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トニー・アイオミ、ブラック・サバス『13』以来の新曲を発表

Rolling Stone Japan / 2021年11月27日 1時15分

ブラック・サバス『13』以来の新曲を発表したトニー・アイオミ

ブラック・サバスのアルバム『13』以来となるトニー・アイオミによる”厳粛な”ロックソング「Scent of Dark」が発表された。この新曲は、高級香水ブランドXerjoff(セルヨッフ)とのコラボによる、アイオミのシグネチャー・コロンと同時にリリースされた。

トニー・アイオミは、昔からのブラック・サバス・ファンがどうリアクションするかを承知の上で、高級香水とのコラボレーションによるシグネチャー・モデルの開発を引き受けた。「アイオミは頭がおかしくなっちまったと思われるだろう」と彼は笑う。「俺の人生で最も縁のない類のものだったからな。でも、やってみて良かったよ」とアイオミは、英国の自宅からの電話インタビューに答えた。

世界中が新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンを余儀なくされた2020年、アイオミはイタリアの香水メーカーであるセルヨッフの創業者兼クリエイティブ・マネージャーのセルジオ・モモと知り合った。モモはアイオミに、あるチャリティーソングでギターを弾いてくれるよう要請した。残念ながら実現しなかったものの、検討してくれた御礼としてアイオミには香水のセットが贈られた。アイオミからの感謝を伝える電話に対してモモは、「アイオミ・オリジナルの香水を作る気はないか?」と提案した。アイオミは「意外な提案に衝撃を受けた」という。「俺がリストアップした好みの香りをベースに、彼が香水を作り上げた」とアイオミは証言する。そして数か月後、アイオミは新しい香りのする新曲を作り出した。

「セルジオは音楽ファンで、ギターも弾く」とアイオミは言う。「”香水に合わせた曲を作らないか”という彼の提案に乗って、曲を作った。俺は、ボーカル抜きのインストゥルメンタル曲の方がいいと考えた。曲のベースとなるアイディアを弾いて聴かせると、彼も気に入ってくれた。最終的にいくつかのパートを加えて、仕上げたのさ。」

2人がレコーディングした「Scent of Dark」は、2017年にバーミンガム大聖堂のために書き下ろしたクラシカルな楽曲「How Good It Is」以来となるアイオミ作品だった。さらにロックソングとなると、2013年にリリースしたブラック・サバスのアルバム『13』以来だ。「Scent of Dark」は、霧の立ち込めた神秘的なイントロから始まり、ヘヴィーで威厳に満ちたギターリフ、そしてもちろんブルージーでリリカルなギターソロまで、どこを切ってもアイオミらしさに溢れた曲だと言える。さらにオーケストラのストリングスが、いつも以上にドラマチックな展開を演出する。モモはギターのトニー・アイオミ・モデルを手に最初のギターソロを弾き、ジミー・クラッチリー(アイオミとモモを引き合わせた人物)がベースを担当した。ドラムはアッシュ・シーハンで、プロデューサーのマイク・エクセターがキーボードを弾いている。さらにチェロのレベッカ・ローズとバイオリンのジュリアン・ボーンも加わった。新作コロンのイメージをフィーチャーしたミュージックビデオは、英国グロスターシャー近くにあるスードリー城で撮影された。

「まずいことに、外での撮影中に観光客に目撃されちまった」とアイオミは振り返る。「城の見学をしていた人々に”ああ、彼はいったい何をしているんだ?”という感じで見られたのさ」と振り返ったアイオミは、彼の音楽に関する将来的なプランも語ってくれた。


 ー香水にはどの程度興味を持っていたのでしょうか?

ブラック・サバスとして米国でツアーを始めた頃から、より興味を持つようになった。モールやショップへ出掛けては、お気に入りが見つかるまでさまざまな種類を試して購入していた。しばらくはひとつのお気に入りを使っているが、そのうちにカルティエやトムフォードやその他のブランドへと、好みも変わっていくのさ。そして長年の試行錯誤を経て、ついに自分のカスタム・モデルを手にすることができた。

ーセルジオと開発を進める中で、最も気に入った香りは何だったでしょうか?

いくつかのサンプルはあまりにも酷かったので、彼に投げつけようかと思ったよ。しかし他のサンプルは素晴らしかった。俺は、新車に乗り込んだ時のレザーの香りや、コーヒーの香りが好きだ。今回の香水のメインとなる素材は、パチョリだった。60年代を思い出すよ。マリファナの匂いを隠すために使っていたからね(笑)。

ー「Scent of Dark」は、どのようなプロセスで作られたのでしょうか?

ここ数年はマイク・エクセターと一緒に、多くのギターリフや楽曲をレコーディングしていた。今回選んだ曲に関しては、誰かが歌う姿を想像できずにいた。だから、インストゥルメンタル曲として仕上げるのがいいと思ったのさ。そして、新しい香水をイメージしたダークなギターリフを加えた。バイオリンとチェロをフィーチャーしたいとも思っていた。そうやって新曲ができあがった。

ー新曲のストリングスは、サバスのアルバム『サボタージュ(原題:Sabotage)』に収録された「帝王序曲(Supertzar)」を思わせます。

俺は、実験的な試みが好きだ。ギターにチェロやバイオリンが絡み合うサウンドも好きなのさ。リアルに「厳粛」な感覚を受けるだろう。いい雰囲気だ。

>>関連記事:ブラック・サバス50周年、革命的なデビューアルバム制作秘話

ー今回の「Scent of Dark」のように、ギターリフを作る時に心がけていることはありますか?

