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「自分も育児にかかわりたい」夫の提案に妻が猛反対…男性育休「取りたくても取れない」パパたちの悲鳴

日刊SPA! / 2024年4月2日 8時51分

 H美さんは、その後すぐに妊娠。矢作さんは上司を飲みに誘い、育休を取りたいと相談した。最初は、「おめでとう!」「俺なんて、最近はさっぱりだよ」と話しも弾んでいたのだが、どうも核心に迫りはじめると上司の反応が鈍い。

「上司は、『矢作には、お客さんもだいぶん付いているからなぁ』『子どもの誕生や子育ても大事だけど、矢作にとって、いまが頑張りどきのようにも思う』など、とにかく育休を取りにくくなるようなことばかり言うのです」

 さらには、「休んでいる間に、自分のお客を奪われるかもしれないリスクもある」「やっぱりまだまだ、男が働かないと家計は回っていかない」「何かあると、すぐに休暇を取る男だと思われたら、信頼されない」など、時代錯誤の意見が勃発。

「それでもこちらの意思が固いことを知ると、お酒の勢いもあってか『俺の時代はなぁ、高熱が出ようが槍が降ろうが出社しろと上司に言われていた。コロナ禍もあって多少は変わったが、男が育休を取るなんて身近で聞いたことがない』など、否定と説教の嵐でした」

 そこで矢作さんが、「子どもに恵まれることは奇跡に近いこと。せめて、育休の取れる期間だけでもせっかく授かった命とその成長を奥さんと2人で見守りたい。」と思いの丈を伝えた途端、上司はさらにヒートアップ。

「上司は目くじらを立てて、『育休なんて奥さんだけが取ればいい。男には家計を支える役目がある』などと理不尽なことを言いはじめました。埒が明かないのでその日は帰宅したのですが、翌日から、その上司が厳しくあたってくるようになったのです」

◆同僚、女性社員は理解してくれると思いきや…

 矢作さんは「明らかなる嫌がらせ」「部長という役職を利用した卑怯ないじめ」と心の中で溜め息をつきながらも、愚痴ぐらいは同僚も聞いてくれるだろうと思っていたとか。けれど、男性の同僚はもちろん、女性社員の反応も予想していたものとは違っていた。

「育休について相談すると同情はしてくれるものの、『実際に男性で育休を取っている人は少ないと思う。いままでそういう習慣がなかったし、取引先の人も戸惑うのでは?』など、上司を擁護する意見が大半だったのです。田舎の会社とはいえ、ここまでとは驚きでした」

 結局、矢作さんは「誰からも賛同されずに育休を取るのは得策ではない」と考え、妻H美さんと相談して育休の取得を断念。H美さんだけが産前休暇を含む産休とともに育休を取得し、矢作さんはこれまでと同じように仕事をこなしながらの育児参加しかできなかった。

「僕も睡眠を削ってサポートしましたが、残業で帰宅が深夜近くになることも多く、結果的に大半を妻に押し付ける形になってしまったのです。楽しみにしていた出産の瞬間にも間に合わず、妻は産後のストレスでうつ症状が出るなど、一時は家庭崩壊寸前でした」

 妻と力を合わせて出産や育休に臨みたいとの想いが叶わなかった矢作さんは、転職の機会をうかがっている。そして、「働き方が変化するいま、職場を選ぶときには福利厚生や職場の理解度をリサーチしておくことも重要だと身をもって実感しました」と話してくれた。

<取材・文/山内良子>

【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意

―[男の育休、取ったらこうなった]―

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