1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

“生理の貧困”にタンザニアで立ち向かう28歳の日本人女性。ナプキン工場の資金難や嫌がらせを乗り越えて

日刊SPA! / 2024年7月4日 15時52分

取得が必要なライセンスは7つ。その中でも特にひどかったのは、通常25万円のライセンスに対して60万円の請求書が発行されたこと。通常の20倍のライセンス料を請求されたこともある。菊池さんは、会社の規模を理解してもらうために、何度も政府と交渉を重ね、また中小企業団体の組織に加盟するなどして、最終的にトータルで170万円以上あったライセンス料を30万円までおさめることに成功する。

「様々な手段で嫌がらせをされ、外国人からお金を搾り取ろうとしているのがわかりました。なんとか頑張って資金の管理をするべく耐えたんですが……」

会社の立ち上げから13カ月後の2022年の8月にようやく工場が稼働するも、同年11月には資金が尽きる手前まできていた。そこで日本人向けにクラウドファンディングに挑戦し、550万円を集めて首の皮一枚つながった。

◆大手と戦わずアイデアで勝負

タンザニアのスーパーに行けば、女性の買い物客たちは大手企業の販売する生理用ナプキンをかごに入れている。小さな工場を持つ菊池さんが、生理用ナプキン市場に参入するのは無謀な戦いにも見えるが、実はそこに戦いを挑んではいない。

「同じ土俵で勝負しても資金力で負けます。もちろん、日本の技術(吸水ポリマー)を使った素材なので、商品の質では勝負できます。でも、そこで戦うより、届け方を工夫してパンチをきかせたプロモーションをやっていこうと思っています」

そう話す菊池さんからは、数えきれないほど様々なアイデアがポップコーンのようにポンポンと飛び出してくる。格差の激しいタンザニアにおいて商品にメッセージ性を加えることで、生理の貧困に問題意識を持つ富裕者層のサポートを取りつける方法。男性が女性にナプキンをプレゼントすることが「かっこいい」と思ってもらえるような価値観の変換を狙った発信など。

菊池さんのビジネスモデルもユニークだ。生理用ナプキンが1箱(8枚入り)購入されるごとに1枚のナプキンを地元の女子学生に寄付する。さらに、学校にナプキンを寄付する際には、性教育の授業も一緒に提供するというものだ。

この性教育を学校に届ける試みも、菊池さんのアイデアマンぶりを示す。宗教的な背景もあり生理の話題がタブーであるタンザニアにおいて「性教育を提供しましょう」という提案は拒否されることが多い。実際に、多くの開発支援系の国際機関はいつも断られていると聞く。しかし、生理用ナプキンの無償提供とセットにすることで、菊池さんの戦略通り、学校に性教育を届けることができているのだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください