地域政党京都党 結党10周年を迎えて
政治山 / 2020年10月8日 10時0分
2020年8月、国政政党の離合集散が繰り返される中、地域政党京都党は結党10周年を迎えた。この10年で対話の会(滋賀)、地域政党いわて(岩手)などをはじめ消滅した地域政党が多い中、10年目を迎えられたことは大変感慨深いものがある。
結党時から10年間共に活動してきたチャーターメンバーである江村理紗市議が新代表に就任し、京都党は次のステージに向かって新たな出発点に立っている。女性ならではのしなやかな感性と芯の強い新代表にご期待いただきたい。
さて、10年前の地域政党はまだ黎明期で、当時存在していたのは河村たかし名古屋市長率いる減税日本と嘉田由紀子滋賀県知事が率いた対話の会、鈴木宗男氏率いる新党大地、そして昭和の時代から連綿と続く沖縄社会大衆党ぐらいのものだった。
そんな中、2010年に結党されたのが大阪維新の会、地域政党京都党だった。地域政党という馴染みのない新しい政治勢力は、なかなか市民理解が得られず苦労の連続だったが、10年経ってみると、大阪維新の会は国政政党を擁する特殊な形の地域政党へと発展を遂げ、首都圏でも都民ファーストの会(東京)や自由を守る会(東京)が一定の勢力を保ち、地方では、みらい松山(愛媛)が一大勢力として踏ん張っている。2015年に結成した全国地域政党連絡協議会(通称 地域政党サミット)も11政党が参画し、派手さはないがこつこつと地域で活躍をしている。
99年の地方分権一括法で始まった地方分権は、行政機関の地方分権を加速化させたが、政治の地方分権は未だ手付かずのままだ。相も変わらず、永田町を頂点とするピラミッドが全国に支店(県連)を構え、その支店に所属する地方議員が地方議会の中枢を占めている。結果、地方議会は国の方針に準じた動きにならざるを得ない。「自治体は国の下請けじゃない!」と叫んでみたとて、実態は下請けにならざるをえない現状である。そうした現状を打破すべく、地域のアイデンティティーを掲げて地域政党は発足した。
「地域のことは地域で決める」と言うのは簡単だが、寡占化された市場の中で、風穴を開けインディペンデント系が生き残るのは並大抵でない。大企業(国政政党)は資金も豊富、優秀な人材(議員、候補者)は当選しやすい大政党から順に採用されていく。聞いたことないベンチャー企業の看板より、誰もが知っている大看板のある企業の方が有利だ。政党助成金も潤沢にあるし、ましてや政権党は与党として業界からの集金力もある。
その点、地域政党は市民の浄財で成り立ち、スタッフも手弁当、リクルーティングにももちろん苦労する。看板で取れる票も限られている。候補者の家族も不安で一杯だ。それでもなお、いばらの道と知りながら地域政党に参画し、活動を続けられるのは、原理原則に基づいた信念だけがそうさせている感がある。しかし、思いだけでひた走ってきた10年だが、思いだけでは政治は成就しない。権力を取る為の仕組みを考え続けたが、結局まだその地点には我々は到達していない。
一方、大阪は今秋、都構想という偉業を地方の手で成し遂げようとしている。京都党の次の10年の大きな壁がそこにある。とはいえ、当初は一過性のブームで終わるとよく言われた地域政党が、よく10年、灯を消さずに歩んでこられたものだとも思う。来月には広島県庄原市で市議5人を擁する地域政党が新たに発足する。幾度と京都に足を運び地域政党づくりを学ばれ、不肖私も党顧問としてアドバイザーを引き受けている。地域政党が全国に誕生する日を願って、次の10年を歩みたいと思う。
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