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「健康的な清涼飲料水『クラフトコーラ』」鍋でグツグツ…個性的な味が続々 近ごろ都に流行るもの

産経ニュース / 2024年5月4日 13時0分

クラフトコーラ。味もパッケージも多種多様だ(重松明子撮影)

天然のスパイスや果汁を煮詰めて炭酸で割った「クラフトコーラ」の市場が広がっている。従来のコーラとの違いは「健康志向」。各地の農産物などを生かした個性的なフレーバーが続々誕生し、業界団体「国際クラフトコーラ連盟」では現在国内で100社1千商品に上ると推計する。日本発のクラフトコーラの普及発展を目指す連盟には、全国と台湾の50社以上が加盟しイベントを定期開催。個人で手作りできるオタク的な要素もあり、近年若年層に増えている、飲酒と距離を置く「ソバーキュリアス」らの関心を集めている。

「急性膵炎で断酒…」麹甘酒をベースに

「カルダモン、シナモン、クローブ。3つのスパイスがコーラの甘い香りのベースになります。奇抜な味を作りたかったら花椒や唐辛子を入れても」

講師の声に耳を傾け、参加者がコーラシロップの小鍋をグツグツ煮ている。コーラに必要な材料はスパイスにかんきつ類、糖類と水。好みのハーブや果実も使え、素材選定と配合が腕の見せ所になる。

4月、東京・臨海副都心の有明ガーデンで開かれたイベント「クラフトコーラヴィレッジ」のワークショップを取材していた。

「今回はきび糖を使ってますけど黒糖ならどうか? オレンジを地元のみかんやレモンにしたら? とか、組み合わせは無限大。参入障壁が低く、全国各地で面白いクラフトコーラが続々と生まれている」と、ウェブメディア「Cola(コーラ)Fan(ファン)」の空水(そらみず)りょーすけ編集長(33)。各社商品を試飲すると、それぞれ辛みや渋みが甘さと融合して、パンチを持ちつつ洗練された味わいにまとまっている。

「自分で作ることでメーカーのすごさも分かるし、探究心にも火が付く。オタク心をそそる要素があり、カゴいっぱい買ってくれる人も男性が多いですね」

2年前から開かれている国内最大のクラフトコーラの祭典に20社37商品が出展。小規模事業者が多いため普段は通販や道の駅、サウナ・温浴施設などでしか買えないレア物も集まり、今回は10日間で約2万人を動員した。集客・売り上げともに毎回1割増ペースで伸びているそうで次回は、7月25日から東京・二子玉川で開催が予定されている。

「UMA(ウマ)MI(ミ)COLA(コーラ)」(東京都港区)は、昨年7月にシロップ製造から炭酸割り、缶詰めまで自社で一貫して行う工場を埼玉県戸田市に新設した。連盟理事長も務める山田貴久社長(51)がクラウドファンディングで出資を募り、上限3千万円を15時間で達成する支援を集めた。1缶250ミリリットル入り285円。今月28日には、首都圏に131店舗を展開する健康志向のコンビニエンスストア「ナチュラルローソン」での取り扱いも始まる(一部除外店あり)。

山田さんがクラフトコーラ製造に取り組むきっかけは6年前、自身が重篤な急性膵炎(すいえん)で生死の境をさまよったこと。酒も飲めなくなり、「健康的な清涼飲料水カテゴリーを作りたい」と決意した。アドバイスをくれた友人で、がん幹細胞研究者の加納義浩博士を役員に迎え、東洋医学の専門家にも監修を受けて開発。

肥満や糖尿病リスクが指摘されている清涼飲料水の定番である果糖ブドウ糖液糖を一切使わない代わりに、甘みは新潟県の銘酒「八海山」の米麹甘酒をベースとし、沖縄県のかんきつ類シークヮーサーを加えてスパイスとハーブを調合、必須アミノ酸全9種を含む栄養豊富なクラフトコーラを完成させた。

「甘酒は昔から夏バテ防止の〝飲む点滴〟。日本の伝統食文化も引き継ぎ、海外にも発信したい。普段からおいしく飲んでほしいので、価格も頑張って抑えています」と山田さん。

クラフトコーラに定義はないが、連盟では「合成添加物は基本不使用。香辛料は不純物の混ざらないホール(原型)を使う」などの独自基準を設けている。

例えば、庭木の酸っぱい果実でわが家の味も手作りできる。自由で多様性のある製法と味が、今時の気分にもマッチしている。(重松明子)

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