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人工知能が「星のゆりかご」の研究における困難解決の突破口になる

sorae.jp / 2020年11月25日 16時0分

巨大分子雲「オリオン座B」で検出された一酸化炭素の分布(疑似カラー)

巨大分子雲「オリオン座B」で検出された一酸化炭素の分布(疑似カラー)(Credit: J. Pety/ORION-B Collaboration/IRAM)

この画像は、オリオン座の方向に広がる巨大分子雲「オリオン座B」に存在する一酸化炭素の分布を電波による観測で捉えたものです。フランス国立科学研究センターが主導する研究グループは、「機械学習」と呼ばれる人工知能(AI)の手法を用いることで、これまで研究が及ばなかった巨大分子雲における天体物理学的な現象を理解できるようになったとしています。

星が次々と誕生することから「星のゆりかご」の異名をもつ巨大分子雲は物質の宝庫であり、それゆえにさまざまな物理現象を含んでいます。こうした多様な物理現象は空間的にも時間的にも異なる規模で絡み合っているため、巨大分子雲の全貌を理解するのはほぼ不可能でした。

研究グループは、巨大分子雲で起きている物理現象の「重なり」を理解するために機械学習を活用しました。ビッグデータを学習することで規則性を導き出す機械学習は多様な研究分野で活用されていて、天文学の分野でも「すばる望遠鏡」が観測した数多くの銀河から比較的近距離にある形成初期の銀河を絞り込む研究などで利用されています。

研究グループは巨大分子雲の中でも地球に近いオリオン座Bに注目し、スペインのシエラ・ネバダ天文台にある電波望遠鏡「IRAM30m望遠鏡」などで観測されたデータを機械学習や統計的学習を用いて分析しました。その結果、オリオン座Bを支配する複数の法則が明らかになったといいます。

たとえばある分子から放射された光と、巨大分子雲に含まれる水素分子や自由電子の量といった、従来の観測などでは取得不可能だった情報との関係を見出すことに研究グループは成功しました。驚くべきことに、これらの物理量は直接観測せずとも計算だけで推定できるといいます。

研究グループの今後の展開は、今回の理論的な成果を検証にかけるだけではありません。巨大分子雲の内部における物質の移動を理解するべく分子の速度に関する情報を抽出し、物質の運動を「見える化」することにチャレンジしたいそうです。

 

関連:この宇宙で誕生する最後の世代の銀河か。比較的近い宇宙に形成初期の銀河を発見

Image Credit: J. Pety/ORION-B Collaboration/IRAM
Source: Phys.org
文/Misato Kadono

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