新型コロナウイルスの影響による事前確定届出給与と申告期限延長

相談LINE / 2020年10月6日 19時0分

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未曽有の国難である新型コロナウイルスに対する税制措置として、やむを得ない事情がある場合、申告期限の延長が認められています。国税庁の資料によると、法人税の場合、感染拡大防止のため在宅勤務等をしている方がいるような場合がこのやむを得ない事情に当たり、これらの事情がなくなるまで、申告期限の延長が認められるとされています。
この制度ですが、申告期限だけでなく、届出書の提出期限についても認められるとされており、結果として税務署に所定の期限までに届け出る書類についても、提出期限の延長が認められます。

■代表的な届出書として

提出期限の延長が認められる届出書のうち、代表的なものの一つに、事前確定届出給与に関する届出書があります。この届出書は、役員に賞与を出す場合に必要になるもので、この届出書をあらかじめ提出しておかなければ、役員に賞与を出しても経費として認められません。この届出書ですが、原則として、株主総会等で役員給与に関する決議をした日から1月を経過する日までに提出することとされています。

この届出書についても、上記と同様、やむを得ない事情があれば提出期限の延長が認められる訳ですが、この場合の理由としては、新型コロナウイルスの影響で、毎年所定の時期に開催している株主総会が開催できなかったことなどが挙げられています。

■通常の通りの申告書の提出があった場合

ところで、申告期限の延長にしても届出書の延長にしても、やむを得ない事情が必要と言いながら、国税はあまりチェックしません。国税としても未曽有の国難であることはよく分かっているからです。このため、やむを得ない事情があるかと言われれば、一見すると厳しそうなものでも、原則として延長は認められるといわれています。

しかし、全く理由のないものや合理性のないものまで、延長は認められないと考えられます。この代表例の一つとして、前期の申告は申告期限内に提出しているのに、前期の決算後の株主総会を経て提出する事前確定届出給与に関する届出書が挙げられます。

これがなぜダメかと言えば、法人税の申告も決算後の株主総会の承認を受けて提出するべきものだからです。申告書は株主総会の承認を受けて期限内に提出しているのに、同じ株主総会で決める事前確定届出給与に関する届出書は提出期限に出せない、というのは無理があります。

事前確定届出給与に関する届出書の期限を延長する場合には、前期の法人税の申告書についても延長しておく必要があると考えられます。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ 税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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