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情報整理が苦手、「表現力」求められる記述式も…日本の小中学生、克服できる? 全国学力テスト

産経ニュース / 2024年4月18日 18時58分

東京都内の小学校で全国学力テストに臨む児童ら=18日午前(代表撮影)

18日に行われた国語と算数・数学の全国学力テスト。思考力、判断力、表現力の育成を掲げる新学習指導要領を踏まえた出題は小学6年が4回目、中学3年が3回目となる。これまでの結果からは、複数の情報を整理したり、関連付けたりすることを苦手とする傾向が目立っており、学力の改善状況が注目される。

中3国語では、インターネットで検索履歴の分析などによって表示される情報が偏る「フィルターバブル」と呼ばれる現象が取り上げられた。それについて話し合う会話文や図を読み解き、自分の考えの記述を求めた。

作問にあたった国立教育政策研究所教育課程研究センターの竹下勝・研究開発部長は「会話の展開を捉えながら、他人の発言と結び付けて自らの考えをまとめられるかをみる」と趣旨を説明。デジタル化が加速する現状を踏まえて「ICT(情報通信技術)を意識して出題している」と話す。

× × ×

こうした出題傾向は算数や数学にも共通する。小6算数では、桜の開花月を年代ごとにまとめた折れ線グラフを示し、3月と4月の開花回数の違いを読み取らせるなど、条件に応じて情報を整理する力などを確かめた。

中3数学で特徴的だったのは、速さと停止位置を設定できる車型ロボットを使った実験を場面設定とした設問。実験結果の図表やデータを分析し、論理的な思考ができるかどうかをみた。

表現力も課題の一つだ。小6国語で特徴的だったのは、「学校のよさを伝える文章を書く」というテーマで、登場人物のメモや考えを基に、条件を踏まえた上で相手の立場に立って、自分の考えを記述させる設問だ。

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表現力が試される記述式問題の平均正答率は例年低い。昨年度のテストでも低迷しており、新学習指導要領が求める学力の育成が道半ばであることを印象付けた。

7月に公表されるテスト結果は、授業の改善状況を確かめる指標の一つとなる。設問は「学習指導で特に重視される点や身に付けるべき力を具体的に示すメッセージ」(竹下氏)となっており、子供たちがこうした問いに対応できる学力を伸ばすため、学校現場には授業づくりの工夫が求められている。

オンライン導入へ

18日の全国学力テストでは、子供たちに生活習慣などを尋ねる質問調査でコンピューター端末を使って質問と回答を行う「CBT」と呼ばれる方式が用いられた。令和7年度には中3理科に導入され、オンラインへの切り替えが本格化する。

新型コロナウイルス禍以降、学校現場にタブレット端末の活用が浸透。CBTによって、理科の実験動画を視聴させる出題など学力調査の幅が広がる。文部科学省は8年度以降、対象教科を拡大していく方針だ。

経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査「PISA」は2015(平成27)年調査からCBT方式に移行。現在は、解答結果に応じて設問を変化させるなど、きめ細かに出題できるようになっている。ただ、移行時には成績の低下がみられ、CBT化によって考察や解答のプロセスに混乱が生じた可能性が指摘された。

学力テストは中3だけでも例年約100万人が参加し、通信環境の確保も課題となる。来年度の中3理科は、通信負荷を軽減するため、4日間に分散して行われる。(玉崎栄次)

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