演概要 : α-アミラーゼファミリーの概念を提唱するに至った背景、仮説立証、産業に生かすまでに得た前例にとらわれない考えの持ち方や人とのつながりの大切さについて
[画像: https://prtimes.jp/i/1124/102/resize/d1124-102-741383-0.jpg ]
「酵素結晶構造」が彫り込まれた受賞記念の楯を手にAnn MacGregor名誉教授(マニトバ大学/右)とStephan G. Withers教授(ブリティッシュコロンビア大学/左)
■「α-アミラーゼファミリー」の概念とその研究成果について
「α-アミラーゼファミリー」とは「関連性が証明されていなかった様々な異なった酵素群には、深い関連性があり、環境によって、反応特異性や作用特異性が柔軟に変化するものである」という概念です。同氏は自ら発見した新酵素の一つの触媒活性中心が4つの異なる反応を司っていることを解明し、これが新たな概念の提唱に結びつきました。この概念は、1894年、ドイツの化学者であるヘルマン・エミール・フィッシャーが「鍵と鍵穴説」で示した“1 つの酵素は1 つの反応を触媒する”という従来の考えを覆し、同氏が1992年に世界に先駆け発表したものです。
■研究成果より開発された素材について
当社では、「α-アミラーゼファミリー」の概念を基に研究を継続するとともに、産業利用への応用を図っています。その研究より生まれた代表的な素材に下記のものがあります。
<クラスターデキストリン(R)/高度分岐環状デキストリン>
トウモロコシのデンプン由来の食品素材で、他の糖質(ブドウ糖など)に比べて、1.消化されやすいため運動時に摂取しても胃の負担になりにくい、2.水に溶けやすく溶液が濁ったり、固まったりしない、3.運動時にはゆっくりと消化、吸収されるので、脂肪の分解を妨げるインスリンが過剰に分泌されにくいといった効果があります。
<POs-Ca(ポスカ(R))/リン酸化オリゴ糖カルシウム>
北海道産ジャガイモ由来の食品素材で、世界各国で特許を取得した、唾液に溶けやすいカルシウム素材です。むし歯の原因となる酸を作りにくく、痛んだ初期むし歯のエナメル質も結晶化します。
■健康科学研究所長・栗木隆について
江崎グリコ株式会社 取締役常務執行役員 健康科学研究所長。グリコ栄養食品株式会社 代表取締役社長。1981年3月、大阪大学工学部醗酵工学科卒業後、同年に江崎グリコ入社。その後、大阪大学工学部で博士号(工学)を取得し、カナダ・アルバータ研究所、アメリカ・ミシガン州立大学の博士研究員を経て、大阪大学や神戸大学などの非常勤講師も務める。2007年には研究部門の統括として当社取締役に就任。その他、日本応用糖質科学会副会長をはじめ国内外の多数の学会役員や組織委員、国内外の学術誌編集員なども務める。基礎研究から事業化まで、当社の企業理念である「おいしさと健康」の創造に取り組む。受賞歴は1997年10月に日本応用糖質科学会「奨励賞」、1999年9月に日本生物工学会「斎藤賞」、2013年9月に日本応用糖質科学会「学会賞」、また著書も多数。
■江崎グリコの研究について
江崎グリコは、サイエンスの裏付けのある「おいしさと健康」を実現するべく、「糖質工学」および「酵素工学」で培った基礎研究を軸に、「味覚」「健康」「素材」の領域を幅広く科学し、事業としてのアウトプットを見据えた研究開発を行っています。コア・コンピタンスである糖質工学・酵素工学を健康科学として発展させ、「味覚」「健康」「素材」を総合的に追究し、基礎研究の成果を商品開発へ、さらに商品へと昇華させる応用・開発研究を行っています。
Glicoグループは、「おいしさと健康」の理念のもと、商品やサービスを通じて、生活者のより豊かで健康な生活の実現に貢献してまいります。
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