高くてもちょっといいワインを 売れ筋価格帯に変化じわり プレミアム化戦略も着々
食品新聞 / 2024年5月1日 10時4分
ちょっと特別な日に飲むお酒。まだそんなイメージも強いワインは、酒税改正も追い風に話題豊富なビールや缶チューハイの陰で苦戦を強いられている。だがここにきて、売れ筋の価格帯には変化がみられるようになってきた。長らくワンコイン系が主戦場となってきた日本のワイン市場にも変化の風が吹き始めている。
酒類の中でも、ビールなどと比べて高単価のカテゴリーであるワイン。昨年10月の酒税改正で減税となったビールや税率据え置きのRTDに注目が集まる一方で、節約志向の強まりを背景に家庭でのワイン消費は伸び悩む。
総務省家計調査によれば、昨年の1世帯当たりワイン支出額は前年から約2割減。コロナ5類移行後の外飲みへの回帰もあり、過去10年間でも最低の水準に落ち込んだ。「ライトユーザーの関心が薄れ、ビールやRTDなど気軽に飲めるものに需要が流れている」(メーカー)。
ただ売れ筋の価格帯に着目してみると、ここ数年で単価アップの傾向が顕著だ。
別掲のグラフはマーチャンダイジング・オン社が提供するPOSデータサービス「RDS」での分析による、全国のスーパー店頭での価格帯別ワイン販売シェアの推移だ。
20年まで販売本数のうち約半数を占めていた500円以下の商品は21年以降に縮小に転じ、それを上回る価格帯が伸長。昨年には501~1千円の価格帯が49.1%とほぼ半数に達し、最大のボリュームゾーンを占めるまでになった。
もちろん、この背景には22年以降に相次いだ値上げの影響があり、全体の販売数は2年間で15%ほど落ちている。とはいえ、ユーザーが許容する価格帯が徐々に広がってきていることは間違いない。1千円を上回る商品のシェアも、20年から比べて6ポイント増の19%にまで拡大した。
日本のワイン市場で長く続いてきた低価格・同質化競争からの脱却に向け、メーカーやインポーター各社ではプレミアム化戦略を鮮明化させている。市場を再び成長軌道に乗せるための挑戦が始まった。
(5月1日付本紙に「ワイン特集」)
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