根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性調査研究
PR TIMES / 2017年10月31日 12時1分
~第147回日本歯科保存学会 2017年度秋季学術大会~
サンスターグループ オーラルケアカンパニー(以下サンスター)は、近年増加している大人のう蝕(むし歯)に着目し、大人になるとリスクが高くなる「根面う蝕(根元むし歯)」の現状を調査しました。
この研究成果を第147回日本歯科保存学会2017年度秋季学術大会(2017年10月26日(木)~27日(金)、於:マリオス 盛岡地域交流センター)にて発表しました。
【研究の背景・目的】
サンスターでは、人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する商品・技術を提供することを目的とし、オーラルケアに関する研究を行っています。
近年、高齢者のう蝕は残存歯数の増加に伴って増加し、歯と歯の間にできるう蝕の他に、歯の治療を行った詰め物の隙間からう蝕が広がる「二次う蝕(再発むし歯)」や、歯周病や加齢などによって歯肉が退縮し、歯の根面が露出した部分に発生する「根面う蝕(根元むし歯)」が大きな課題となっています。
しかしながら、根面う蝕に関する研究報告は少ないのが現状であり、歯周病との関連性を調査した報告もほとんどないため、本研究では根面う蝕有病率の現状に加え、根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性を調査することを目的としました。
【研究の方法】
2016年11月から2017年1月の2ヶ月間に一般財団法人サンスター財団附属千里歯科診療所に通院し、カルテデータの使用に同意を得ている20歳代~80歳代の男女を調査対象者としました。調査対象者のカルテを千里歯科診療所の歯科医師が匿名化したうえでデータ抽出を行った資料の提供を受け、根面う蝕有病率、根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性を調査しました。
【研究結果および考察】
調査対象数は298名。根面う蝕有病率は、全体の49.3%であり、30歳代の7.7%から年齢が高くなるにつれ増加し、80歳代が70.0%で最も高い結果でした(図1)。また、根面う蝕有病部位の約90%に歯周病、もしくは歯周病既往歴が確認されたことから、歯周病により歯肉退縮が起こり根面う蝕になるリスクは高いと考えられました。しかしながら、根面う蝕と歯周病の重症度については、50歳代以外では相関が見られなかったことから、最も重要なことは、 根面う蝕や歯周病が発症する前に、根面う蝕予防と歯周病予防を併せて実施することであると結論付けました。
最も根面う蝕の重症度が高い被験部位一箇所を対象歯とし、根面う蝕の有無と重症度 : ICDAS(International Caries Detection and Assessment System)の評価項目を用いる。
[画像: https://prtimes.jp/i/5120/162/resize/d5120-162-797286-0.jpg ]
図1:根面う蝕有病率は、全体の49.3%、30歳代から年齢が高くなるにつれ増加し、80歳代が最も高い
Code1:根面やセメントエナメル境※1に限局した色調変化が認められるが、0.5 mm以上の深さの実質欠損がみられない。
※1)セメントエナメル境:歯冠部(エナメル質)と歯の根元の境目
Code2:根面やセメントエナメル境に限局した色調変化が認められ、0.5 mm以上の深さの実質欠損がみられる。
~大人むし歯~
年齢を重ねると、むし歯治療後の詰め物などと歯の間に歯垢(プラーク)がたまりやすくなり、「再発むし歯(二次う蝕)」が起こりやすくなります。また、歯周病などでハグキが下がって露出した歯の根元(象牙質)に歯垢(プラーク)が付着すると「根元むし歯(根面う蝕)」が生じやすくなります。象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、むし歯になりやすいためです。
これら「再発むし歯(二次う蝕)」と「根元むし歯(根面う蝕)」を、サンスターでは「大人むし歯」と呼んでいます。
●サンスターグループ オーラルケアカンパニーについて
サンスターグループは、持株会社サンスターSA(スイス・エトワ)を中心に、事業分野毎に全世界の研究・マーケティング・製造・販売を統括する、オーラルケアカンパニー、ヘルス&ビューティーカンパニー、SEカンパニー(接着剤、シーリング材等、モーターサイクル部品の事業を担当)の3事業カンパニーと、全世界のガバナンス、管理機能を統括する経営本部で構成、グローバルな事業運営を行っています。
オーラルケアカンパニーは、歯周病菌とたたかう「G・U・M(ガム)」、くちもとBeauty「Ora2(オーラツー)」、歯科関係者や患者様のニーズに応える「BUTLER(バトラー)」などのオーラルケア製品を製造・販売しています。
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