1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. 野球

日本メディアが伝えた「韓国で大谷フィーバー」は本当か? ソウルの街で覚えた違和感

日刊SPA! / 2024年3月25日 15時52分

 アメリカやヨーロッパでは、日本人も韓国人もまず「アジア人」として見なされる。他者の目を通して自分が「アジア人」であるという自覚が芽生え、同じアジア人は「仲間」「同志」だと感じるようになる。これは僕自身、10代の頃にアメリカで、多くの韓国人に囲まれながら暮らして体感したものだ。

◆大谷の活躍を「自分ごと」と捉えられる韓国人。その理由は?

 韓国人の多くは海外で生活しており、あるいは海外で生活した経験があり、自分たちを「アジア人」として認識している。その結果、韓国人の多くは日本人を「自分たちと同じアジア人」と見なしており、だから大谷のような日本人アスリートの活躍も「自分ごと」として喜べるという背景があるのではないか?

 韓国人に比べて海外在住者がはるかに少ない日本では、自分が「アジア人」であることにアイデンティティを見出している人が少ないように感じる。それゆえに、大谷をはじめとする日本人アスリートの活躍には熱狂するが、たとえば韓国人や他のアジア出身のアスリートが活躍しても「他人ごと」になってしまうのではないだろうか?

 個人的な話をすると、僕は先述の通りアメリカで多くの韓国人に囲まれながら暮らした経験があり、それゆえに韓国人は「仲間」「同志」だという意識がある。だから僕は、大谷をはじめとする日本人選手だけでなく、キム・ハソンなど韓国人選手の活躍も特別に嬉しく思う。本記事の冒頭で紹介した『大谷翔平の社会学』でも、韓国人メジャーリーガーに関する章を単独で設けたほどだ。

「韓国でも大谷は大人気!」という事実は多くの日本人にとって嬉しいものだが、それは韓国人の多くが国際的な環境で生きており、それ故に日本人を「仲間」「同志」と見なしているからかもしれない。K-POPや韓流ドラマなどの世界的成功を見ても、韓国人が優れたグローバル感覚を持っていることは明らかだ。ソウルの街中では東京よりもはるかに英語が通じる。

 韓国での大谷人気は、大谷という選手のスター性だけでなく、韓国人が有するグローバルマインドを表しているのではないか? まだ肌寒いソウルの街角で、そんなことを考えた。

取材・文・撮影/内野宗治

【内野宗治】
1986年東京都出身。国際基督教大学教養学部を卒業後、コンサルティング会社勤務を経て、フリーランスライターとして活動。『日刊SPA!』『月刊スラッガー』『MLB.JP(メジャーリーグ公式サイト日本語版)』など各種媒体に、MLBの取材記事などを寄稿。その後、『スポーティングニュース』日本語版の副編集長、時事通信社マレーシア支局の経済記者などを経て、現在はニールセン・スポーツ・ジャパン株式会社にてスポーツ・スポンサーシップの調査や効果測定に携わる

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください