1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

国立天文台、野辺山45m電波望遠鏡で原始星の「ストリーマー」を詳細に確認

マイナビニュース / 2024年4月19日 15時25分

画像提供:マイナビニュース

国立天文台(NAOJ)は4月18日、星が誕生しつつある領域に外部からガスが追加で流れ込む構造である「ストリーマー」を調査するため、野辺山45m望遠鏡を用いて、太陽と同程度の星が形成されている「ペルセウス領域」のクラス0原始星候補天体の1つである「Per-emb-2」のストリーマーに含まれる4種類の炭素鎖分子を観測した結果、その起源などを確認できたことを表した。

同成果は、NAOJ 科学研究部の谷口琴美特任助教、大妻女子大 社会情報学部 環境情報学専攻の下井倉ともみ准教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、米天体物理学専門誌「The Astrophysical Journal」に掲載された。

近年の観測から、星が生まれつつある領域に外部から星の原料となるガスが追加で流れ込む構造である「ストリーマー」が確認されている。ストリーマーは最終的に誕生する星や惑星の化学組成に大きく影響することが推定されており、太陽系の形成段階においてもストリーマーが存在していた可能性があり、初期の地球環境にも大いに関わることから、重要視されるようになってきている。

仏・NOEMA干渉計により、Per-emb-2にはストリーマーが確認されていたが、そのもととなるガスがどこから流れてきているのか、起源が不明だったという。そこで研究チームは今回、広範囲の分子ガスの分布を調べることを特異とする野辺山45m望遠鏡に搭載された「FOREST」と「Z45」という2つの受信機を用いて、ストリーマーの起源(=リザーバー)を見つけ、ストリーマー自身とその起源の正確な質量を調べ、どれくらいの歳月に渡ってガスが流入し続けるのかを解明すべく、HC3N、HC5N、CCS、CCHという4種類の炭素鎖分子の観測を行うことにしたという。

今回の観測では、ストリーマーが見られるPer-emb-2の北側を広くカバーするマップが取得された。その結果、ストリーマーの周囲に、2つのガスの塊(コア)があることが判明。さらに、電波観測で得られたスペクトルの速度解析により、3番コアが、ストリーマー(1番コア)に向かって流れてきていることが確認され、それがリザーバーであると同定された。2番コアも今回新たに発見されたが、Per-emb-2との関係は現段階では不明で、さらに研究を進める必要があることが確認された。

さらに今回の研究では、米・GreenBank100m望遠鏡や、スペインのIRAM30m望遠鏡などの電波望遠鏡のデータを組み合わせ、Per-emb-2のストリーマーとリザーバーで検出されたHC3N、CCS、HC5Nの詳細な状態解析も実施された。その結果、ストリーマーとリザーバーの物理環境(温度・密度)と化学環境(分子の存在量)の導出に成功。リザーバーの物理環境は、星が生まれる前の星なし分子雲コアに類似していることが明らかにされた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください