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宇宙で距離を測るための「はしご」を探した渦巻銀河「NGC 4603」

sorae.jp / 2021年5月11日 23時0分

渦巻銀河「NGC 4603」(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Maund)

【▲ 渦巻銀河「NGC 4603」(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Maund)】

この画像は「NGC 4603」という渦巻銀河をクローズアップしたものです。

NGC 4603はケンタウルス座の方向、1億光年以上先に位置しています。画像の下のほうには銀河の中心部が明るく輝き、そこから外側に向かって青く輝く星々が帯状に伸びているのがわかります。銀河の渦巻の腕を縫うように走る茶色っぽい線はダストレーンと呼ばれる高密度の塵の雲で、これらが星の光を隠し、複雑な模様を作り上げています。

先日、打ち上げから31周年を迎えたハッブル宇宙望遠鏡は宇宙の多くの天体を観測してきましたが、中でもNGC 4603は身近な存在であるようです。20世紀末、天文学者たちはある特異な星の兆候がないかを探してNGC 4603に注目していました。その星は「セファイド」または「セファイド変光星」と呼ばれます。星の中には一定の周期で明るくなったり暗くなったりするものがあり、セファイド変光星はその一種です。

セファイド変光星ではその周期がわかると星の明るさ(厳密には「光度」)が計算できることが知られています。星は地球から遠く離れているため、計算した明るさと地球から観測したときの明るさ(見かけの明るさ)が異なり、これを利用してセファイド変光星までの距離を計算することができます。銀河の中にセファイド変光星を見つけることができれば、銀河までの距離を測定する手掛かりになります。なお、宇宙で距離を測定するための方法は他にもあり、いくつかの方法を組み合わせて遠くのほうまで距離を測る様子を「宇宙の距離はしご」と呼んでいます。NGC 4603では実際にセファイド変光星を使った距離の測定が行われたようです。

では、距離を測ってそれを何に使うのでしょうか。距離の測定による大きな成果の1つは、宇宙が膨張していることの発見です。話は1930年前後に遡りますが、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルは多くの銀河までの距離と、それらの銀河が地球から遠ざかる速度を測定しました。その結果、地球から見て遠くの銀河ほど速く遠ざかっており、宇宙が膨張していることを発見しました。それに少し先だってベルギーのジョルジュ・ルメートルも宇宙が膨張することを導き、宇宙膨張を表す法則は「ハッブル-ルメートルの法則」と呼ばれています。セファイド変光星は、ハッブルが宇宙膨張を発見する1つの鍵となったのです。

 

関連:100年前の天文学の大論争に決着をつけたハッブルの「VAR!」とは?

Image: ESA/Hubble & NASA, J. Maund
Source: ESA/Hubble
文/北越康敬

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