“生理の貧困”にタンザニアで立ち向かう28歳の日本人女性。ナプキン工場の資金難や嫌がらせを乗り越えて
日刊SPA! / 2024年7月4日 15時52分
「ナプキンの寄付はどこの学校でも本当に喜ばれます。その結果、性教育を届けるという提案も断られたことは一度もないです」
2021年の創業から3年目、これまでにタンザニアの小中学校で21回の性教育を行ってきた。11歳から20歳まで、その数はおよそ3500人に及ぶ。2023年には、売り上げ以外に、工場見学による収益や日本からの寄付もあり、1万5000枚近くのナプキンを寄付することができた。
「シングルマザーだった自身の経験を生かし、日本人がタンザニアでナプキンを販売」というニュースはタンザニア社会でもインパクトがあるようだ。現地のテレビ局からの取材を受けるなどしてタンザニアのメディアも注目している。「あまり目立ってタンザニア政府に目を付けられたくないので、今は、どちらかというと目立たないようにしていますけれど」と苦笑する菊池さん。タンザニアで暮らし始めると同時に、ウィリアムさんとの念願の結婚も果たし、今は6歳となる息子さんを一緒に育てている。
◆「モアナ」らしい生き方
好きな言葉は「意思あるところに道は拓ける」。そんな菊池さんには、各政府機関の担当者からの嫌がらせや理不尽な理由による罰金の脅しなど、今も多くの苦難がふりかかる。彼女はなぜ次々と現れるこういった試練を乗り越えながら、タンザニアでの事業を続けるのだろうか。そのエネルギーと原動力の秘密は、彼女の名前に隠されていそうだ。
モアナという名前は、ご両親がハワイ語の「大海」から名づけた。菊池さんは、大学生時代に学校になじめず、うつ状態になったことがあった。落ち込んだ菊池さんを救ってくれたのは、名前の由来であるハワイでの体験だった。心を閉ざしていた彼女は、ハワイで世界中から集まった仲間と出会い、大海のように無限に広がる未知の世界があることを知った。ハワイでの経験は、のちに菊池さんがタンザニアを訪れるきっかけにもなった。
「(タンザニアでのビジネスは)常に大変です。でも、試練を乗り越えるたびに、メンタルが強くなって、肝が据わってくるんです。今も相変わらずめちゃめちゃ大変な状況ではあるんですけど、やるべきことをやるのみです」
2024年2月には国連人口基金(UNFPA)との連携プロジェクトで、1年間にわたって生理ナプキンを提供することが決まった。毎月6000箱のナプキンを、タンザニア西部のキゴマ難民キャンプの女性たちに届ける予定で、事業の大きな節目となりそうだ。
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