僕の現在の職業は、便宜上文筆業を自称しているものの、収入の割合で言えば運営しているYouTube動画の広告収益のほうがずっと大きく、厳密に分類すれば「広告業」となる。YouTubeの収益のほか、印税、メディアへの寄稿記事の原稿料、たまに依頼が来る講演の報酬などで生計を立てている状態だ。
単純に収入面の向上だけ考えるのであれば、おそらくYouTube動画の制作に注力するのが一番効率的だとは思うが、あくまで再生数のみに応じて収益が決まるYouTubeは、作る動画によって再生数に大きなばらつきがあり、どうしても収入が不安定になる。
いくらYouTubeの世界が激戦区とはいえ、僕の作る動画は最初から視る者を選ぶ内容であり、あまり他の配信者と競合するようなものではないとは思うが、その代わり爆発的に人気が出るようなコンテンツでもないし、所詮は属人性の強い人気商売でいつ凋落してもおかしくないので、たとえ収入が下がるとしても、基本的には原稿や講演の仕事を優先している。
こんな言い方をしては何だが、僕は自分の生計が立てられれば、動画でも文章でも講演でも何でもよいのであって、その中で文章を書くのが一番自分に向いているから文筆業を自称しているに過ぎない。その程度の職業意識なので、自ら肩書を付けて名乗ることもしないようにしている。
しかし、優先する仕事がどれであろうと、基本的に自宅で仕事をしているフリーランスという立場になるので、おそらく交通不便なへき地の分譲地に住むのであれば、これが最も適した仕事だとは思う。依頼主のメディアの担当者との連絡や打ち合わせもすべてオンラインで済ませているので、講演以外で都心まで出向く必要もなく、取材さえ怠らなければ仕事は自宅で完結させることができる。
けれども、僕はこうした在宅仕事のスタイルに合わせて限界分譲地に居を構えたのでは決してなく、現在の生活は単なる成り行きにすぎない。