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被災してからでは遅い 能登半島地震で試される「考動力」 奥村与志弘・関大教授 防災リレーコラム

産経ニュース / 2024年4月23日 9時30分

火災で焼けた「輪島朝市」付近では倒れた電柱などが地震発生から3カ月近く経過した今もそのままとなっている=3月31日、石川県輪島市(渡辺恭晃撮影)

能登半島地震から3カ月が経過しました。個人や家族の一員、地域の一員、会社の一員として、被災された方々のために何ができるでしょうか。同じような被害を繰り返さないために何をすべきなのでしょうか。

ときの経過とともに、「考えて動く力」は弱くなってしまいます。だからこそ、3カ月が経過した今、「考動力」が試されています。日本で生きている限り、誰もが地震災害に遭遇する可能性があるだけに、自身が被災してから考動していては遅いのです。

先日、私が教鞭(きょうべん)をとっている大学の学部・研究科で学生向けに情報交換会を企画しました。対象は「何か行動したい」という思いを抱いている学生。能登の被災地でボランティア活動や被災者支援のプロジェクトに参加した経験を持っている学生と、活動実績はないものの体験談を聞いてみたいという学生たちです。

すると、学年や研究室の枠を超えて23人が集まってくれました。学部・研究科には約千人の学生がいるため、このような思いを持つ学生同士がキャンパスで偶然に出会い、意見を交わし、行動につなげることは容易ではありません。考動力を後押しする「場」や「仕組み」が大切です。同僚に背中を押され、考動してよかったと思いました。

今、筆を走らせながら、あるハウスメーカーの取り組みを思い出しました。その会社は災害が発生すると、販売した住宅のオーナーの元へ社員有志がボランティアに行きます。社員は活動を通して、自分たちが販売した住宅が被災するとどうなるのかを目の当たりにします。また、オーナーからも話を聞くことができます。その経験が次の住宅開発につながっているというのです。

前述の情報交換会でも、被災地で活動した学生が、よかったことの一つとして「被災地の現状を自分で確かめられた」ことを挙げてくれました。被災地に行く前にも大学の講義や報道を通して、災害を知ったつもりでいたが、実際には何も理解できていなかったというのです。

災害が発生するとどうなるのかを本当の意味で理解するということは価値のある考動の成果であり、その経験が次の考動につながっていくのです。

(関西大社会安全学部教授奥村与志弘=おくむら・よしひろ)

関西大社会安全学部の教員らによる防災コラムを掲載します

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