エキゾーストの新潮流! バブリングサウンドの魅力とは?~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2024年1月27日 6時30分
最近流行りの減速時に排気音がバリバリバリ……と聞こえるバブリング。もともとは競技生まれのサウンドだが、現代のバブリングはドレスアップの意味合いが強い。
◆あの音に意味があるのか? バブリングというチューニングとは
サーキット走行時の減速中や、ストリートでもアクセルOFFしたときにマフラーから「バリバリバリ……」という音がするのがバブリングと言われるチューニングだ。もともとは競技生まれのサウンド。というか、そういう音がしてしまっていた。
ラリーなどの競技ではアクセルを踏んでからすばやく加速したい。とくにタイトなコーナリングが連続するラリーではエンジンレスポンスは重要な要素となる。しかし、瞬時に反応する小さなタービンでは大きなパワーやトルクを得ることができない。大きなタービンにしたいがターボラグがあってはそのパワーを使い切れない。そこで生まれたのがミスファイアリングシステムやアンチラグシステムという制御だ。
これはアクセルOFF時に意図的にバルブタイミングと点火タイミングをズラして、未燃焼の混合気をエキゾーストパイプにまで送る。そこで排気バルブが開いているタイミングでプラグから点火することで燃焼室からエキゾーストパイプ内に掛けて爆発を起こさせる。そのときの爆風によってターボチャージャーを高速で回転させようという制御なのだ。
減速中にもタービンが高速回転しているので、次にアクセルを踏んだ瞬間から高い過給圧を掛けることができる。ターボラグなく大きなタービンで過給して瞬時に大きなパワーを得られるのだ。そのためには特別なパーツは必要なく、エンジンコントロールするコンピュータ内のセッティングで可変バルブタイミング機構と点火タイミングをコントロールすれば良い。それが減速時に起きるので、減速中にバリバリバリという音が聞こえるのだ。
漫画『頭文字D』でランエボがこのミスファイアリングシステムを使用。「パンパンとやかましい」と言われていたが、これを意図的に起こしているのがまさにバブリングなのである。その本来は起きてしまっていたサウンドが格好良いというムーブメントが起きたのがここ数年。別にラリーをするわけでもなく、意図的にこのサウンドが鳴るようにECUセットをしたクルマが増えてきているのだ。
◆ダメージが大きい
だが、ストリートチューンでバブリングを起こさせると問題が起きる。それが触媒に対するダメージだ。エキゾーストパイプ内で爆発が起きるので爆風がダイレクトに触媒に当たる。それによって触媒がダメージを受けてしまうのだ。バブリングをしだしてすぐには壊れなくても、徐々にダメージを受けていき、触媒のコアが粉々になってしまってエキゾーストパイプに詰まってしまい、排気抵抗が増えてまともに走らなくなるなどのトラブルが起きている。
アフターパーツメーカーの触媒にしても無駄。とんでもない勢いの排ガスが触媒に直接ガンガン当たるので、スポーツ触媒でも同様にダメージを受けてしまう。近年スポーツ触媒メーカーにはバブリングをしていて触媒が壊れたとクレームを付けてくるとんでもないユーザーも増えているのだという。そのため触媒を外せばダメージを受ける部分がなくなるが、もちろん公道走行はできなくなることはおわかりいただけると思う。
また、タービン自体に及ぶダメージもある。常にタービンが高速回転しているので、羽根も軸受けも冷える間がなくどんどん熱が蓄積してしまう。ラリーでは1日走るごとにタービン交換すれば済む話だが、何万kmも走ろうというストリートカーではかなりな覚悟が必要なのだ。
◆演出もチューニングのひとつ
最近はNAのクルマでもバブリングするようなECUチューンもでてきているが、これこそまさにサウンドのみがメリット。ターボ車のようにタービンを高速で回転させ続けるという効果はないので、減速時に音がするというだけの演出なのだ。とはいえ、そういった演出によってクルマの楽しみを引き出すのもチューニングのひとつ。パフォーマンス的な効果がないからといってやってはいけないわけでもない。だが、バブリングについて相応のダメージを受けるチューニングなので、その点についてよく理解した上で導入してもらいたい。
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