神秘的なサウンドを目指して作っている。もちろんセルジオもさまざまな曲のタイトルのアイディアを出したが、最終的に「Scent of Dark」に決まったんだ。



ギタリストのトニー・アイオミ(左)と香水メーカーのセルジオ・モモ(右)

ーセルジオは、あなたの隣でギターを弾くことに緊張している様子はありましたか?

少しね。でも問題ない。彼は自分のパートを上手くこなしてくれたよ。2人で香水を作り、2人で楽曲を仕上げたということに意味がある。最初から最後まで2人でやり通したコラボレーションだと言える。

ーバーミンガム大聖堂のために書いた「How Good It Is」とは違った感じの今回の曲作りは、いかがでしたか?

「How Good It Is」では聖歌隊を採り入れ、アコースティックギターという全く異なる路線に挑戦した。今回は、俺の得意なヘヴィーな曲だ。大聖堂の依頼を受けた時は「教会向けの厳かな曲なんて、俺に弾けるだろうか。聖歌隊をフィーチャーするのだから、大聖堂に相応しい作品でなければならない」と思った。今までとは違ったアプローチだったね。


ー例えば映画音楽など、今後もインストゥルメンタル曲を作ろうとお考えですか?

そうだな。やりたいね。ギターリフも山ほどストックがある。あとはいろいろ探し出して組み合わせるだけだ。

ー最近の音楽活動について教えてください。

おそらく知っているだろうが、オジー(オズボーン)のアルバムに参加した。曲を作り、ギターパートとソロも弾いた。酷かった…いや、冗談だ。とても良かった。いい作品だ。オジーの歌も良かった。グッド・ジョブだ。チャド(スミス)がドラムを叩いたと思うが、そこは彼らに任せた。

ーオジーは最近、健康に問題を抱えています。あなた自身はいかがでしょうか。2012年にリンパ腫と診断され、2016年には回復したと公表しました。

正確に言うと、少し前までは問題なかった。定期的に検査を受けているが、数週間前に別の問題が見つかった。

少し前に再発したのさ。それから腕の腱を痛めた。切れちまった。でも面白いことに、ギターを弾くことに影響はなかった。信じられないよ。先日、専門家の診断を受けたら「残念ながら遅すぎます。もしも治療するとすれば、脚の腱を腕に移植する大手術になります」と言われた。俺は「それなら、一生このままにしておく」と決めた。重いものを持てない状態だが、ギターを弾けなくなった訳ではないし、日常生活に支障はない。ただ、バンジージャンプやスカイダイビングは無理だがね(笑)。

>>関連記事:オジー・オズボーン、地獄からの生還「苦痛しか感じなかった」

ーどのような状況で切れたのですか?

香水のコレクターズエディションとして、200本のボトルに直筆でサインした。1人で引き取りに来た奴に「運ぶのには2人必要だろう。手伝ってやるよ」と手を貸したのさ。運んでいる途中で俺は、彼に引っ張られる形で階段を踏み外しそうになった。ボトルを割りたくなかったから、どうにか堪えようと無理な体勢になって切れちまった。「ああ、ありがちなミスを犯しちまった」という感じだったよ。

実は数年前に、もう片方の腕もやっている。背中の腱も3本切れたが、既に回復している。医者からは「気をつけてください。使いすぎに注意しなさい」と言われている。それからニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでディオと共演した時のことは、知っているだろう。ストレッチ用ロープでエクササイズしていたらバンっとなって、腕が震えてコントロールが効かなくなった。注射を何本か射ってどうにかコンサートをこなした。英国へ戻って医者に診せたらまた、「腱が縮んで短すぎるので治療できません」と言われたのさ。だから今は、両腕に傷を負っている状態だ。

ーもう誰かの荷物運びを手伝ってはいけませんね。

いい言い訳ができたよ。先日も妻から「ちょっとこのソファをここへ動かしてくれる?」と言われたが、「俺は触ることもできないよ」と答えられたのさ。

ーツアーに戻りたいと思いますか?

今は何のプランもない。レコーディングはしたいと思っている。まだ再生すらしていない曲のストックがたくさんある。日の目を見せてやりたい。それから今は、何にでも挑戦したいと考えている。ギターを弾くのは楽しいし、もちろんステージが恋しい。でも今は人生を楽しんでいる。どんな提案でも、興味を持てたら俺はやるね。コロナのせいで、マイク・エクセターと実際に会って作業することができない。でも今は状況も良くなって、マイクも何とか時間をやりくりしようと努力している。俺たちは、さらに多くのアイディアを形にし始めたところさ。

ーオジーの作品にも参加しましたが、2人は頻繁に連絡を取り合っているのでしょうか?

よく連絡している。ただ、2人とも電話では上手くコミュニケーションが取れないのさ。ある時オジーが深夜の2時に電話してきたから、俺が「オズ、午前2時だぞ」と言うとオジーは「ああ、ごめん。オーケー、バイバイ」と言って切った。時差を考えずに電話してきたのさ。そんな時間に電話を受けたら「いったい何ごとだ。誰か死んだか、何か重大な事件が起きたのか?」と思うだろう。オジーはいつも「ああ、ごめん、ごめん。そんな時間だとは知らなかった」という感じだ。それから俺たちは電話で話すのは止めて、テキストメッセージを送り合うようにしているのさ。


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